ぺる Ⅱのブログ

ぺる Ⅱのブログ

続・チラシの裏書き

 

 

 

目次 

 

2021

01(03/08)ベルリン少女像前で女性デーに初集会「女性の人権の普遍的象徴」

02(03/08)[寄稿]日本軍「慰安婦」の責任、ICJに付託すべき

03(03/09)文大統領「慰安婦被害者をはじめ、女性により苛酷だった韓国の近現代史に思いをはせ」

04(03/09)茂木外相が駐日韓国大使との面会を見送り続けるわけは

05(03/10)「慰安婦歪曲」論文のラムザイヤー教授「討論は別の学者の役割…紛争拡大は望まない

06(03/10)[寄稿]韓国と日本、未来にかかわる歴史問題

07(03/11)日本の学界・市民社会も「ラムザイヤーの『慰安婦』論文掲載撤回」へ初の共同声明発表

08(03/13)[キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦18]「構造的不和」の韓日、対話で解決は可能か

09(03/15)日本の「慰安婦」研究の第一人者「ラムザイヤー論文、でっち上げも含まれる」

10(03/19)ブリンケン米国務長官「日本軍『慰安婦』は深刻な人権侵害」

11(03/19)[コラム]ラムザイヤー「慰安婦」論文に沈黙する日本メディア

12(03/20)[レビュー]「日本人『慰安婦』」、植民地の「慰安婦」との共通点と違い

 

 

 

--------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 

01 

ベルリン少女像前で女性デーに初集会「女性の人権の普遍的象徴」
登録:2021-03-08 03:01 修正:2021-03-08 10:08

昨年、ドイツの公共の場所に初めて設置 
日本の圧力による撤去危機を乗り越え、女性デー集会 
家庭内暴力、少数民族の人権問題など提起 
「少女像はこれ以上沈黙してはいけないと言っている」



6日、ドイツ・ベルリン市ミッテ区にある「平和の少女像」前で、市民が「国際女性デー」記念集会を行っている=ハン・ジュヨン通信員//ハンギョレ新聞社

  国際女性デー//ハンギョレ新聞社

 

 「今日は歴史的に意義深い日だ。ベルリンの人々、特にここモアビットにいる方々とともに『平和の少女像』の前で初めて国際女性デーを記念するからだ」
 

 「国際女性デー」の2日前の6日午後1時30分ごろ、ドイツ・ベルリン市ミッテ区のモアビット地区に位置するベルリン平和の少女像前で、コリア協議会のハン・ジョンファ代表が力強く語った。ベルリンの「平和の少女像」前で「国際女性デー」記念集会が開かれるまでには、様々な山があった。ベルリン平和の少女像は昨年秋、ドイツの公共の場所としては初めて建てられたが、その後、日本政府が全方位的な撤去圧力を加えた。ミッテ区も一時、撤去命令を下した。しかし独韓団体「コリア協議会」とドイツ市民が法廷闘争まで繰り広げ、昨年末に存置決定を引き出した。最近でもドイツ自由民主党(FDP)所属の3人の区議会議員が「戦時性暴力を象徴する美術作品の公募展を再び開き、(平和の少女像の代わりに)一般的な戦時性暴力問題を扱う作品を建てよう」と提案するなど、撤去を図る動きが続いている。
 

 この日の集会は、平和の少女像設置に力を注いだコリア協議会とドイツの女性団体「クラージュ」が共催した。ベルリンの市民団体の会員や現地の韓国人など200人あまりが集まり、参加者たちは「私たちが平和の少女像だ」と書かれた横断幕を掲げた。
 

 この日の集会では、日本軍慰安婦被害だけでなく、「DV(家庭内暴力)反対」から、妊娠中絶、少数民族の人権問題まで、女性と人権に関する様々な声があがった。インド東南部やスリランカ北東部などに多くの人口が居住する少数民族タミル人の団体は「国際法的真相究明なくして、タミル人の自由と平和はない」と叫んだ。国連は、シンハラ人が多数を占めるスリランカで1983年から2009年まで続いた政府軍とタミル人反乱軍との内戦で、8万~10万人が犠牲になったと推定している。内戦の過程でタミル人民間人の虐殺のような戦争犯罪疑惑も提起されている。
 

 ハン・ジョンファ代表は「平和の少女像は性奴隷を強要された女性を象徴している。平和の少女像は、公に自分をさらけ出し家父長制に挑戦状を突きつけた女性たちに関する物語だ」「平和の少女像はベルリンに存置されねばならない」と声を強めた。また「性暴力反対、女性の人権、世界平和を普遍的に象徴する平和の少女像は、ドイツの歴史でもある」と述べた。韓民族欧州連帯のチェ・ヨンスク代表は「平和の少女像は、戦争暴力の犠牲となったあらゆる女性を記憶している。平和の少女像は、私たちにこれ以上沈黙してはいけないと言っている」と述べた。
 

 デモに参加したチョン・スニョンさんは「地域社会で長い間活動してきた方々が多く参加したと聞いている。突然寒くなったにもかかわらず、新型コロナウイルス防疫守則を守りながら最後まで参加していたことに驚いた」と感想を述べた。デモに参加したタミル人学生ミトゥシャ・センティルクァラさん(16)は「国際女性デーを迎え、女性の人権に注目すべき時に、このように少女像の前でデモすることは意義深いと思う」と話した。



6日、ドイツ・ベルリン市ミッテ区にある「平和の少女像」前で開かれた「国際女性デー」記念集会で、市民が「私たちが平和の少女像だ」と記された横断幕を掲げて立っている=ハン・ジュヨン通信員//ハンギョレ新聞社

 

ベルリン/ハン・ジュヨン通信員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/985744.html
韓国語原文入力:2021-03-07 16:01
訳D.K

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

02 

[寄稿]日本軍「慰安婦」の責任、ICJに付託すべき
登録:2021-03-08 08:50 修正:2021-03-08 11:03


シン・ヒソク 延世大学法学研究院/転換期正義ワーキンググループ研究員
 

 最近、日本軍「慰安婦」生存者であり、女性人権運動家として2007年の米下院決議121号の採択、2017年のサンフランシスコ記念碑建立、今年初めのマーク・ラムザイヤー教授の歴史歪曲論文に対する反論などで先頭に立ってきたイ・ヨンスさんが、韓国と日本政府に日本軍「慰安婦」問題の国際司法裁判所(ICJ)付託を求めた。
 

