いちばん悔しかったことは、夫がわたしを守ろうとしなかったことです。

いい人を演じるのが大好きなあの人は、わたしではなく母と兄の味方に回ったのでした。兄をわたしと二人きりにし、日中その狭い部屋に置き去りにすることを望んだのです。


夫はいつもそうでした。わたしが父からの暴行を打ち明けたときも、「俺の昔の彼女もそうだったからわかっている。」と言って、話に耳をかそうともしないのです。


そのひとことがどんなダメージをわたしに与えるかは、きっと読者の皆さんの方が良くわかるのではないでしょうか。


昔の彼女の話を持ち出すことすらデリケートな問題なのに、それを理由に妻の心を拒絶するわけですから。