今回は、横浜美術館で行われている

第8回横浜トリエンナーレ

「野草〜いま、ここで生きてる」を

取り上げた回でした。


…はい、私があんまり得意じゃない

現代美術展ですね😅

でも、気になる作品がたくさん

紹介されていましたよ。



まずは、サンドラ・ムジンガさんの大型作品。

大きな鉄の骨組みに短冊状に裂いた

赤い布が編み込まれており、

クジラのような生き物のように見えます。


くすんだ色の布を一度裂いて使うのに

意味があるのでは?と思っていたら、

やはり、そこにポイントがありました。


彼女は、コンゴ民主共和国から

幼い頃にノルウェーに移住した経験から

白人社会で育った黒人という背景を

もっていました。

また、彼女は

「強い鉄と脆い布は『対比』、

布は『皮膚』であり、

私にとって皮膚は世界との接点である」

と話していました。


布をあえて裂いて使うということは、

自分の皮膚のことで社会で傷付いて

きたことを表しているのでしょうが、

それを編んでみせたことで、

自分は傷付くことで変化し、

より強くなって進化している様子も

伝えていると感じました。


これ、経年作品にしたらおもしろいかも。

布が年々裂かれて細かくなっていくけど、

その分、複雑な編み方ができるように

なって、鉄の骨組みは変わらないけど、

布が作り上げる形はさらにすごいものに

なるような。

長年生きた人の「深み」みたいなものを

表現する手法にもなりうると思いました。



次も、布を使った作品です。

緑色や黄色の布にくるんだ有刺鉄線を

黄緑色の背景の空間に張り巡らせています。


これを制作したのは、南アフリカ出身の

ルンギスワ・グンタさん。

彼女は、

「まだ、南アフリカはアパルトヘイト後の

社会にはなっていない」と話し、

その現状を作品で表現しました。


柔らかい布にくるまれた有刺鉄線は一見、

植物の蔓に見え、明るく自由な雰囲気を

醸し出していますが、

所々に飛び出る棘のような鋭い鉄先に

社会にいまだ蔓延る人の暴力性を

投影しています。


意図してやっているのかどうかは

よくわかりませんが、

ライトの加減で背景の壁に

有刺鉄線の影が映っているんですよ。

それが、より一層「隠れた暴力性」を

強く表している感覚を受けました。

あと、壁の色も平和な雰囲気を

感じさせる黄緑色だからこそ、

影のもつ気味の悪さも倍増している

気がします。


人種差別の根深さを可視化するという

意味では、一見、まっすぐのキレイな

線に見えるけど、壁に影をうつすと

棘の形が現れるようなものでも

おもしろかったかもしれません。

(見る角度によって棘が消えたり、

現れたりするようなものでもアリかも)


あと、これも経年作品にすると良さげです。

有刺鉄線の棘先を展示の度に鑑賞者に

やすりかなんかで削る体験をさせて、

たくさんの人が問題にかかわれば

いずれ必ず解決するという「希望」まで

表現できたら、観るほうも

「何かできないかな?」って意識の種が

芽生えやすくなるのではないでしょうか。


…と、私の勝手な演出妄想です笑

すみません、出過ぎたマネを🙇

でも、こういうの考えたりするのが

楽しいんですよね。


まだまだ書きたいことがありますが、

文字数がそれを許さないので

分けて書くことにします。