「はぁ~面白くない…」


バーで一人自棄酒を飲みつぶやいている


運なんてあるんだろうか?


俺とあいつの席が違ってたら俺は勝っていたのに


なんで俺はあんなスロットを打ってしまったんだろ…


後藤広樹はギャンブルに負けて自棄酒を飲んでいた


「ついてねぇーなぁ…ほんと」


何やっても駄目 面白い事なんて何も無い


このまま生きていても未来が見えない


俺はどうなるんだろうこの先


このこの歳で大金持ちにはなれないし


事業をやるって言っても才能もないし


残るは犯罪ぐらいか…


後藤は冗談交じりで苦笑した。


「犯罪かぁ…」


「窃盗やるとしても今の防犯システムは、すごいからなぁ」


「俺なんてすぐ捕まっちまうな」


「人を襲うなんても怖くて出来ないしな」


知らない人から金品を奪うなんて、自分が出来るかどうか


後藤は頭の中でシュミレーションしてみた。


「出来ないよなぁー理性が出ちまうよ」


「理性か…」


どうしたら理性を捨てる事出来るんだ?


酒を浴びるほど飲んで記憶を飛ばすか?


記憶が飛んだら意味ないか


後藤は真剣に考えていた。


グラスに残った酒を飲み干し


店から出た。


家に向かいながら少し千鳥足で、理性の消し方を考えていた。


少し猫背気味でフラフラと歩きただ理性を忘れる方法をつぶやきながら歩いた。


ドンッ!


肩に何かぶつけたなと思いながら何も気にしないでそのまま歩いて行こうとすると


「おいっ!人にぶつかって来ながらそのまま行くのかっ!」


中年の男が後藤を呼び止めた。


後藤はぶつぶつと言いながらその男を無視するかのように歩いていく。


中年の男はその態度にイラついたのか後藤を追いかけた。


中年は後藤に追いつくと肩に手を取り無理やり振り向かせた。


後藤は強引に振り向かせられたので、回転しながらその場に倒れた。


「なんだ!酔っているのか?」


「まったく 常識を知らない若者が酔っ払うと性質が悪い!」


中年の男は後藤の姿を見て苛立ちを覚えた。


今の若者は自分さえよければいいと思っている者ばかりだ


だから世の中がおかしくなる。この若者もどうせその類に入ってるんだ。


中年の男は無理やり後藤を起たせて、襟を掴み乱暴に揺さぶりかけて


怒鳴り散らし始めた。


後藤は揺さぶりかけられて、頭がグルグルと回り天地がひっくり返る感覚に襲われた。


「わぁーなんだ!止めろ!」


「気持ち悪りぃー止めろって言ってるんだよ!この野郎!」


後藤は無意識に襟を掴んでいる中年の男に頭突きをかまして、開放された。


中年の男は鼻を折られその場に倒れこんだ。


「なんなんだよアンタ?イキナリつかみ掛かってきやがって」


「俺が何をした?あぁ!」


後藤は酒のせいもあるがひどい興奮状態になっていた。


無意識に鼻を押さえ倒れこんでいる男の腹を蹴り上げた。


その瞬間自分が好きな映画のシーンと同じだと思いながら


またそれで興奮して、さらに蹴り上げた。


悪態を吐きながら蹴り続け唾を吐いた。


なんなんだこの開放感


いつもだったら相手に傷つけないように謝りながら


許しを願う 許してくれるまで相手の眼を見ないでひたすら謝る


これで自分が助かるのなら安い物だ。


相手に暴力を振るなんて怖くて出来なかった。


それが今ギャング映画みたいに相手を蹴り上げて


悪態を吐くなんて、こんな気持ちいいものなのか


後藤は顔をその中年の男の顔に近づけ


「てめえの時代は終わったよ。くだばりな」


と後ろポケットに入ってたナイフで中年の男の腹を何度も刺し


男が死ぬと解かるとそのまま立ち尽くした。


あー俺ナイフいつも持ち歩いてるんだっけ


襲われたら威嚇の為に持ってたんだ。


って言ってもナイフを持ち始めてからもう2年経つけど


やっと実ったよ。


理性も消し飛んだな


こんなに簡単な事だったんだな…


「そうだ レンタル屋に行ってギャング映画でも借りようかな」