書評「風にそよぐ墓標」門田隆将
御巣鷹山の123便は生存者が女性ばかりだったせいか、
女性中心に語られることが多い。すでに25年以上昔になるが、
確かにあの生存劇には感動した。こういった中で、
本書は不幸にもあの大惨事で亡くなられた男性とその遺族、
特に息子を中心にしたノンフィクションである。
登場する犠牲者は働き盛りの男性とその家族。つまり、残された息子たちはまだ少年期に突然、父を失った。その息子たちが成長し、大人になり、失った父とそろそろ同じ年齢になるころである。
それぞれがそれぞれの人生を歩み、やがて自らの家族をもつ。
家族を奪われた者が家族をもつ。
登場人物たちが語る家族の重みは、当然ながら身にしみる。
2011年、日本は不幸にしてあまりに多くの人が家族を失った。家族とはなにか?
家族を考える上で一読したい一冊だ。感動しますよ。