新木は後藤が住むアパートの管理人から鍵を借り部屋に入った


令状も無く新木の独断で後藤の部屋に入るのだから


下手に部屋を探る訳にもいかず


ただ部屋を見回して何か事件に関わるものが無いか眼で調べた


「思いのほか結構部屋は綺麗なんだなぁ」


新木は普通男の一人暮らしなんて


そこら辺にゴミが散らばっており洗濯物も投げ捨ててある物と思い少し歓心した


しかし部屋を物色出来ないとさすがに事件と結びつけるきっかけをつかめず


諦めかけ玄関に向かうと新木は泥で汚れた一足の靴に眼をやった


「なんで左足の靴だけこんな汚れてるんだ?」


新木は少し考えてから何かを探すかのように部屋に戻った


その探してた物は部屋の隅に丸まって置いてあった


「ちゃんと干してないからまだ濡れてるな」


新木が手にしているのは後藤が着ていたフードJKとパンツだった


濡れたJKとパンツを何かないかと探りながらJKのポケットに手を入れた


「ん?なんだこの色?」


JKのポケットの中が何かで染みになっている


それを雨で濡れた事でにじみ新木の手にうっすらと付いたのだ


臭いを嗅いでもわからずポケットの中を裏返しにして


染みている部分を指でこすり付ける


「なにやら赤っぽいな…」


また新木はその指を嗅ぐ


すると突然新木は署に連絡をしてJKを鑑識にまわすように指示をして


自分は憲子が刺された事故現場に向かっていった


証拠を確かめる為に

将彦はコンビニで買った弁当を出しながら遅い夕飯の支度をした


「なんかバタバタしてすいません こんな事慣れてないのでバタバタしちゃって」


将彦はやり慣れてない夕飯の支度に手惑いながら後藤に笑いながら話した


「先にテーブルを拭いてからおかずとか置かなきゃ駄目だよ父さん」


幸太が将彦にダメ出しをしている


幸太は普段憲子の行動を見ているので大体の段取りはわかる


「それなら幸太も働いてくれよ 父さんはもうヘトヘトだ」


「しょうがないなぁ 母さんがいないと何も出来ないんだな父さんは」


幸太を食器やら飲み物を運びながら将彦を捻くった


そんなやり取りを後藤は見つめ家族…家庭…というものを初めて見た気がした



「さあ食べるか 少し遅い晩飯になってしまったけど」


将彦は幸太と後藤の顔を見回しながら箸を持った


「後藤さんコンビニの弁当ですけど遠慮しないで食べてくださいよ


なんならお酒もありますので用意しますよ」


将彦は後藤に気を使いながら酒とグラス2個を持ってきた


有名なブランディーらしいお酒をグラスに注いで後藤に渡した


後藤は少し頭を下げ会釈をした


「すいません…」


そしてチビリと一口飲みアルコールはすごい勢いで胃を通過した


その瞬間少し緊張の糸が緩みだしたのを感じた





「ただいまぁー」


「あっ!お父さんだ!」


幸太は玄関の方に振り向きそのまま駆け寄った


「おかえりー遅いよお父さん!」


幸太は将彦の後ろに誰か立っているのを見ながら言った。


「ごめんなぁ色々あって遅くなっちゃったよ 


お母さんは元気に寝てたから安心しろ明日か明後日ぐらいに


お見舞いにいこうな」


「元気に寝てたってどう寝てたの?」


幸太は意味が分からなく普通に聞いた


「まぁよく寝てたって事だ!そんなことより紹介しなくちゃ


どーぞどーぞ後藤さんあがってください」


将彦はごまかしながら後藤を家に上がらせた


「この人がお母さんを助けてくれたんだぞ


しっかりお礼をいいなさい」


「あっ…ありがとうございました …」


幸太はこの顔に見覚えがある


「いえいえそんな…別に当たり前の事したなんで…」


後藤は目をそらしながら居心地の悪さに困りながらしゃべった


「まぁここで話すのもなんなんでリビングの方にもで」


将彦は後藤を案内した


リビングに入ろうとした瞬間男が二人立っていて将彦は驚いた


「どうもすいませんなんか出るタイミングがわからずここで聞いてました」


一人の矢部が答えた


「あー刑事さん居てくれてたんですね。忘れたました はっはっは」


将彦は刑事が居てくれてた事に完全に忘れていて


恥ずかしながら笑いごまかした


後藤はその後ろでギクッとした


なんで刑事なんているんだよ 聞いてないぞ


やっぱり来るんじゃなかったな


後藤の顔は少し引きつりながらその場を眺めた


「お父さんが帰ってきたから僕達は引き上げますか


幸太君も僕達じゃつまらないみたいだしね」


矢部は幸太の方を見ながら帰る素振りを見せた


「刑事さんゲームへたくそだもんね」


幸太は笑いながら答えた


「ご飯ぐらい食べていけばいいじゃないですか せっかくなんですから」


将彦は矢部達を引きとめた


「いや これでもまだ署に帰ってやることがあるので帰ります」


「上司に怒られるのは嫌やですからね」


矢部達はそう答えると玄関に向かった


「そうですか わざわざ幸太のめんどうを見てもらってありがとうございます」


「いえ!これが職務ですから!」


矢部は敬礼して将彦の家を後にした


後藤はその一部始終をただ突っ立ったまま眺めていた


全身の汗が冷えて寒さに気づくのに数分かかった