恵理矢には、「女の子の縄跳びじゃましないのよ」というと「うん」という素直な返事が帰ってきましたが、あとでもっと詳しく聞くと、「静かにしてって言っても誰も聞いてくれないから、ばかばかしくなって僕も席を離れるようになっちゃった」とのことでした。

あの騒然とした教室で、ただ恵理矢に「静かにして」といい続けなさいというのは無理な相談でした。

わたしは小学校の教師だった母が、「文部省が必要のない仕事ばかりふやすから時間が足りない」といって仕事を家に持ち帰っていたことを思い出しました。

それで、二どめに先生にお会いしたときには、責めても意味がないと思ったので、「先生はきっと疲れておいでなのだと思うので、たくさんやすんでたくさん遊んで下さいね」と申し上げると、嬉しそうに笑っておられたのが印象的でした。