木の下に埋まっているものといえば。

やはりタイムカプセルであろう。

「大人になったら、また集まろうぜ!」

子供の頃、友達同士で宝物を持ちより場所を決めて埋める。そして、宝の地図を他の誰かに見つからないように

描いておく。

まだ僕らが未来を信じていた頃、流行った遊びだ。

当時は未来を描いた番組やそういう雑誌が流行っていて、漫画もSFやファンタジー要素が強かったものも多かった。

だから、未来の自分。未来の俺たちはかっこいい時代とかっこいい大人になっている。そう信じていた。

裏切られたとまでは言わないが、夢が叶ったとも言いがたい。少なくとも、想像していた未来とは違う。

俺はそういう大人になった。そういう大人で妥協してしまった。

だから、この地図をたまたま見つけたとき。俺はその日にその場所に訪れるべきかどうか迷っていた。

タイムカプセルを埋めてすぐの頃に俺は親の事情で転校した。

今ほど、連絡手段がなかった頃だ。親友たちとはそれ以来連絡を取っていない。

そんな俺が今さらのこのこと顔を出してもいいものだろうか?

つまらない大人になった俺が?

地図に書き込まれた日付まであと一週間。

果たして、俺はどうするべきだろうか?

 

 

 

***

 

 

 

木の下に埋まっているものといえば。

そんなの死体に決まっている!

なーんて、ことが言えればいいのだけれど。

残念ながら、私にそんな度胸はない。

いやいや、ないというのは言えるという部分ではなく死体の部分だ。

危うく私が死体遺棄の犯人として逮捕されるところであった。

肝の小さい私のことだ。きっと、警察に追求されたらやってもないのにやったと認めかねない。認めるに決まっている。

皆様、この事はどうかご内密に。

ところで、何の話だっけ?

そうそう、木の下に埋まっているものの話だ。

でも。実際のところ。死体なんて埋めたら、近くの木々は枯れてしまうのじゃないだろうか?

別に怨念とかオカルトとか。そういった類いの話ではなく。

人が分解されて土に還った時、それは木々にとって過剰な栄養になり、過剰な栄養を吸収した木々は枯れてしまう。

そして、木々が枯れることにより、土は流れやすくなり死体が見つかってしまう。

ちなみに一昔前だと山犬なんかが死体を掘り起こしていたとも言う。

何が言いたいかと言うと、木の下に死体を埋めるのはあまり現実的でないのでやめた方がよい。

ついでに人を殺すのもやめた方がいい。

「・・・ということなのだよ。だから、そのナイフを地面において」

「うるせえ!」

銀色の刃物が煌めく。私は痛みの中、次第に意識を失っていった。

 

 

***

 

 

 

木の下に埋まっているものといえば。

そりゃ、根っこだろ。

純粋に根っこだけならいいけど、地下に埋まっている岩なんかに絡まっていたら最悪だ。

というのも、僕の仕事が古くなった木々の撤去することだからだ。

木々というものは、常にそこに立っているから恒久なものと思われがちだが実際のところ、環境の悪い町中の街路樹なんかの寿命は長くて40年そこららしい。

40年といえば、まだ先は長く感じるかもしれないが残念なことにその40年目というのが今なのだ。

つまり、そろそろ倒れる樹木があちこちに立っている。まるで有名な横スクロールアクションのように横を通っただけで倒木に潰される危険がある。

そこで僕らの出番がやって来る。老朽化が進んだ木々を新しい街路樹に植え替えるのだ。

場合によっては、古くなった櫨木を取り除くだけの場合もある。たとえば、今回のように。

とある町からの依頼だ。神社の古くなった木を撤去してほしいと。

写真を見る限り簡単ではなさそうだ。太く高い幹。古い木を取り除くには根っこまで掘り返さないといけない。

だが、大抵の場合周りの土を掘り返すことを禁じられる。すなわち、最小限に抑えないといけないのだ。これがまたむずかしい。

けれども、仕事だ。やるしかない。

僕は仕事道具をもって依頼場所へと向かうのだった。

 

 

 

***

 

 

 

木の下に埋まっているものといえば。

その質問に答える意味があるか?

