わたしがまだ高校生の時に、オールナイトニッポンだったでしょうか、井上真樹夫さんが出演してくださったことがありました。
そしてその時、アルビノーニの絃楽とオルガンのためのアダージョという曲にのせて、詩を朗読してくださいました。
内容はほとんど覚えていませんが、海の詩だったこと、そしてそれを朗読してくださった井上真樹夫さんの深々とした声の抑揚が、今も心の奥底に生きています。
人が亡くなったとき、よく「彼(彼女)は心のなかに生きている」と言われますが、今までわたしはその言葉が気休めにしか思われませんでした。
井上真樹夫さんが亡くなられたとき、悲しすぎて現実から顔を背けていたわたしでしたが、今回カラヤンのアダージョというCDでこの曲を聴いて、
井上真樹夫さんがどれほど明確にわたしの心に生きていらっしゃるかを、深く思い知りました。
クリスチャンは、亡くなることを帰天といいますが、まさに井上真樹夫さんは天国におられ、わたしの心に寂しくないよと語りかけてくださっているようです。
井上真樹夫さんという稀有な声優さんに若い日に出会えたことを感謝し、このカラヤンのアダージョを大切に聴いていきたいと思います。
声優 井上真樹夫さん

