暗い夜道を歩いている。街灯も無く辺りは真っ暗だ


一人で歩くには寂しくタバコに火を点け気持ちをまぎわらす


毎日歩いている道だ 暗くてもどの辺が段差になっているかとか水溜りがあるとか大体わかる


それでも先は闇のように暗い


時折背後に気配を感じ振り返る事がある


気のせいだとわかっていてもいつも振り返ってしまう


いつも通る交差点を渡る前にいつも脳裏を過ぎる


横から突然何かが飛び出して来ないか?


自分がこのまま進めばぶつかってしまうんじゃないか?


自分は一旦止まった方がいいのか?


見えない角度は自分を不安にさせる


偶然を誘発させるには何も考えないで進めば高い確率で事故を起こす


今日は当たるか?


今日は少しあぶなかった


明日はどうだろう?


そんな事を繰り返してもう何年になる?


今日もいつも通り暗い道を歩く


携帯が鳴っている めずらしい誰からだろう?


懐かしい相手からかかってきた


懐かしさのあまり少しテンションが上がり会話もはずむ


会話に夢中で横に気配を感じたときはもう遅かった


偶然は無意識から誘発されるのか…



現場に着いた新木は暗くなった道を懐中電灯で照らし地面を見つめた


憲子が倒れた場所に腰をかがめ調べた結果


自分の推理と事故現場の状況が一致したと確信した


新木は急いで署に戻り後藤のJKの鑑識を急がせた


証拠が揃い次第後藤の逮捕に向かった






新木は扉を軽く叩き病室に入った


「どうも牧野憲子さんですね?私は南署の新木と言います」


憲子はベッドで身体を起こし頭を下げ事件の事について


聞かれるのかなと思い事件当日を思い出そうとした


新木は躊躇い言いにくそうに答えた


「犯人は捕まりました」


「本当ですかーそれなら安心ですねもう」


憲子は安堵した後に新木はまた口を開いた


「はい あなたやあなたの旦那さんを刺した犯人は捕まりもう安全です」


「……え?…」


憲子は耳を疑った


「旦那さん…」


新木は続けた


「牧野将彦さんは後藤と言う犯人に刺され亡くなっています


息子さんは無事だったんですが意識不明で病院に運ばれ治療を受けています」


「なんで…将彦さんが…刺されるの…?」


憲子は一点を見つめただそれだけをくりかえしている


新木の言葉はもう耳には入ってこなかった



数日後幸太は目を覚まして


事件当夜の出来事を頭の中で回想していた


「罰は罪…」


後藤が繰り返し言っていた言葉を


幸太は繰り返しつぶやいてる




終わり

「彼女とかいるの?」


将彦は少し慣れしたんだように後藤に話しかけ


自分との距離を縮めていった


酒も入っているせいか将彦は少し酔いながら後藤に近づいていった


「いや…いないっすよ…彼女なんて…」


後藤はその将彦との距離に少し躊躇いながら答えた


躊躇いながらも将彦のすすめる酒を拒む事も出来ず


ただ飲み続け意識と理性の分岐点を振り子のように交差した


「駄目だ…意識が消える…」


後藤はぼっそっとつぶやいた


幸太をその後藤の変化する顔を見続けた


将彦はそんな後藤の状態を気にせずしゃべりつづけた


憲子助けてくれた事に将彦は後藤にありがとうと


後藤の両手を握り頭を下げ何度も同じ事を繰り返している


「本当に感謝しているよ後藤君 本当に」


将彦はかなり酔っているみたいだ


そんな将彦を後藤は見つめながら無意識に答えた


「俺が……」


「ん?なんだい?後藤君」 将彦は重そうな頭を上げ後藤を見上げた


「俺が刺したんだ…」


「え?何?」将彦は笑いながらソファーにもたれ掛かった


次の瞬間後藤の理性は吹き飛び


「俺があんたの奥さんを刺したんだよ!」


後藤はポケットからナイフを取り出しこれで憲子を刺したと将彦の目の前にやった


将彦は何がどうなったか状況整理が出来ずただそのナイフを見つめた


幸太を冷静に自分の母親を刺した人間が目の前にいると把握して


その母親を刺した後藤をただ見つめている


「俺はなんで人を刺したんだ?おい?なんでこんな事になっちまったんだよ!」


後藤は将彦に問いかけるかのように泣き叫んでいる


後藤の罪意識が将彦の優しさ、家族を思いやる気持ちに耐えられなくなり


自分の罪を認めた


その代わりに罰を受ける恐怖に耐えれないと後藤の意識の中で訴えている


その時罪と罰を天秤にかけた時どちらが重いか?


後藤は意識と理性で量った


天秤がどっちに傾いたか幸太はすぐにわかったが


身体が動かなかった…


将彦も何もわからず意識だけが消えた…