 1月8日、韓国の裁判所は日本軍「慰安婦」制度が反人道的犯罪だったことを確認し、日本政府の法的責任を認めた歴史的な判決を下した。しかし、むしろ日本は韓国の管轄権免除(主権免除)違反を主張し、ICJへの提訴を示唆した。
 

 これに対しイ・ヨンスさんは、この30年の「慰安婦」運動の延長線上で戦争犯罪認定、真相究明、公式謝罪、法的賠償、責任者処罰、歴史教科書への記録、追悼碑と史料館建設など7つの要求事項、特に犯罪事実の認定と公式謝罪を勝ち取るために、ICJへの付託を提案したのだ。
 

 もちろん、全ての訴訟には敗訴のリスクが伴う。1月8日に判決が下された、ナヌムの家で生活する「慰安婦」被害女性たちの訴訟も、2013年8月の調停事件から始まり日本の拒否により2016年1月に訴訟に移行した時は、主権免除で却下の見通しが優勢だった。
 

 韓国の裁判所で敗訴したなら、「慰安婦」運動は相当な打撃を受けたことだろう。実際、2016年12月にイ・ヨンスさんらを原告として挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)が起こした訴訟は、(8日の判決の)5日後の1月13日に判決が下る予定だったが、裁判部が突然弁論を再開し、様々な推測を生んだ。
 

 このように、韓国国内での訴訟の勝訴も敗訴のリスクを甘受した結果であり、イ・ヨンスさんは今回も苦心の末、ICJへの付託を求めたのだ。
 

 国連の司法機関であるICJは、大国の国際法違反にも厳正な態度を示してきた。2014年、日本は唯一のICJ訴訟で、鯨の乱獲でオーストラリアに提訴され敗訴した。ICJは1986年のニカラグアのコントラ反軍支援事件、2009年のウィーン条約に違反した54人のメキシコ人死刑囚事件で米国に敗訴判決を下し、2004年のパレスチナの壁、2019年のチャゴス諸島の「勧告的意見」でそれぞれイスラエルと英国の国際法違反を確認した。
 

ICJは判決において、当事国が付託した各法的事案について個別判断を下す。
 

 「慰安婦」被害者たちが日本に切実に要求する「慰安婦」制度の犯罪事実の認定は、国連、米国など国際社会では常識に通じる。ドイツは過去、戦時強制労働は戦争犯罪だったことを認めながらも、戦後の条約で個人請求権が放棄されたという立場だが、日本は「慰安婦」制度が国際犯罪ではないと主張しているので、ICJによる犯罪確認は被害者の人権救済の重要な中心となるだろう。
 

 国際法違反には金銭的賠償だけでなく、違反認定と公式謝罪、責任者処罰、再発防止などの義務が伴う。日本軍「慰安婦」問題の場合、ICJで歴史教育と歪曲反論義務も主張できる。
 

 一方、日本の1965年の韓日請求権協定による個人請求権放棄の主張は、「慰安婦」被害者の場合1991年までは日本政府が関与を否定したため成立は難しい。2015年の12・28韓日合意は、個人請求権に関する言及がない。たとえ金銭的賠償の請求権が放棄されても、犯罪認定と謝罪、歴史教育のような非金銭的義務まで条約によって消えることはない。


 2012年、ICJは11対3の表決でドイツの戦時強制労働に対する主権免除を認めたが、軍隊の性奴隷制は強制労働よりさらに重い犯罪だ。既存のICJの判例が変わらなければ、韓国の裁判所の判決は国際法違反だという主張は続くだろう。ICJが再び主権免除を認めても、これは手続き的に韓国の裁判所で日本政府を提訴できないだけであり、実体的権利・義務には影響がない。
 

 ICJ裁判は、かつてのニュルンベルクや東京裁判のように、膨大な分量の「慰安婦」歴史資料と証言を裁判記録として後世に残す付随的効果もある。


 イ・ヨンスさんが「慰安婦」問題のICJへの付託を強く求めたのは、被害者が一人二人と亡くなる中、ほかの代案がないからだ。韓日関係は膠着状態であり、韓国裁判所の判決も日本政府が拒否してしまった。
 

 「慰安婦」問題のICJへの付託のためには、韓日両国政府の特別協定(special agreement;compromis)の締結を通じた合意が必要だ。韓国が日本に「慰安婦」問題の付託を提案すれば、日本が独島問題などのICJへの付託を逆提案するだろうという懸念も提起されている。
 

 しかし、これはまるで拉致・強姦被害者との合意を議論する場で同時に不動産に関する交渉までしようというのと同じだ。日本がそのような常識外の主張をするなら、ICJ付託拒否と見なせばいい。国際社会も「慰安婦」問題のICJへの付託を避けるための浅ましい手段とみなすだろう。
 

 日本軍「慰安婦」問題のICJ付託は、韓国政府の政治的意志さえあれば、普遍的な女性人権と未来志向的な韓日関係のレベルで国際的共感を得ることができる。日本もICJ付託の要求があれば、口先だけで国際法順守を叫ぶのではなく、これを実践に移すべきだ。


  //ハンギョレ新聞社


シン・ヒソク|延世大学法学研究院/転換期正義ワーキンググループ研究員
 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/985804.html
韓国語原文入力:2021-03-08 04:59
訳C.M

 

目次 

 

 




 

 

 

 

 

03 

文大統領「慰安婦被害者をはじめ、女性により苛酷だった韓国の近現代史に思いをはせ」
登録:2021-03-09 04:48 修正:2021-03-09 07:49

SNSに国際女性デーに関する書き込み


文在寅大統領がSNSにアップした文章//ハンギョレ新聞社

 

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8日の国際女性デーを迎え、「慰安婦被害者をはじめとして、女性たちにとってより苛酷だった韓国の近現代史に思いをはせつつ、屈せずに女性の地位を高めてきたすべての女性たちに敬意を表する」と述べた。
 

 文大統領はこの日、フェイスブックなどのSNSに「国際女性デーおめでとうございます」との見出しをつけた文章をアップした。文大統領はこの文章で「国連女性機関(UNウィメン)の定めた本年の『国際女性デー』のテーマは『リーダーシップを発揮する女性たち:コロナ禍の世界で平等な未来を実現する』だ」とし「各分野で女性が同等な権利を持ち、指導者の役割が果たせる世の中を作っていく」と明らかにした。文大統領は「韓国はこの分野で非常に恥ずかしい水準だ。女性がキャリアの断絶なく、より多くの場でより多く働く時、抱擁的な回復と跳躍も早まることだろう。政府がまず模範を示すよう目標を高めていく」と付け加えた。
 

