書評「角川映画 日本を変えた
角川映画の一時代に焦点を当てた作品であるが、
対象とした10年という期間が長すぎたか、
著者にしては少し散漫な印象を受けてしまった。
「松田聖子と中森明菜」「山口百恵」のように
圧倒的な量の資料を読み込み、畳み掛けるような文章で対象に迫る、
といった著者ならではの作風を期待すると、
少し期待外れに終わるかもしれない。
レビュー子としては薬師丸ひろ子ら「角川三人娘」や
本書の「主人公」といってよい角川春樹の人間像に迫る作品を期待したい。
批判めいたことを書いてしましったが、決して本書がつまらないというわけではない。本書が対象とした時代に青春時代を送った人間には時代の「熱」を感じることができるし、間違いなく角川映画の一級資料にもなっている。