今日は、メイクアップアーティストの

小林照子さんの「からだ化粧」の特集でした。


裸体にメイク(というか、絵や模様)を

施す「からだ化粧」を生み出した小林さんが、

ダンサーの森山開次さんをモデルに

森羅万象をテーマにしたからだ化粧に挑む内容でした。


小林さんは森山さんの筋肉美を見て、

「たくさんの目がこの世を見通している

表現がしたい」と思い、テーマを決めました。


小林さんは化粧をする際に

自分の手を道具として使います。

小林さんにメイクをしてもらった方は

「小林さんの手を通して、

思いやエネルギーが伝わってくる」

話し、ご本人も

「手にはすごい力がある」

言っていました。


また、

「モデルの体を見ていると、体自身が

『ここにこれ書いてー』と言ってくる」と。

そして、

それは「肌が持っていた『記憶』」

なのでは、と表現していました。


これを、漫画家のヤマザキマリさんは

「体の内側に秘められているものを

化粧で一瞬可視化する

(化粧は永遠ではないから)、

イコール瞬間芸術である」

と話していました。


小林さんの話を聞いていると、

木工の彫刻家みたいなことを言うなー

と思いました。

「木がこういう形にしてくれと言っている」的な。


私の手でメイクを通して幸せにしたい」

という商売人の面もありながら、

職人としての気質ももちあわせている、

仕事人のお手本のような小林さん。

インタビューの時と作業の時の顔つきが

全然違うのも印象的でした。


あと、話し上手で聞き上手。

森山さんとの打合せのときに、

お互いが会話の中から創作のヒントを

見つけていく過程が捉えられていました。


オンオフの切り替えが上手かったり、

会話が上手いことは良い作品を生み出す

ための能力として大事なんでしょうね。


からだ化粧を施された森山さんが

太陽の下で踊ると

余計に筋肉の陰影が出ていて、

動いているほうが化粧映えしていました。


日本の化粧はもともと、縄文時代に呪術で

顔や体に赤色で模様を描いたのが始まり

と言われています。

赤色は生命力の象徴であり、

それを顔や体に塗り、魔除けをしました。


魔除けの化粧が、美意識の化粧に

変わったのは6世紀後半。

大陸文化の流入とともに中国から

「化粧」と言う言葉と、紅や白粉などの

化粧品が輸入されるようになりました。


さらに平安時代になると、

神殿造りの暗い部屋の中でも

顔がはっきり見えるように

白塗りに紅を引く化粧が根付いたようです。

この頃は男女とも化粧を行っていたとか。


なお、世界の化粧も最初は呪術や儀式に

用いられていたのはもちろん、

民族間の仲間意識を高めるためや

抗菌・日除けの機能性、また身分を示す

ものとして用いられていたそうです。


やはりこの時は男女とも行っていた

化粧ですが、古代ローマ時代になると

着飾る化粧になり、女性しか化粧を

しなくなりましたが、現代では

理想の自分になるために

再び男性も化粧するようになってきました。


cosmeticsの語源も、

ギリシャ語のkosmos(=秩序)が元にあり、

“コスモス”の反対の意味である

“カオス(chaos:混沌、みだれた)”の

状態を、コスモスの状態にするもの

と定義しているものや、

cosmetiqueの語源をcosmique(=宇宙)

と捉え、

英語の"コスモス(cosmos:宇宙)"

を連想することで、

化粧を森羅万象と繋がるためのものと

定義しているものもあります。

どちらにせよ、化粧は

精神や肉体をナチュラルな状態に戻す

技術、もっと言うと「治療」

と言っても大げさではないのかもしれません。

そう考えると、男性も日々心穏やかに

過ごせるなら化粧するに越したことないです。


でも、「化粧」と「ナチュラル」って
言葉にすると相反する感じがしますね笑