家の近くに2つの駅に挟まれたロータリーが設けられている。当然かもしれないがロータリーにはぐるっと囲む歩道がついており、その境目はアーチ型の車止めで区切られている。
早朝ゆえか車もタクシーも歩く人すらほぼ無い中、一羽のスズメが
車止めの付近で遊んでいるのが目に入った。
飛んでは着地し、飛んでは着地し。
ポールに止まったり、地面に止まったり。
一瞬遊んでいるのかと思ったが、どうやら同じく近くを飛んでいたムシを捕まえようとしているらしい。
何回目かのチャレンジでようやくスズメはムシを捕まえた。スズメは車止めに止まると、見せびらかすかのようにムシを咥えたまま辺りに顔を向ける。
そこへ別のスズメがやってきた。
同じ車止めに止まった別のスズメはちょんちょんと小刻みにジャンプしながら元いたスズメへ近づいていく。
すると、元いたスズメはムシを咥えたままどこかへと飛び立っていった。
なんてことのないほのぼのとした風景である。
実に微笑ましい。
だが、これは私私だから言えることであろう。
スズメやムシからすれば、微笑ましいなんて笑えることではないだろうか?
そこで私はスズメの視点から今の出来事を考えてみた。
小型の動物に共通する特徴なのかもしれないがスズメは意外と食べるらしい。
生きるためには常に何かしら食べないといけない。
そんな時、目の前に餌となるムシが飛んできた。
スズメは捕まえるために飛び立つ。だが、惜しくもムシの横をすりぬける。
失敗しても諦めはしない。
なぜなら、捕まえられなければ飢えて死ぬからだ。
何度だって飛び立ち、生きるために全力を尽くす。
そして、ついにムシを捕まえた。
そのまま、降り立つと辺りを確認する。
それは何故か?
答えは1匹の雀が近寄ってきたことでわかる。
実はこのスズメ近くでムシを捕まえる様子を見ていたのである。
餌は自分で捕まえなくても他人の餌を奪うことも出来る。
このスズメはそれを選んだ。
そして、それを理解したムシを咥えたスズメは逃げ出したのだ。
今度はムシの視点で考えてみた。
流石にムシの種類まではわからないが小さな羽虫だ。
意外かもしれないが、ムシにも意識というものがあるという話である。
そのムシも何かを求め宙を舞っていた。
しかし、そこで不幸にも天敵であるスズメに見つかってしまった。
つかまれば、ムシの一生は終わる。
ムシは必死に羽ばたきスズメから逃れようとする。
だが、体の大きさやスピード。いわゆる性能の違いの前にムシはスズメに捕らえられたのだった。
弱肉強食の世界である。
食べなければ死ぬ。
食べられれば死ぬ。
自分がいつまで生きられるかわからず。
それでもなお、生きるために足掻き続ける。
私が微笑ましいと思った光景も見方を変えればここまで変わるのである。
とはいえ、これはあくまで私の勝手な想像だ。
実際にスズメやムシが何を考えていたかなどわかるはずもない。
ただ、まぁ
願わくば、あのスズメが無事にムシを食べてほしいところである。