 文大統領はまた、パク・ワンソの小説『私がいちばん最後まで持っているもの』に出てくる「私が見て感じる私がもっと重要だ」というくだりを引用しつつ「私たちは長い間、周辺によって規定された人生を生きねばならなかったし、女性たちは何倍もの困難を経験した」とし「しかし、偏見と差別を乗り越えて自分を見出した女性たちがおり、おかげで私たちは互いの感情と生を尊重する方法を学び、実践するようになった」と記した。文大統領は「コロナの困難の中でも、女性たちは危機克服の支えとなり、より多くの苦しみを経た。深く感謝の意を表し、また重い責任を感じる。私たちが誇らしく『国際女性デー』を祝える日が来ることを祈る」と結んでいる。
 

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/985840.html
韓国語原文入力:2021-03-08 11:45
訳D.K

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

04 

茂木外相が駐日韓国大使との面会を見送り続けるわけは
登録:2021-03-09 06:08 修正:2021-03-09 06:51

「日本政府、慰安婦など、韓国側が解決策示すまで応じない構え」 
問題解決に乗り出さない韓国への対抗措置



カン・チャンイル駐日韓国大使=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 

 茂木敏充外相が、新しく赴任したカン・チャンイル駐日韓国大使との面会を意図的に見送っていることが分かった。韓国大使が着任してから1カ月以上外相との面会を果たせないのは、極めて異例だ。
 

 読売新聞は8日付で、「慰安婦問題や元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題で、韓国側が受け入れ可能な解決策を示すまでは(カン・チャンイル大使との)面会に応じない構えだ」と報道した。同紙は政府関係者の話として、カン氏への厳しい対応は「問題解決に動こうとしない韓国への事実上の対抗措置」だと強調した。同紙はまた、外務省幹部の話として「日本の外相が各国の新任大使と面会するのは、儀礼的な意味だけではない」とし、「面会のタイミングは『両国関係を測る尺度』」だと報じた。
 

 「慰安婦」問題などについてはただちに解決策作りが容易でないだけに、日本政府を相手にしたカン大使の活動はかなりの制約を受けるものと見られる。カン大使は今年1月22日に日本に着任し、新型コロナ防疫対策として2週間の隔離期間を経て、先月12日から大使としての活動を本格的に開始した。カン大使は茂木外相との面会を希望するという意思を日本政府に伝えたという。
 

 前任のナム・グァンピョ前大使は2019年5月9日に赴任し、4日後に河野太郎外相(当時)と面会した。着任12日目の同月21日には、当時の安倍晋三首相を表敬訪問した。イ・スフン元大使は2017年10月31日に着任し、2週間後に河野外相(当時)との面会を果たした。


 日本政府は「慰安婦」被害者と強制動員問題をめぐり、受け入れられる解決策を韓国側が示すことを韓日関係改善の前提条件として掲げている。今回のカン大使との面会拒否もその延長線上にあるもので、解決策が提示されなければ様々な分野での協力拒否もあり得ること示したわけだ。チョン・ウィヨン外交部長官が新たに任命され、先月9日から業務を始めたが、茂木外相との電話会談すら行われていない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が年頭記者会見に続き、三一節記念式典での演説でも日本政府に対話を呼び掛けたが、日本政府は「具体的内容がない」として、韓国側が解決策を示すべきという従来の立場を繰り返した。
 

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/985839.html
韓国語原文入力:2021-03-08 11:44
訳H.J

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

05 

「慰安婦歪曲」論文のラムザイヤー教授「討論は別の学者の役割…紛争拡大は望まない
登録:2021-03-10 02:38 修正:2021-03-10 07:10

同僚教授にメール送り…問題発覚後、初の公式行事も 
AP通信の報道後、主要外国メディアも相次いで報道



日本軍慰安婦被害者のことを「売春婦」だとする主張を展開して批判を浴びている米ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授=ハーバード大学資料写真//ハンギョレ新聞社

 

 日本軍「慰安婦」のことを売春婦だと主張した米ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授が「論文に関する討論は他の学者たちに任せる」と述べたことが分かった。


 ハーバード大学の校内紙「ハーバード・クリムゾン」は8日(現地時間)、ラムザイヤー教授が先月25日にロースクールの同僚教授に送った電子メールで、「論文の内容について、なぜそう書いたのか、包み隠さず説明したいが、それは私の研究の中心課題ではない」と述べた上で、このように語ったと報じた。ラムザイヤー教授はまた「これは重要で敏感な問題」だとし「これ以上紛争を拡大させたくない」と付け加えた。
 

 論文についての討論は自分の役割ではないと述べたラムザイヤー教授はしかし、釈明は別途準備していることを明らかにした。同氏はこの電子メールで「どんな内容が私の論文に含まれており、除かれているのか、なぜそのような決定をしたのかを説明する文章と資料を準備中」と明かした。ラムザイヤー教授は先月中旬に「ハーバード・クリムゾン」に2回にわたって電子メールを送り、自分の論文を擁護する短い文章を準備中であり、近く完成すると伝えている。
 

 ラムザイヤー教授は、慰安婦歪曲論文をめぐる問題以降、公式行事に初めて姿を現してもいる。同氏は8日、ハーバード大学日米関係プログラムが主催したオンラインセミナー「カルロス・ゴーン問題と日本企業の支配構造」に討論者として参加した。ラムザイヤー教授は、学校の授業は正常に行われているが、公開行事に出席したのは今回が初めてだ。このセミナーは、報酬の縮小申告や横領などの容疑で起訴された日産のゴーン前会長が日本を脱出した事件を機に浮き彫りとなった、日本の司法制度の問題点などが話し合われた席だった。ラムザイヤー教授は同セミナーで、日本の司法制度を擁護する主張を行った。
 

 ラムザイヤー教授の論文に対する批判の世論が広がったことから、主要な海外メディアも相次いでこの事案を報道しはじめた。英日刊紙「ガーディアン」は8日「ハーバード大学教授が、日本軍『慰安婦』女性に関する主張で激怒を引き起こした」と題する記事を掲載した。同紙は、ラムザイヤー教授の主張は「戦時の残酷行為を隠そうとする日本の極右保守派が支持する見解」とし「著名な学者が、同論文は歴史的根拠がないと指摘した」と報じた。ガーディアンだけでなくニューヨーク・タイムズ、FOXニュース、APなどの主要海外メディアが最近、ラムザイヤー論文に対する批判的な動きを報じている。
 

