「ちえちゃんちえちゃん!」
「どうかしたの?」
「今日って、きぬこんの日なんだって」
「・・・」
「・・・」
「・・・それで?」
「それだけ」
ちえちゃんは静かにコーヒーを飲むと、テーブルにマグカップを置く。そして、右手で勢いよく私の頭を切りつけた。
「チョップは痛いよ」
「今ら、私が何してるかわかる?」
「朝御飯食べてる」
「ここはどこ?」
「ちえちゃんち」
「今何時?」
「朝七時」
「私の格好は?」
「モリキュアのパジャマ」
そして、右手で勢いよく私の頭を切りつけた。
「チョップは痛いよ」
「ところで、きぬこんって何?」
「・・・」
「・・・」
「き、きっとヌンチャクコンテスト」
「・・・」
「き、君とぬかるみコントラバス!」
「・・・」
「き、キアヌリーブスこんにゃく!!」
「・・・」
そして、右手で勢いよく私の頭を切りつけた。
「チョップは痛いよ。しかも、三回も」
「三回もボケるからよ」
「ボケてないよ!本気だよ!」
「なお、悪いわ」
「もう髪がぐしゃぐしゃだよ。今日、遊びに行くからセットしてたのに」
「自分で頭押さえてぐしゃぐしゃにしてたように見えたけど。まぁいいわ。ブラシ持ってきてあげるから待ってて」
ちえちゃんは食器を片付けると自分の部屋へと戻っていった。一人になったキョロキョロ回りを見渡していると、棚の上に飾ってある一枚の写真を見つけた。
「うわー懐かしい。これ、入学式のときの奴だ。ちえちゃん。ちっちゃーい。もう十年前だっけ?」
「十二年前よ」
「あ。おかえり、ちえちゃん」
「ほら、といてあげるから後ろ向いて」
「うん」
「・・・」
「えへへ、なんか懐かしいな。十二年前もこんな感じで髪を整えてもらったんだっけ?」
「そうだったかしら?そうだ。これ、あげるわ」
「え?なにこれ?プレゼント?今日、私、誕生日だっけ?」
「違うと思うわよ。ただの気まぐれ、可愛かったから似合うと思って」
「ありがとう!ちえちゃん!開けてもいい?」
「どうぞ」
「・・・わ!シルクのハンカチだ!高いんじゃない?」
「さあどうだったかしら?」
「今度、私もお返しするよ!」
「そう。楽しみにしておくわ」
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