書評「銀座Hanako物語」 | 仮面ノート

書評「銀座Hanako物語」

 とにかく元気な時代であった。自由があふれていた。
著者は「Hanako」創刊時の編集長。Hanako編集を通じて、
そこに参加した編集者、ブランド関係の女性たちを中心に据えながら、
バブルに浮かれた当時の日本を見事に描いている。


 何でも勢いのある時代ではあったが、ここまで女性たちが元気だったとは思わなかった。
当時の編集部の熱を感じさせ、活躍している女性たちがすぐそばにいると錯覚させられる一冊だ。


 時代に「寄り添おう」としている雑誌はいつの時代もあるが(だいたい失敗している)、Hanakoのように時代を「作って」しまった雑誌はそうはない。
 その時代を作った影にこの編集長がいたのである。


 出版不況、雑誌不況が叫ばれて久しいが、
それは時代のせいではなく著者のような「志」、「熱」をもった人材が
出版界にいないだけではないか。そんなことを考えさせられた。