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/986015.html
韓国語原文入力:2021-03-09 14:28
訳D.K

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

06 

[寄稿]韓国と日本、未来にかかわる歴史問題
登録:2021-03-10 05:51 修正:2021-03-10 07:51


歴史問題の核心は、加害者の反省と被害者の許し、和解にある。これを通じて、加害者と被害者が過去の問題が再び起きてはならないという共通の認識を持たなければならない。共通の認識が目的であって、賠償が目的ではないのだ。今後、再び犯罪を犯しても、お金で賠償すればそれで済むのだろうか。
 

パク・テギュン ㅣ ソウル大学国際大学院長
 

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は三一節記念式典での演説で、韓日関係改善の必要性を強調した。特に歴史問題が未来に向けた両国の協力を妨げてはならないとして、歴史問題と懸案を切り離すことを呼び掛けた。韓日関係の未来に向けて最も重要な原則を明らかにしたのだ。ならば、歴史問題は重要ではないということだろうか?
 

 未来のためにも、歴史問題を解決するのはあまりにも重要だ。問題はいかに解決するかにある。これまで韓日関係において浮上した歴史問題の解決策は、その解決を先送りにしたために問題になったのではない。むしろ懸案と歴史問題を結びつけ、無理に解決しようとして問題になったのだ。
 

 1965年の韓日協定(日韓基本条約と請求権協定)と2015年の慰安婦合意は、その代表的な例と言える。1960年代半ば韓国政府は経済成長政策を急速に推進するため、そして米国は安保問題の解決と韓国に対する援助の負担を日本に負わせるために、韓日関係の正常化が必要だった。このため、韓国と日本は韓日協定を推進した。しかし、両国は不幸な過去について認識の合意には至らなかった。
 

 特に重要な問題は、1945年以前の協定をどのように規定するかであった。1905年の乙巳条約(第二次日韓協約)と1910年の強制併合条約(韓国併合条約)が条約当時から無効だという韓国と、1945年の敗戦以降になって無効という日本の立場が互いに対立し、苦肉の策として、両国の代表はそれぞれ国で、自分たちの立場どおりに発表を行った。日本政府は協定を通じて個人賠償まで完了したと言うが、韓国に対する植民地支配の合法性を主張しながら賠償を行うというのは、それ自体として矛盾だと言える。だからこそ、「賠償金」ではなく、「請求権資金」という聞きなれない用語が使われたのではないか。当時の苦肉の策は、これまで両国間の歴史問題解決の足を引っ張ってきた。
 

 2015年の慰安婦の合意も同じ前轍を踏んだ。中国の浮上と北朝鮮核問題によって米国政府は韓日間の緊密な協力を求めており、このため、両国政府は「慰安婦」被害者に賠償をするための合意文を発表した。しかし、両国政府は慰安婦問題に対する立場で意見の一致を見ることができなかった。合意以前はもちろん、その後も日本政府は慰安婦問題に日本政府や軍隊の直接介入はなかったとして、個人的な問題だと主張し、責任を認めようとしない。最近、米ハーバード大学のある教授が書いた論文でもこのような認識が表れている。合意に達したとはいえ、歴史問題は解決されないまま韓日関係はますます悪化している。
 

 歴史問題の核心は、加害者の反省と被害者の許し、和解だ。これを通じて加害者と被害者が過去の問題が二度と起きてはならないという共通の認識を持たなければならない。共通の認識が目的であって、賠償が目的ではないのだ。今後、再び犯罪を犯しても、お金で賠償すればそれで済むのだろうか。
 

 問題は、このように歴史認識の合意がないにもかかわらず、歴史問題を懸案解決の条件として掲げるなら、今後の韓日関係は一歩も進めないという点にある。前政権で歴史問題の解決なしには懸案についての協議をしないという条件を掲げたため、2015年に急に慰安婦の合意をしながら「不可逆的」という理解できない修飾語を付ける無理筋を自ら招いたのではなかろうか。
 

 両国政府は率直にならなければならない。歴史問題と関連して、韓国と日本社会が互いに認識を共有できていないという状況を認めなければならない。そして、当面の問題を解決するために多様な分野で協力し、同時に両国社会間の認識の共有を通じて不幸な過去が二度と繰り返されないよう、両国政府が努力すると約束すればいい。そしてこのような約束が守られるためには、両国政府が互いに異なる認識を持つテーマとその内容を明示しなければならない。そして、そのテーマと内容について具体的な研究を進め、両国の教科書に内容を明記することで両国社会の共感を得るようにすると宣言しなければならない。
 

 さらに、韓日間の歴史問題に対する共感を形成するために、韓国社会が優先しなければならないことがある。まさに私たち自らの歴史問題を解決することだ。特に最近、英国のある労働党議員が言及したように、ベトナム戦争のように過去に韓国が介入していた歴史問題の解決が必要である。これは国家の動員によって加害者になった参戦軍人の名誉を回復する道でもある。私たちの歴史問題に対してももっと厳しい目を向けなければならない。


  //ハンギョレ新聞社
 

パク・テギュンㅣソウル大学国際大学院長(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/986012.html
韓国語原文入力:2021-03-10 02:43
訳H.J

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

07 

日本の学界・市民社会も「ラムザイヤーの『慰安婦』論文掲載撤回」へ初の共同声明発表
登録:2021-03-11 05:46 修正:2021-03-11 07:31

オンライン記者会見で発表 
代表的な歴史学術団体など4団体参加



日本の市民団体「ファイト・フォー・ジャスティス」(Fight for Justice)と歴史学研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会など4団体は今月10日、オンラインで記者会見を開き、ラムザイヤー教授の論文を批判する声明を発表した=記者会見より//ハンギョレ新聞社

 

 日本軍「慰安婦」を売春婦と同一視したハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤ―教授の論文について、日本の学界と市民社会が初めて共同声明を発表し、論文の掲載を撤回するよう求めた。
 

 日本軍「慰安婦」学術サイトを運営する日本の市民団体「ファイト・フォー・ジャスティス」(Fight for Justice)や歴史学研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会の4団体は10日、オンラインで記者会見を開き、ラムザイヤー氏の論文を批判する声明を発表した。
 