俺は今、そんなことを考える余裕はない。

何故ならば、人を一人殺してしまったからだ。

俺はいわゆる空き巣だ。誰もいない家に侵入し金目のものを持っていく。

そんなことをしながら、足がつかないよう各地を転々としていた。

空き巣を始めた頃は、いつバレるか。捕まるか。常にビクビクしていたが。

繰り返すうちに、度胸やコツ。そして、自信がついてきた。

そうなってくると、人はすぐに調子に乗る。

より一回での稼ぎを多くするため高級住宅街を狙ってしまった。

そして、入った家には普通に住人がいた。遭遇したのがキッチンだったこともあり俺は近くにあった包丁で・・・。

だが、不思議なことにも俺は案外冷静だった。倒れた先がラグマットの上であることを確認する。辺りに血の飛散はない。

俺はガムテープでラグマットごと死体を簀巻きにする。

そして、この家の車へと運んだ。

その時、ひらりと一枚の紙が床に落ちる。それは一枚の古ぼけた地図だった。

 

 

 

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木の下に埋まっているものといえば。

とは言うけれど、私はそんなものに興味はない。

大切なのは、木の上。てっぺん付近のうろだ。

木の幹にぽっかり空いたそこには私の宝物がたくさん詰め込んである。

一日一個。何かいい物を見つけては、ここまで登りうろの中に入れてきた。

初めは深かったうろも今ではうっすらだが宝物が見えてきている。

別に何か意味があるわけではない。ただ、私が楽しいだけだ。

雨の日や雪の日など辛い時期もあったが、必ず私は一個持っていくことをやめなかった。

そんなある日のこと。木の下に男が数人。私は気づかれないよう。こっそり様子を見る。

男たちはこの木にさわったり辺りを見たりして去っていった。

私に男たちが何を言っているのかはわからなかった。だが、なんとなくこの木を切ろうとしているのではないかと思った。

それは困る。

非常に困る。

ここの木を倒すと言うことは私の宝の隠し場所が暴かれるということだ。

だから、私は決めた。この木を守ろうと。

それからも毎日毎日は男たちがここへやってきた。

毎日やって来ては一人を残し去っていく。その一人もしばらくすると、どこかへと去っていった。

だが、ある日。ついに残っていた男がこの木に触れた。その瞬間、私は男に飛びかかり噛みついた。

 

 

 

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とあるスクラップブック

 

◯月×日の新聞記事

△△県□□市の山中で70代男性の遺体が発見された。

遺体にはリスの噛み後と見られる傷があることから警察では事故として捜査を進めている。

男性はこの山の管理者でした。

 

とある雑誌特集

△△県□□市の山中でお宝発見?

家の奥から昔のおもちゃが出てきて、それがすごい価値のあるものだった。というのは、よくありますがなんと今回は斬り倒した木からお宝が出てきました。

出てきたのは、山中の古い老木。伐採し、細かくしていると、中から古いメンコや駒。当時のおもちゃなどがたくさん出てきました。

専門家によると、保存状態がよくこれだけで数千万の価値が出るとのこと。

中にはおもちゃと一緒にタイムカプセルと書かれた紙が入っていたことから当時の子供たちが入れたのでは?と言われています。

 

◯月◯日の新聞記事

△△県□□市の山中から二人分の死体発見。

一人は昨年から行方不明になっていた男性。

もう片方は完全に白骨化しており、身元の判別が難しく現在捜査中です。

死体の発見場所は先日森林管理者が事故で亡くなられた場所と同じで、管理者の男性がこの辺りの伐採整地に反対していたことから関連性がないか捜査を進めているとのことです。

 

 

 

 

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