義父に描いた名探偵コナンの佐藤刑事のイラスト

義父とはうまく行かない方が多いと聞きますので、この話が自慢話に聞こえたら本当にごめんなさい💦


わたしの義父は、いま脳梗塞を起こし右半身付随になって特養ホームに住んでいます。


わたしが今の夫と再婚する前に、子供が三人いるわたしは、子供たちが自立してから結婚しようと話していました。


お金目当ての結婚にしたくなかったからです。子供たちはティーンエイジャーで、少し待てば自立できそうでした。


でも、病気もちのわたしは生保をうけていて、精神的にとても苦しい状態だったのです。


話を全て聞いた義父は、夫に「はやく助けてあげなさい」と言ってくださったそうです。そしてそれがきっかけで夫とわたしはすぐに結婚することを決めたのでした。


乱暴な父親しか知らなかったわたしは、足に障害を持っていても力強く生きておられ、ひとの痛みのわかる義父を本当の父のように慕ったのでした。


その義父が突然脳梗塞になり、突然家に帰れなくなり、特養ホームに収容されたとき、本当に胸が痛みました。


園芸が得意で、お正月には梅の寄せ植をたくさん作って知人に配ったり、繊細な小鳥の彫り物をたしなんでいた義父が、本当に突然、自分では何もできなくなってしまったのです。


わたしは義父に何か恩返しができないかと考えました。そして、もしも毎日葉書が届いたら、少しは気晴らしになるのではないかと思いました。


映画のなかなどで、戦地にいった男が親友に毎日手紙を書くのを見て、憧れてもいました。


それから約一年、コロナにかかった数日以外、毎日義父に葉書を書き続けています。


名探偵コナンの映画を観ることが多いわたしは、コナンのキャラクターを説明するために、ときには手書きのイラストを添えて送りました。


こんなことをしても義父の苦しみのまえにはどうということはないのではと思っていましたが、面会に行った夫の話によると、本当に嬉しそうにしているとのことでした。


わたしも、時には書くのが苦しい日もあるのですが、だんだんと自分の楽しみのようになってきました。


葉書一枚書くことが、意外と胸がすっとするような達成感を与えてくれるのです。


話のネタを探すために散歩に行ったりドキュメンタリー番組を観たりもして、生活の幅が広がりました。


なにより、誰かのお役に立てていることが生き甲斐になっているのです。


義父は、奇跡的に右腕が少し使えるようになり、棕梠の葉っぱで作るバッタのつくりかたをホームの皆さんに出来るようになりました。


家に帰る、と意志を固めて涙ぐましいトレーニングを続けているのです。


まだまだ先になるかも知れませんが、家に帰れるその日まで、わたしは葉書を書きつづけたいと思っています。