 彼らは声明でこの論文について、「先行研究が無視されているだけでなく、多くの日本語文献が参照されているわりに、その扱いが恣意的であるうえに、肝心の箇所では根拠が提示されずに主張だけが展開されているという問題がある」と批判した。日本軍「慰安婦」被害者たちは「契約書もないままに、詐欺や暴力や人身売買で『慰安婦』にさせられたことが、膨大な研究から明らかになっている。にもかかわらず、ラムザイヤー氏は日本軍の主体的な関与を示す数々の史料の存在を無視した」と指摘した。また、論拠として必要不可欠である事業者と朝鮮人「慰安婦」の契約書を1点も提示できなかったとしたうえ、「この論文は、そもそも女性の人権や女性たちを束縛していた家父長制の権力という観点が欠落している」と強調した。
 

 ラムザイヤー教授の論文が日本社会に及ぼす影響に対する懸念の声もあがった。これら団体は「この論文が一研究者の著述ということを超えて日本の加害責任を否定したいと欲している人々に歓迎された」とし、「『嫌韓』や排外主義に根差した動きが日本社会で再活性化している」と述べた。
 

 これらの団体はラムザイヤー教授の論文の掲載を撤回するよう求め、引き続き問題を提起していくことにした。同志社大学の板垣竜太教授(朝鮮近現代史)は同日の記者会見で「論文の撤回が目標だが、学界でこの論文が引用されないよう、深刻な問題があるという点を知らせることも重要だ」と述べた。彼らは今月14日、ラムザイヤー教授の論文を批判するオンラインセミナーを開催する。セミナーには、日本国内の「慰安婦」研究の最高権威者である中央大学の吉見義明名誉教授なども参加する予定だ。
 

 一方、ラムザイヤー教授の論文を掲載することにした学術誌「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」(IRLE)は9日(現地時間)、公示文で同論文は「最終的かつ公式的」に出版されたものだと強調し、印刷の強行を再度示唆した。
 

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/986200.html
韓国語原文入力:2021-03-110 2:30
訳H.J

 

目次

 

 

 

 

 

 




 

08 

[キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦18]「構造的不和」の韓日、対話で解決は可能か
登録:2021-03-13 08:57 修正:2021-03-13 12:44

2017年4月に東京特派員を終えて帰国した後、同年10月に出した著書『安倍とは何者か』の序文で、韓日間の対立は「これからやってくる『巨大な不和』の序幕にすぎないかもしれない」と書いた。予測通り韓日は不和のまま、東アジアの未来をかけた2018~2019年の外交戦で韓国は敗れた。この複雑に絡んだ不信と憎悪の沼から、劇的な「和解のきっかけ」を見出すことは不可能だ。


文在寅大統領が2019年12月24日午後、中国の四川省成都で日本の安倍晋三首相と会って握手を交わしている。この会談が韓日首脳が直接顔を合わせた最後の席となった=成都/大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 

 大統領府が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定を撤回すると発表した翌日の2019年11月23日、カン・ギョンファ外相は主要20カ国・地域(G20)外相会議が開かれた名古屋で茂木敏充外相と顔を合わせた。韓国の「大きな譲歩」が実現したところであり、日本も首脳会談を拒否する名分はなかった。この日午後3時から35分間行われた会談で、両国は「12月の開催が推進されている韓中日首脳会議をきっかけに、韓日首脳会談開催に向けて調整していく」ことで合意した。
 

 GSOMIA終了撤回の決定は、韓国に大きな「恥辱」を与えた。大統領府とその周辺の専門家は「日本が(最初の合意とは違い)歪曲した発表をした。それについては申し訳ないという意思を伝えてきた」「日本が1カ月以内に輸出制限措置を解除しなければGSOMIAを終了させる」「日本がしきりにそのようなやり方を取るなら、韓国も今後どうするか分からない」などの激しい反応を示した。すべて無駄な話だった。
 

 予定通り1カ月後の12月24日、韓中日3カ国首脳会談が開催された中国・成都のシャングリラホテルで、韓日首脳会談が開かれた。安倍晋三首相が会談場に先に到着し、ぎこちない表情で文在寅(ムン・ジェイン)大統領を待った。二人の首脳は軽く微笑んで握手した後、着席した。
 

 安倍首相は「日韓両国は互いに重要な隣国であり、北朝鮮をはじめ安全保障に関する問題において、日米、日米韓の連帯は極めて重要だ。私は重要な日韓関係を改善したい。率直な意見交換をしたい」と述べた。文大統領は「現在、両国の外交当局と輸出管理当局の間で懸案の解決のための協議が進められている。両国が膝を突き合わせ、賢明な解決策を早期に導き出すことを期待する。(両国が)経済・文化・人的交流をはじめとする協力を続け、北東アジアの平和と繁栄にも協力しあうことを願う」と述べた。韓国は、日本が7月1日に輸出規制強化措置を決行する際に名分に掲げた問題を解消するため、2020年3月18日に対外貿易法を改正するなど積極的に対応した。
 

 にもかかわらず、日本の措置撤回は実現しなかった。日本の公式な説明とは違って、今回の報復措置が2018年10月の韓国最高裁(大法院)の判決に対する「対抗措置」だったからだ。韓国は6月29日、日本を世界貿易機関(WTO)に提訴した。しかし、WTOの紛争解決手続きの最終審を担当する上訴機構(Appellate Body)は作動のための最小人員である3人を満たすことができず、機能停止した状態だ。いつごろ最終結果が出るか分からない。政府も、日本が受け入れ可能な案を提示していない。
 

 このような中、韓日関係に思いがけない転機が訪れる。安倍首相が8月28日、持病の腸潰瘍が再発したとし、突然辞任の意思を表明したのだ。大統領府は、その後9月16日に就任した菅義偉首相に対し「東京五輪の成功開催に積極的に協力する」とし、関係改善を積極的に推進した。しかし、世界を襲った新型コロナウイルス危機と「関係回復のためのきっかけは韓国が作らなければならない」という菅首相の強硬な立場により、冷ややかな対立が続いている。文大統領と安倍首相は2019年12月、成都で「対話を通じて問題を解決していこう」と意見をまとめたが、両国間に生じた根深い不信と憎悪はすでに「対話」を通じて解決できる線を越えているのではないかと懸念する。
 

