「おはよう、プロデューサー」
「おはよう、透。あれ?今日は1人?」
いつもなら賑やかに入ってくる4人なのだが、事務所に入ってきたのは透1人だった
「樋口達ならコンビニ行ってる。なんか飲み物買うって」
「透は行かなかったのか?」
「私も行こうかなって思ったんだけど。『透、財布忘れてるでしょ』って樋口に。それで先にこっち来た」
「あーなるほどね」
「ところで何持ってるの?それ」
上着を脱いで近寄ってきた透の目線は俺の手元に注がれていた。それは有名なブランドのお菓子詰め合わせだった。
「これは社長から。いつも頑張ってる皆にどうぞ。って」
「食べていいの?」
「いいよ。ただ、食べすぎるなよ」
「はーい」
テーブルに置いた容器から早速、チョコを口に入れる透。その瞬間、透の目がかっと見開かれる。
「何!?これ!?美味しすぎ!!やば!!」
ヒョイパク、ヒョイパクと次々口へ放り込む透。が俺の目線に気づいて5個目は諦めたようだ。目を閉じて口の中のチョコを味わっている。
「……はぁ幸せだわ。今日って何かの記念日だっけ」
「まぁ一応はバレンタインだな」
「バレンタイン……。って、今日?」
「今日だね」
すると、透は慌ててカバンの中を探し始める。そして
「あー忘れたわ」
どうやら準備はしてくれていたらしい。
「気持ちだけで十分だよ」
「いや、そういう訳にもいかんでしょ。だから、これ。はい」
透が握りしめた手を差し出してくる。何なのかはわからない。俺も手を伸ばすと透の手が開きふわりと何かが落ちてきた。
パンツだった。
「……透さん。さすがにこれは……」
「あ、私のお古じゃないから」
「いや、そうじゃなくてね」
「拾った」
「拾ったのかー」
「おはようございま…」
とこのタイミングで円香達が事務所に入ってきた。そして、円香の視線は俺の手に乗っているパンツに目を向けられている。かと思うとあっという間に距離を詰めパンツを奪い取る。
「な、な、な、なんで貴方が……」
円香の顔は赤く染まり怒りと羞恥が入り交じっているように見える。そして、俺はとある推測に至る。
「透さんや」
「ん」
「どこで拾ったの?」
「樋口の部屋」
この後、担当アイドルに説教され事務所に正座する成人男性と女子高生の姿があったとか。