鰯が転校してきてはや一ヶ月。
今度はパンダが転校してきた。
聡明な読者ならもうお分かりであろう。
オセロのように白黒つけるのがうまいやつとか
死神の息子のように白黒別れているやつとか
っていうか、もはやGLAY!とかでもなく
がちパンダである。ふわっふわである。
まぁ鰯が転校してくるならパンダだって転校してくるだろう。
いや、待て。普通に熊じゃねーか!さすがにそれは危険すぎないか?
「それじゃ、転校生。自己紹介よろしく」
「中国から転校して参りました。佐々木 判太です。よろしくお願いいたします」
「って、普通にしゃべるのかよ!」
しかも、超礼儀正しい!
「相原、転校生が来たからってはしゃぎすぎだぞ。すまんな、佐々木」
「いえいえ。むしろ、歓迎していただけてるということで嬉しい限りです」
佐々木は大きな手をふりながら続きを語る。
「ご覧の通り、私は正真正銘のパンダです。皆さんの中には私に怯える人もいるでしょう。なんと言っても、私は大きく獣で種族が違う。ですが、これから共に学んでいく中で誤解を解きつつ、仲間の一員になって行ければと考えています」
佐々木が頭を下げる。それと同時に拍手が巻き起こる。イワシの時との歓迎の差に俺はこっそり隣を見る。
すると、器用に前ひれをはためかせて転校生を歓迎するイワシがいた。
「先生、質問いいですか?」
拍手か収まるにあわせて手をあげるのは、この教室の良心であり俺の天使。委員長だ。
確かに疑問はたくさんある。パンダが学びに来たことから始まり、丁寧な日本語。更に中国から来たはずなのに思いっきり和名。(もしかしたら、そういう中国の名前かもしれないが)
果たして、委員長は何を聞くのか。
「時間はあるし、佐々木答えてやってくれ」
「なんなりと」
「あとでもふもふしてもいいですか!」
思ったより自分の欲望に正直な質問だった!
しかも、どこかしら興奮しているような?そして、そんな委員長に対する佐々木の反応は?
「かまいませんよ。ただ、私もオスですし過剰なボディタッチはご遠慮ください。照れます」
すごくいい奴だ!しかも、照れます。という部分の仕草がクラス全員の警戒心を解かせるに十分な可愛さだった。パンダを見るのは初めてだが。確かにこれはハマる。
「あと、席だが・・・相原、お前の隣でいいか?」
「また、俺ですか?っていうか、隣は」
「あ、私、移動するよ」
「おう、すまんな。舞原」
なんだろう?俺は動物転校生担当にでもなったのだろうか?
舞原が移動した席に佐々木が座る。が、体が大きいので机と椅子があっていない。
「あとで注文しとかないとな。佐々木、しばらくはそれ使ってくれ」
「ありがとうございます」
そして、案の定。佐々木がこちらを向いてくる。さすがに隣にこれだけ大きいのがいると恐い。佐々木はそれに気づいてか少し背を丸めながら、恐る恐るこちらに手を差し出す。
「これから、よろしくお願いします」
「よろしく」
握手を求められていることに気づき俺も手を差し出す。
ふわっ。
うわ!なんだ、これ?この柔らかさ。これはハマる。と、その時。背筋をすっと悪寒が走る。ばっと振り向いたその先にいるのは委員長?なんだ?あの目。まるでお気に入りのおもちゃをとられたような子供の目は!
そして、お隣。そこにいるのはイワシ。なんだ?その目?私を捨てて新しい転校生と仲良くなるんですねみたいな目は!
「どうしました?もしかして、爪で引っ掻いちゃいました?」
「あ、いや。なんでもない。気にするな」
こうして、俺のクラスはまた賑やかになった。そして、俺の回りの人間関係も。
・・・人間少な。
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