 「キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦」と題したこの連載のはじめに、2018~2019年に極限に達した韓日対立は、南北関係を改善し朝米間の妥協を促進して朝鮮半島の冷戦秩序を解体しようとした韓国の「現状変更戦略」と、中国の浮上、北朝鮮の核開発に立ち向かうため歴史問題を克服し(12・28合意)「日米韓三角同盟を強固にする」という日本の「現状維持戦略」の間の衝突だと説明した(2020年7月15日付「『昔の良き時代』になぜ戻れないのか」)。韓日首脳が最後に会った成都会談の短い冒頭発言でも、こうした「和解するのが難しい」見解の違いがそのまま表れている。文在寅大統領は"経済・文化・人的交流をはじめとする協力を続け、北東アジアの平和と繁栄に」韓日がともに歩もうと訴えたが、安倍首相は「北朝鮮をはじめ安全保障問題において日韓、日米韓の連帯はきわめて重要だ」と述べた。結局、この見解の違いを両国がどのように管理するかによって、韓日関係の未来が決まるだろう。
 

 現在、日本には韓国を見る「3つの視線」が存在する。まず、日本の代表的な「知韓派」知識人であり伝統的リベラルである和田春樹・東京大学名誉教授の見解だ。和田氏は、韓日対立が最高潮に達した2019年11月2日、「日本記者クラブ」での講演で韓国に二つの要求をした。一つは韓国が慰安婦合意を尊重してほしいということ、もう一つは朝鮮半島平和プロセスに日本を招待してほしいということだった。和田氏は「文在寅大統領は(朝鮮半島平和プロセスの成功に向けて)積極的に努力しているが、韓国だけでは何にもならない。日本の首相に『助けてほしい。一緒にやろう』と言ってほしい」と要請した。韓日が歴史問題を克服し、その力を土台として平和な東アジアを作っていこうという意見だ。この見解に同意する日本人はごく少数だろう。
 

 次に、朝日新聞など中道リベラルの視線だ。朝日新聞は韓日が正面衝突した2019年8月17日、「日本と韓国を考える 次代へ渡す互恵関係維持を」と題する長文の社説を掲載した。この社説の主張の中心は、韓国は12・28慰安婦合意を尊重し、日本は2010年に菅直人首相が出した「菅談話」を受け入れようというものだ。菅直人元首相はこの談話で、日本の過去の植民支配が「朝鮮の人々の意に反した支配によって国と文化を奪った」と認めた。植民支配の「違法性」ではないが、少なくとも「不当性」は認めたのだ。両者がこのように半分ずつ譲歩して歴史問題に終止符を打ち、北朝鮮と中国の脅威に備えるために韓日軍事協力を強化しようというのが彼らの主張だ。立憲民主党など日本の野党が共感すると判断できる。
 

 最後は、日本の政権勢力である自民党と彼らを支える保守主流の見解だ。彼らは安倍首相が「安倍談話」を公開する直前の2015年8月6日、「21世紀構想懇談会」で自らの歴史観を集大成した。北岡伸一・東京大学名誉教授らはこの文書で韓国の「386世代」の反日感情を深く憂慮し「韓国政府が歴史認識問題において『ゴールポスト』を動かしてきた」と指摘した。これを防ぐ方法は、「日韓両国が一緒になって和解の方策を考え、責任を共有」することだった。その結果誕生したのが、慰安婦問題を「最終的、不可逆的に」解決されたと韓日両国政府が「ともに」確認した12・28日韓慰安婦合意だった。
 

 しかし、2017年5月に発足した文在寅政権は12・28合意を事実上無力化し、その後2018年10月の最高裁判決が出て、日韓の対立戦線は強制動員の被害問題にまで拡大した。すると、日本の主流保守は韓国に対する期待を事実上あきらめるに至った。こうした心理を最もよく表したのが、菅政権の新世代の外交・安保ブレーンである細谷雄一・慶応大学教授の見解だ。細谷氏は2019年8月18日の読売新聞への寄稿で、「朝鮮半島では、文在寅政権の南北統一への激しい情熱と、韓国政治に対する北朝鮮の影響力拡大という流れが見られる。(中略)韓国が更なる感情的な行動に走っても、日本は報復するのでなく、冷静に自制を促すべきだ」と指摘した。現在、韓国政府の背後には「日米韓安保協力の破棄や米軍の朝鮮半島からの撤退を求める勢力が韓国政府の背後でうごめいて」おり、韓日関係がさらに悪化すればこの勢力が「戦略的な勝利」を得ることになるという理由からだった。このような人々は、日本が12・28合意によって歴史問題で十分に譲歩したため、これ以上の後退は不可能であり、韓米日三カ国協力の必要性から韓日関係は重要ではあるが、これに執着しすぎる必要はないとみている。おそらく多くの日本人が頷くだろう。
 

 2017年4月に東京特派員を終えて帰国した後、同年10月に出した著書『安倍とは何者か』の序文で筆者は、「歴史問題はさておき安保協力をしようという日本と、これに同意できない韓国の間の対立はずっと続く」とし、これまでの韓日対立は「これからやってくる『巨大な不和』の序幕にすぎないかもしれない」と書いた。予測通り韓日は不和のまま、東アジアの未来をかけた2018~2019年の外交戦で韓国は敗れた。この複雑に絡んだ不信と憎悪の沼から、劇的な「和解のきっかけ」を見出すことは不可能だ。互いの「戦略的立場」の違いを理解し、これ以上事態を悪化させない超人的な自制力と、絶えずコミュニケーションをとることが必要だ。その過程の中で、互いに共存できる新しい均衡点を見出すことを願う。<終>


  //ハンギョレ新聞社
 

キル・ユンヒョン|統一外交チーム長。大学で政治外交学を専攻。駆け出し記者時代から強制動員の被害問題と韓日関係に関心を持ち、多くの記事を書いてきた。2013年秋から2017年春までハンギョレ東京特派員を務め、安倍政権が推進してきた様々な政策を間近で探った。韓国語著書に『私は朝鮮人カミカゼだ』、『安倍とは何者か』、『26日間の光復』など、訳書に『真実: 私は「捏造記者」ではない』(植村隆著)、『安倍三代』(青木理著)がある。
 

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/986006.html
韓国語原文入力:2021-03-10 02:41
訳C.M

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

09 

日本の「慰安婦」研究の第一人者「ラムザイヤー論文、でっち上げも含まれる」
登録:2021-03-15 02:27 修正:2021-03-15 07:31

日本の学界と市民団体「慰安婦=売春婦」主張のラムザイヤー批判する画像セミナー 
吉見教授「ラムザイヤー、証拠提示一つもない…学術論文として認めることは難しい」



「慰安婦」研究の日本の第一人者とされる吉見義明中央大学名誉教授(左)は「慰安婦」を売春婦と規定したハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授の論文について「学術論文として認めがたい」と述べた=オンラインセミナーより//ハンギョレ新聞社

