メキシコのトロリーバス
日本では、時代遅れの存在なんだろうな、黒部ダムの立山トンネル線、
関電トンネル線の2路線を残して今や見かけることとはありません。
黒部ダムの路線は、全区間トンネルなので、しょうがなくトロリーバスが
使用されているようですね。
実は、黒部ダム線とメキシコはちょっとした関係があります。
かつて黒部ダム-扇沢を結んでいたトロリーバス(関電100形)は
メキシコシティに譲渡されています。
ずいぶんと昔のことなので、譲渡されたバスは現役ではないのですが、
いたるところで、静態保存されています。
ペンキを新しく塗り替えられたり、アートスペースになったりと、
新しい人生(車生?)を歩んでいます。
トロリーバスは、ご存知のように、架線から取った電力を動力に動く車輌です。
そのため、日本では「無軌道電車」の扱いとなっています。
冒頭で書いた、「時代遅れ」というのは、まず第1に架線が必要なため、
設備投資が大きいこと、架線にも電力の流れがあるので折り返しなどには
ループ線などを使用しないといけないこと、そして、極めつけは、
従来のトロリーブスに引けを取らない、ハイブリッドバスが開発されている
ことが上げられます。
このメキシコでは、最近になって急激に新しい車輌が導入されてきてますが、
ちょっと前までは古い車輌が、黒い煙をはいて堂々と走っていました。
現在はだいぶ改善されたとはいえ、盆地という地理的条件も手伝って、
空気が汚いことにはかわりありません。
そんな環境の中では、トロリーブスというのは、排気ガスがなく、
騒音、振動も優れていたので、とても重宝されています。
「0 EMISION」と名を打って登場した新型車量も、昨年より運行してますので、
メキシコでは長い間お目にかかれるのではないでしょうか。
日本では、トロリーブスの仲間が復活することは今後ないとは思いますが、
変わりに、中量輸送が可能で、低床化が可能なLRT(ライトレール)が注目
されていますね。(日本だけでなく世界的にですが)
メキシコシティにも、新たにライトレールができる計画があるそうですけど
(計画では、ブエナビスタからソカロまで)、いつになるんだろうな。
僕が生まれたときには、既にトロリーブスは身近なものではなかったので、
特別な思い入れもなかったけれど、初めて乗って、トロリーバスに揺られた時、
同じ風景でも、ちょっと違った景色を見ることができるような気がします。
架線の平面交差でトロリーポールが、ガシャ、ガシャと音を立ててゆれる
ところもまた、なんとも言えず良いです。
メキシコでは、まだまだ現役のトロリーバス。更にECOな車輌も加わって、
今後もメキシコの大気汚染削減に貢献してくれるのだと思います。