書評「オリンパス症候群」
遅まきながら読みました。大変面白かったです。
オリンパスを事件を暴いたのが「FACT」で、
結局あの事件はFACTの独走のまま終わった
といってよいでしょう。
日本人がなぜ「ウチの社」と呼ぶのか?
オリンパス事件にこの「ウチ」という
言葉をキーワードにしつつ迫る。ひとつの経済事件を扱いながら、
そこから日本型株式会社の問題点を抉る筆法は見事である。サラリーマンは是非読むべき書である。
ただし、最初から最後まで文章が嫌だった。
所々(というか頻繁に)、「それにしてもあきれたね」とか
一貫して出てくる「……いられたんだね。」みたいな
日本語の使い方が、小馬鹿にされているようで極めて
不快だった。若い人を対象に書いたつもりだろうが、
このテーマ、社会への影響から考えれば、
決して読者は若い人だけではないだろう。
FACTの購読層はそんなに若いのか?
中身が極めて秀逸で、「これぞジャーナリズム」というものだけに、大変残念である。
また、支持している人もいる人も多いのだろうが
メディア批判の部分はありがちな内容で、
特に新味は感じられなかった。
オリンパス事件を黙殺したり、対応が鈍感だったりした
のだろうが、メディア批判は別の場でやってもらえばよい。
むしろ筆者たちには古巣の大新聞社の中で、
メディア改革を唱え、実践して欲しかった。
それができれば、筆者たちは本当にすごい人だと思うのだが。