 

 「慰安婦」研究における日本の第一人者とされる吉見義明中央大学名誉教授は、「慰安婦」のことを売春婦と規定したハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授の論文について「問題が多すぎて学術論文として認めがたい」と述べた。
 

 吉見教授は、日本の市民団体が運営する日本軍「慰安婦」学術サイト「ファイト・フォー・ジャスティス(Fight for Justice)」と日本史研究会、歴史学研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会の4つの学術団体が14日に共同主催したオンラインセミナーに参加し、ラムザイヤー教授の論文に事細かに反論した。
 

 吉見教授は「ラムザイヤー論文は、日本軍や日本政府が『慰安婦』という性奴隷制度を作って維持したという重要な事実を無視している」と指摘した。業者は軍の従属者で、慰安所の料金すら決められなかったという。「慰安婦」とされた女性も契約の主体になれず、契約があったとしても事実上の「人身売買」だったという証拠と研究は非常に多いという。このような先行研究があるにもかかわらず、ラムザイヤー教授は、業者と「慰安婦」が互いの利害を主張し、契約を結んだと主張したのだ。
 

 吉見教授は「ラムザイヤーは論文で、自分の主張(慰安婦=売春婦)を立証する証拠をひとつも提示しておらず、彼が勝手にでっちあげた話もある」と批判した。彼は「何より『慰安婦』は性奴隷制の被害者であったという重大な人権侵害を無視しているというのは致命的」と述べた。吉見教授は、「慰安婦」制度を作る際に軍と政府が深く関与していたことを示す文書を1992年に初めて発見した人物。その後、日本政府が「慰安婦」動員の強制性を認めた「河野談話」(1993年)を発表する際にも影響を与えた。
 

 日本の近代公娼制度と日本軍「慰安婦」制度を研究してきた小野沢あかね立教大学教授も、ラムザイヤー論文について「学術論文としての要件を満たしていない」と批判した。小野沢教授は「植民地と日本軍の占領地域で『慰安婦』として募集された女性のほとんどは、日本軍または日本軍の指示を受けた業者によって暴力、詐欺、人身売買などの手段により募集されたもの」と強調した。同セミナーには、シンガポール国立大学の茶谷さやか教授、大阪産業大学の藤永壮教授、トロント大学の米山リサ教授らも出席し、ラムザイヤー論文の問題点を指摘した。
 

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/986687.html
韓国語原文入力:2021-03-14 16:39
訳D.K

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

10 

ブリンケン米国務長官「日本軍『慰安婦』は深刻な人権侵害」

登録:2021-03-19 06:12 修正:2021-03-19 07:16

 

18日、「韓国放送」とのインタビューで


アントニー・ブリンケン米国務長官が今月18日午後、ソウル龍山区のアメリカンセンターで韓国の学生たちとオンラインで話し合うため待機している/聯合ニュース

 

 17~18日に韓国を訪れたアントニー・ブリンケン米国務長官が、第二次世界大戦当時、日本軍が行った女性への性的搾取問題について、「深刻な人権侵害だ」と述べた。
 

 ブリンケン長官は18日、「韓国放送」(KBS)とのインタビューで、日本軍「慰安婦」被害者は「自発的な契約に基づく売春婦」だったと主張した米ハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤ―教授の論文に対する見解を尋ねる質問に、このように答えた。
 

 ブリンケン長官は「その論文についてはよく知らない」としながらも、「ただし、第二次世界大戦当時、日本軍などによって行われた女性に対する性的搾取が深刻な人権侵害であると、我々が長い間話してきたことだけは、申し上げることができる」と述べた。


 ラムザイヤ―教授の論文については、ハーバード大学内部でも深刻な問題があるという批判の声があがった。ハーバード大学の大学新聞「クリムゾン」は7日(現地時間)、ラムザイヤ―教授の主張が原因で、国際的論議が起こっているとし、国内外の批判世論を取り上げる記事を掲載した。
 

ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/987409.html
韓国語原文入力:2021-03-18 22:21
訳H.J

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

11 

[コラム]ラムザイヤー「慰安婦」論文に沈黙する日本メディア
登録:2021-03-19 08:15 修正:2021-03-19 13:02


日本軍「慰安婦」被害者のことを売春婦と規定した主張を展開し批判を受けているマーク・ラムザイヤー米ハーバード大学教授=ハーバード大学資料写真//ハンギョレ新聞社

 

 日本軍「慰安婦」を売春婦と規定したハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授の論文に対する議論が、ひと月以上続いている。先月28日、産経新聞がラムザイヤー教授の論文を紹介する記事を掲載して以来、「慰安婦」被害者をはじめ学界でも批判が強い。「論文を撤回せよ」という署名、シンポジウム、メディアへの寄稿など、世界各地でさまざまな形で反発が続いている。批判世論が広がり、韓国メディアだけでなく主要な海外メディアも同事案を報道し始めた。CNN、ガーディアン、ニューヨーク・タイムズ、中東のアルジャジーラなどもラムザイヤー教授の論文が国際的反発に直面したとし、詳細を伝えた。
 

 このような雰囲気をものともせず、日本のメディアはあまりにも静かだ。日本で最大の部数を発行する読売新聞や公共放送のNHKは、ラムザイヤー関連の記事を一度も扱ったことがない。比較的進歩的だと評価される朝日新聞や東京新聞なども、10日に日本の学界が(ラムザイヤー論文に対する)批判記者会見をした際、短いニュース取り上げた程度だ。日本のメディアだけを見ると、ラムザイヤー問題とは何なのかまったく知ることができない。
 

 日本のメディアが沈黙するのは、社会ムードが反映されたためという指摘がある。日本で「慰安婦」問題を被害者の観点で扱うには覚悟が必要だということだ。2014年8月の朝日新聞の誤報認定が大きな分岐点となった。当時、同紙は「済州島で朝鮮人女性を『狩り出した』」という吉田清治氏(2000年死亡)の証言をもとに1980~1990年代に報道した16件の記事を取り消すと明らかにした。日本による植民地時代に山口県動員部長とされる吉田氏の証言を裏付けるような事実が明らかになっていないと理由を説明した。同紙は「吉田証言」は不正確なものであったが、女性たちが本人の意思に反して「慰安婦」として連れて行かれたのは変わらない事実だと強調した。
 

