長い人生において決断しなければいけない場面が多々ある。
それって博打の丁か半か、ってのと似てるよね。
どうせ死に際にしかサイコロの目は分からないのに。
と自嘲する私に、
ドローもあるよ。君は気負いすぎだよ。
と言い放った男がいた。


そうだ、この世界には引き分けもある。
なんと優しい世界なのだろう。
この優しい世界に生かされている私は幸福である。


昨日から私は傷心気味である。
好きになりそうだった男に無下な扱いをされて憤っている。
その憤りを長文にして送ったら、欲しかった言葉がちゃんと返ってきて、今はご機嫌である。

二週間前に私にプロポーズしてきた男のラインは昨日から未読のまま無視して、
今夜、恋人の元へ向かう。

もう、自身がどうしたいのか分からない。


離婚した夫が、鮭のムニエルを作ったらべらぼうに美味かったから今度君にも作ってあげる、とラインを寄越してきた。

美味しい物を食べて、誰かを思い出す、
その行為は愛である。

あいつは私のことがまだ好きなのか。
そして私は彼のことがやっぱり好きなのか。



人生にはドローもある。
私を捨てた元夫をそろそろ許してあげてもいいのではないか、などと甘い空想に浸りながら、恋人と会うための服を選ぶ。

週末は全部忘れて、君だけの女になろう。



女の人生は忙しい。


命短き、恋せよ乙女。