書評「前へ」(麻生幾) | 仮面ノート

書評「前へ」(麻生幾)

自衛隊、警察、国交省など東日本大震災を最前線に戦った「戦士」たちの

物語である。役所は違ってもそれぞれの現場で文字通り身を粉にして

奮闘した人間たちの思いを、行動を丹念に取材し感動させてくれる。

 警察や自衛隊取材に定評ある著者らしく登場人物一人ひとりに迫り、

どう行動したかの風景描写も臨場感があって一気に読める。

 ただ、ちょっと美化しすぎていると思えるところがあるので★はひとつ減。

それにしても、本著のメインな主題ではないが、所々に出てくる菅政権に

政治家の馬鹿ぶりは一部を除いて日本国家にとって致命的だったな、と思わせる。著者には是非、次作でこの点を追及してもらいたい。