 しかし、右翼勢力の攻撃は激しいものだった。朝日が誤報をしたために大したことのなかった「慰安婦」問題が大きくなり、日本の国益を損ねたという論理が急速に広まった。「慰安婦」の強制性を示す証拠がたくさんあるにもかかわらず、右翼は吉田証言の誤報だけを浮き彫りにした。朝日新聞社長は辞任し、記者たちに対する脅迫を受け、会社を相手取った損害賠償請求訴訟も起こされた。
 

 右翼の「標的狙い」は続く。1991年に「慰安婦」被害者である金学順(キム・ハクスン)さんの証言を初めて報道した植村隆元朝日新聞記者は、今も「植村=捏造記者」と攻撃されている。最初の報道という象徴性のためか、第2の人生を始める予定だった大学との契約も右翼の妨害で取り消された。
 

 2019年には、日本の愛知県での国際芸術祭に展示された「平和の少女像」が右翼の脅迫により3日で展示が中断されたが、閉幕1週間前に再開されるという事件があった。展示を決めた愛知県の大村秀章知事は右翼の標的になった。知事を追放するため「リコール(解職請求)運動」が始まり、約43万5千人が署名に参加した。最近、このうちの83%が無効と判明した。一人が何度も署名したり、かなり前に死亡した人の名前も多数登場し、警察が捜査に乗り出した。知事を攻撃するために捏造もはばからなかったわけだ。
 

 日本全体で見るとこのような右翼は少数かもしれない。だが、多数が沈黙する中で結集された少数は強い力を持つ。「慰安婦」問題は、沈黙と執拗な攻撃によって消すことも、解決することもできないということは明らかだ。


  //ハンギョレ新聞社
 

キム・ソヨン 東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/987376.html
韓国語原文入力:2021-03-1902:40
訳C.M

 

目次 

 

 

 

 

 

 




 

12 

[レビュー]「日本人『慰安婦』」、植民地の「慰安婦」との共通点と違い
登録:2021-03-20 03:19 修正:2021-03-20 09:47

加害国の国民で売春婦だったという理由で歴史から消えた女性たち 
国の指示で「就業詐欺」使った手口は朝鮮人のケースと同じ 


『日本人「慰安婦」―愛国心と人身売買と』 
西野瑠美子・小野沢あかね責任編集、 前田朗ほか10人著、翻訳共同体「イッタ」訳、ノンヒョン、1万9800ウォン
 


  //ハンギョレ新聞社


 「フィリピンのダバオには同じ村から来た3人の女性がいた。25歳、19歳、22歳の彼女たちは関西弁を使った。『南方特要員』に応募してきたのだが、現地に到着して初めて『慰安婦』として働くことを知ったという」
 

 『日本人「慰安婦」』は、タイトルどおり日本人「慰安婦」の存在を扱った本だ。戦時中の日本が朝鮮、中国、台湾、フィリピンなどの植民地の女性たちを「慰安婦」として強制動員して、性暴力を加えたという事実はすでに常識となっているが、自国民である日本の女性にも同様の犯罪を犯していたということは、まだあまり知られていない。当然だ。加害国の国民であるうえ、「売春婦」出身者が多数を占めた日本人「慰安婦」は、自ら被害を証言していないし、戦時犯罪を隠すことばかりに固執する日本社会も、この問題を積極的に世論化してはいない。現在のところ「慰安婦」だったということを自ら明らかにした日本人女性は城田すず子(仮名)を含め、ごく少数に過ぎない。だからといって、被害事実が自然と消えるわけではない。この本をまとめた「『戦争と女性への暴力』リサーチ・アクション・センター」内の日本人「慰安婦」プロジェクトチームは、軍部や内務省の資料、日本軍兵士の手記などの史料はもちろん、雑誌やノンフィクションまで、3年間にわたって幅広く調べた末に、彼女たちの存在を世に明らかにする。
 

 日本人「慰安婦」は、朝鮮人「慰安婦」と共通点がありつつも違っていた。国の指示で業者が動員するという「加害のメカニズム」の面では一貫していたが、本国と植民地出身という身分の違いにより、被害経験は大きく異なった。



千葉県館山市にある「かにた婦人の村」の教会地下にある追悼室。ここには城田すず子などの日本人「慰安婦」の遺影が飾られている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社


 本書に収録された「警察庁関係公表資料」には「日中戦争勃発直後から軍部・内務省などが、酌婦などの日本人女性を対象として『慰安婦』の大規模な徴収を命じていた」という事実が記載されている。動員の過程で就業詐欺や人身売買が横行していたということも、当時の朝鮮と似ていた。国の指示を受けた業者たちは、日本の女性を対象として「特要員」「特殊看護員」を募集するという虚偽の公告を出したが、これは「中国の紡織工場で人を募っている」「看護員として働く」という言葉に騙されて慰安所に行かされた朝鮮人被害者たちの悲しみを思い浮かばせる。


千葉県館山市の「かにた婦人の村」に建てられた「慰安婦」被害者のための慰霊碑。日本人「慰安婦」の被害事実を最初に明かした城田すず子の要請で建てられた=特定非営利活動法人安房文化遺産フォーラムのウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 

 逆に、朝鮮人「慰安婦」と異なる部分も明らかに存在する。日本人「慰安婦」の中には「慰安所で兵士たちを鼓舞するのは国のため」、「戦死すれば軍属として靖国神社にまつられる」との言葉に突き動かされて慰安所へと向かった者もいた。「日本社会において疎外されてきた女性の強いコンプレックスを、戦争ナショナリズムが利用した」のだ。慰安所において日本人は「料金」、処遇面で朝鮮・中国人に比べ「エリート」待遇を受けていたが、こうしたやり方で「帝国意識」を植え付けることで、「自らが受ける差別、被害者性、女性差別に目を向けることを難しく」したという分析もある。自分の家族が「慰安婦」として選抜されて来れば、戦争を聖戦と信じてきた兵士が大きく動揺することを懸念して、「性の防波堤」として働いていたという「前歴」のある女性(遊郭で働いていた女性)を中心として「慰安婦」を仕立てた日本とは異なり、朝鮮人「慰安婦」は性病から兵士を「保護する」との名目の下に、性経験のない未成年女性を中心として構成されていたということも異なる。
 

 「加害国の被害者」であり「売春婦」出身が少なくない日本人「慰安婦」の存在と向き合うことは、複雑な感情を呼び起こす。しかし本書を読めば、日本の加害行為から現れる鮮明な「一貫性」が見え、その感情は残らない。
 

チェ・ユナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/987416.html
韓国語原文入力:2021-03-19 04:59
訳D.K

 

目次 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

end