書評「サボる時間術」(理央周)
著者の言いたいことも考えていることも理解できるのだが、
私はなぜか心に響くものがなかった。
「こなす仕事」と「想像する仕事」、「まとまり時間」の重要性など
どれもその通り、と大声を上げて賛同したい。おそらく著者の主張は100%
正しいと思う。
文末には家族が重要とも書かれていて、ここまで完璧にされると文句のつけようがない。
では、なぜ感銘しないのだろうか?
それはやはり今の日本社会を考えると、仕事をああだこうだいうことに
ためらいを感じてしまうからである。
つまり、この本のターゲットはある程度安定した会社員か、
もしくは自らリスクを積極的にとれる能力の高い(と自分では)思っている人、
各種セミナーなどにちょくちょく顔を出しビジネスを第一に考えられる
人向けの本なのである。
間違っても仕事を雇用や労働という観点から考える人向けではないと思う。
ただし、著者に悪意やこの種の本にありがちな自己顕示欲や
自慢話の類はありません。かなり真摯に実直に書かれています。
行間から感じられる著者の人間性はとても好感がもてる。
個人的には読むタイミングが悪かったのかな。