書評「未解決事件」NHKスペシャル取材班
テレビ番組も見た。そして少し遅れて刊行された本書も読んだ。
当然、両方の内容はほとんどがダブっているのだが、
それでも極めて面白かった。
番組ではあった新聞記者OBの座談がない分、
本書の方が面白かったかもしれない。
「キツネの目」の男を巡る滋賀県警の話、
脅迫テープに関する新事実などは、
テレビで見ても本書を読んでも「えっ」と驚いてしまう
(詳しくはネタばれになるので書きません)。
一読して感じたこと。それは今、これだけの組織力、
人員、経済力をもってジャーナリズムをできるのは、
日本においてNHKだけしかないだろうなあ、ということ。
組織としては色々問題を指摘されるNHKであるが、
きちんとしたジャーナリズムをできるのも
またNHKだけではないだろうか。
正攻法の取材で、新事実を掘り起こしてきた姿勢は
高い評価を与えられるべきであろう。
だから、例えば経営委員長人事なんかで、つまらん騒がれ方をさせないで欲しい。
NHKに現場に敬意を表したい。