書評「真珠湾からバグダッドへ」
大書を通読して思うのは、この人はこんなにも長く公職に
就いていたのか、ということである。
約半世紀、この人の人生はそのままアメリカの現代政治史と
いってもよいかもしれない。
内容的には自伝ということもあり、ある程度割り引いて
読まなければいけないが、それでもその経歴のすごさから見れば、
率直に気負わず書かれている。
国家として「弱さ」を見せることがいかに危険なことか、
またライスやパウエルといったブッシュ政権にともに参加した
人々に対して好感をもっていないことなどが伝わってきて面白かった。
ただし、やはり自伝ではある。この書だけでこの時代を総括するのは危険である。
ジャーナリストやブッシュ政権から去って行った閣僚や高官の書と併読したうえで、この時代を見つめるべきであろう。