俺には、不味い物を無理して食う習慣はない。
小学校の頃、あの臭い牛乳を飲み干すことが「善き行い」とされている時代に
「不味くて飲む気になれない」と言い張ってずっと飲まないでいた。
もちろん、馬鹿な教員との無駄な対立を避けるために毎日の牛乳は巧妙な方法で破棄されていた。
この不味いものは食わないという習慣は、歳を重ねるにつれ徹底したものになっている。
普通に売っている野菜は不味すぎて食えない。
ストレートジュース以外は飲めない。
飲み屋の食い物などはゴミの臭いがして困るのだが、酔った勢いで口にすると、後で全部吐いてしまう。
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ここでグズグズ愚痴をいっても始まらない。
俺がいま一番おいしいと思うものを一品だけ紹介しよう。
それは「天然ヤマトイワナの刺し身」である。
もちろん商業用に流通してはいない。
間違っても養殖イワナであったりニッコウイワナなる帰化種ではない。
2日間かけて山に入り、自分で釣り、絞めてからすぐにフィレナイフを使い三枚におろし、現地で採った山ワサビで喰らう。
毎年夏にこの「マイ行事」があるから、毎日の厳しい日常を生きていられると言っても過言ではない。