
ヘルツォーク・ファンと言っておきながら、先日やっと『神に選ばれし無敵の男
ところでこの『神に選ばれし無敵の男』。ハヌッセン役のティム・ロス以外は、主役を含めて俳優としては素人さんばかりなのだという。こういうことを聞いても余り驚かないのは、『アギーレ・神の怒り
とはいえ主役のジシェ役の男は本物の“世界一の力持ち”というのには少し驚いた。おそらく彼が主演する最初で最後の映画だろうと思う。しかしこれは貶しているのではない。むしろハマリ役といいたい。木訥として素朴、大らか、そして優しい力持ちの兄。という感じが良く出ている。この彼の演技は、“プロフェッショナル”のティム・ロスがそれらを対比させ、引き出したからなのだと思う。監督のヘルツォークとハヌッセン役のティム・ロスに改めて拍手を送りたい。
さて、ストーリーについても少し。ジシェが神から啓示を受け、これからどのような活躍をしてゆくのだろう、と思っている内に物語は終わってしまう。実話を元にした映画化ということであるが、単純明快なヒーロー物にしないところが、またヘルツォークらしい。ヘルツォークだから許されるというべきかも知れない。
DVDにはメーキング映像が付いているが、自画自賛の裏話とは質の違う内容で、これは必見です。
ヘルツォークに『氷上旅日記—ミュンヘン‐パリを歩いて