………さぁサイレンが鳴り響き、いよいよ全国高等学校野球選手権大会決勝が始まりました。今年も熱き闘いとドラマが繰り広げられてきた青春の舞台も今日で終わりとなります。高校球児達の青春を最後まで見届け、皆様にしっかりお伝えしようと思います。
実況は私、アナウンサー・厚木 夏太郎(あつき なつたろう)。そして、実況は現役時代4年連続ホームラン王を獲得した元熱烈パワフルズの多摩 帝琉(たま ている)さんでお送りします。多摩さん、本日はよろしくお願いします。
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さて、決勝1回表の準備がまもなく整いそうです。守備は西の帝王・葛樽県高(かったるけんこう)。先発は3年生背番号8番・羽約 凪朗(はやく なぎろう)。攻撃は今大会のダークホース・羅木市学園(らきいちがくえん)。バッターボックスに構えるのは2年生背番号1番・有天 醸(うてん じょう)。そして、今。主審・御手 真千汰(みて まちた)がブレイボール!試合が始まりました。
早速、1球目……投げた!それと同時に有天がファーストに向かって匍匐前進!これは速い!キャッチャーがすぐさま次に投球しますが、ライト、ショート、もう一度ライト、サード。と、ここで有天がファースト到着。そして、ストップです。守備側、あと1手届かず間に合いませんでした!多摩さん、今のプレイいかがでしょう?
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そうですね。これは最初に有天を持ってきた羅木市学園の作戦勝ちでしょう。5年前に打者が廃止され、攻撃側は匍匐前進で走ることにだけ集中すれば良くなりました。練習が走行ひとつに絞られるというのは、ここまで結果が出るものなのかとまさに見せられました。しかし、まだ1球目。有天がホームに戻ってこなければ得点にはなりません。
続いて、羅木市学園は3年生背番号2番・利谷 照彦(りたに てるひこ)。このチームの要ともいえる。まさにキャプテンで………失礼しました。キャプテンは別の方ですね。大変、失礼しました。っと、第2球……投げた!利谷が走り出す。その間にキャッチャーはサードに投球……そして、出塁していた有天も走り出します。ボールはサードからレフト、センター、ショート、ライト。これは出目が良い!ライトの背番号2番・伊礼 左(いれい ひだり)。ファーストを選択し送球!これは……アウトです!利谷、僅かにベースへ届かず。しかし、有天はセカンドへ到達。これでワンナウト2塁。次の走者に打順が回ります。
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なるほど。ボールがピッチャーからキャッチャーへわたされてスコアボードに5個のパス先が表示される。それを見たキャッチャーが効率の良いパス回し先を判断し投球。5手の受け渡しに成功で出塁の阻止を行えます。打者はピッチャーが投げたと同時に走り出すのでファーストへたどり着く確率が高いですが、出塁した選手は1手目の捕球を待たねばなりません。故に5手目の選手はセカンド・サードをさすことが多いのですが、有天の足の速さを見落とさずファーストへと送球。これは確かにいい判断といえるでしょう。
だが、羅木市学園は確実に塁を進めています。チェンジまであとツーアウト。一回表、羅木市学園の攻撃。走者は3年生背番号3番・穂村 央一(ほむら おういち)。試合の行方はまだまだわかりません。と、ここで一旦CMです。