エジプト神話をモチーフにして作ったオリジナル脚本を手掛けたのは、映画「ドラキュラZERO(2014年)」で、優秀なサイエンスフィクション・ファンタジー・ホラー作品に送られるサターン賞最優秀脚本賞を受賞したマット・サザマ&バーク・シャープレス。それをエジプト出身で、その後オーストラリアに移住し、ウィル・スミス主演映画「アイ、ロボット(2004年)」などを手掛けた監督アレックス・プロヤスの、ニコラス・ケイジ主演映画「ノウイング(2009年)」以来、7年ぶりの新作となります。
物語の舞台は、神と人間が共存していた古代エジプト。神ラーの2人の息子のうち、兄オシリスは緑豊かな土地を治め、民衆からも慕われ、妻イシスとの間に、息子ホルスがいます。そして、弟セトは不毛な砂漠地帯を治め、妻ネフティスと共に孤独に暮らしていました。そんな時、オシリスは王座を息子ホルスに譲る事を決め、遂に戴冠式がやってきました。
その頃、街でドレスを盗んだのが、お調子者のコソ泥ベック。戴冠式に着ていくドレスで悩んでいた恋人ザヤにプレゼントする為でした。ザヤと駆け落ちした時に、ベックは良い暮らしを約束したものの、貧乏ですが、幸せな毎日を2人は過ごしていました。
しかし、その戴冠式で事件が起こります。多くの神々がホルスの戴冠式に出席する中、遅れて現れたのがセト。そして、ホルスに角笛をプレゼントし、ホルスがそれを吹くと、なんとセトの軍隊が侵入してきたんです。そして、セトは自分が王位に相応しいと言い、兄オシリスを殺すと、ホルスとの闘いの末に、セトはホルスの両目を奪い、他の神々も自分に従わせた上、人間を奴隷にすると宣言。さらにオシリスが、死後の世界では神も人間も皆平等だとした掟を、死後の世界でも金次第に変えてしまいました。
それ以来、セトに逆らう者は神ですら殺される時代となり、ホルスの恋人だったハトホルは、今はセトの恋人となり、人間も太陽神ラーを崇拝する為のオベリスクなどを建設する為に働かされていました。そして、ホルスを信じていた人々も、あの日以来ホルスが行方知れずになっている事で、失望を感じ始めていました。ザヤは、オベリスク建設を指揮する建築家ウルシュの奴隷として働いていますが、ベックはウルシュの屋敷に潜り込んでは、ザヤと会っていました。そんな時、セトが新たに神から奪った財宝を神殿の宝物庫に運び入れる事が分かり、ベックはその時に宝物庫に忍び込んで、ホルスの目玉を盗む計画を立てます。神を信じていないベックと違い、ザヤはホルスがいつかこの世界をセトから助けてくれると信じていました。そして、その宝物庫もウルシュが設計したものだったので、ザヤはベックに宝物庫の内部地図を渡しました。
ベックは宝物庫に仕掛けられた罠などをくぐり抜け、ついにホルスの目玉を盗む事に成功しますが、それは片目しかありませんでした。翌日、ベックがホルスの目をザヤに見せに、ウルシュの屋敷に忍び込むと、そこにいたのはウルシュと兵士たち。ベックはザヤと一緒に逃げますが、その時にザヤがウルシュの放った矢に貫かれ、死んでしまったんです。
ベックは、ホルスが身を隠しているオシリスの墓へ向かい、ホルスに目玉を渡します。その条件は、ホルスがセトを倒して王様になった暁に、死者の世界にいるザヤを生き返らせると言うものでした。最後の審判が下る前ならば、死者の世界にいても、まだ生き返らせる事が出来ると言うんです。しかし、最後の審判が下る場所へ、ザヤはアヌビスに導かれ、少しずつ近づいていきます。
ホルスは、人間のベックを相棒として、セトへの復讐を始めますが、ホルスの片目が盗まれた事を知ったセトも、ホルスを倒す為に闘いを開始。そこには、この世界を作り出した太陽神ラー、大蛇を操る戦いの神、セトのパワーの源であるピラミッドを守るスフィンクスなどなどが立ちはだかります。しかも、セトから逃げてきた恋人ハトホルは、死者の国にいたので、ホルスが王様になっても死者を生き返らせる事など出来ない事を知っていて、ホルスがベックに嘘を吐いているのに気付いてしまったんです。恋人ザヤを生き返らせたい一心でホルスの戦いを助けるベック。父親オシリスの敵を取りたい復讐の為に、ベックを利用するホルス。その一方で、セトは太陽神ラーが毎日闘っている、死者の国に住んでいる悪魔アポピスを招き入れ、この世界を一から作り直そうと計画していたんです。果たして、この戦いはどんな結末を迎えるのか?
ご存知の方も多いと思いますが、今あらすじで挙げたように、神々の名前を始め、スフィンクスなど本当にエジプト神話、そして、エジプト文明を物語に見事に絡めていて、新しいエジプト神話を観ているような想像力溢れる楽しさに満ちたエンターテイメント映画です。それは、太陽神ラーが乗っている宇宙船のような形をした舟を始め、神々が使う武器、ピラミッドやスフィンクスに隠された驚きの秘密などなど、この映画は3Dでの上映もあるので、そうした映像が見どころです。
そして、こう言うのはある意味で、都市伝説と言うか、オカルト好きと言うか、そう言う人たちが好きそうな題材でもあると思うし、昔は神々と人間が一緒に住んでいて、なんと神々は人間よりも1.5~2倍くらい大きいと言う体の特徴を始め、人間とは違って、黄金の血が流れていると言う設定や、神は思い通りに自分の姿を変える事が出来ると言うアイディアが、エジプトの象形文字などで残されている神々の絵から着想を得たものとしても説得力があって、神々が宇宙人であったとして、その姿が実は自由自在に変える事が出来たかもしれないと言うのは、それもアリかも!と言う面白さを感じました。
ちなみに、大きさが違う神と人間ですが、撮影では普通に演じているところを、2台のカメラで神、人間と別々に撮影し、後から演じている俳優のサイズをコンピューターで調整したそうです。なので、神を演じる俳優は、人間を演じる俳優のお腹辺りに目線を落として、セリフを喋ったそうです。
また、見どころなのが神々が着ている衣装の数々。ファンタジーと言う事もあり、歴史的事実に衣装デザインが縛られないで済んだそうで、特に女神たちが着ている衣装は美しいですが、着心地は必ずしも良いとは言えない衣装だったそうです。一方で、男たちは動物などに変身して戦うので、それがどこか日本の漫画「聖闘士星矢」だったり、日本映画「牙狼」シリーズを彷彿とさせ、そう言うのが好きな方にもオススメしたい映画です。ちなみに、悪役となる神セトを演じるのは、今年映画「エンド・オブ・キングダム」が公開されたジェラルド・バトラー。そして、ホルスを演じるのは、デンマーク出身の俳優で、現在も好評放送中の人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のジェイミー・ラニスター役で人気の俳優ニコライ・コスター=ワイルドなので、2人ともアクションは得意な俳優。さらに、ベックを演じるのは、今注目のオーストラリアのイケメン俳優で、映画「マレフィセント(2014年)」のフィリップ王子役やユアン・マクレガー主演映画「ガンズ&ゴールド(2014年)」などが日本でも公開されているブレントン・スウェイツ。ブレントン・スウェイツもほとんどのスタントを自分でこなしたそうです。
こうした映画は、サム・ワーシントン主演映画「タイタンの戦い」シリーズや、ターセム・シン監督映画「インモータルズ-神々の戦い-(2011年)」、そしてこの夏に公開された映画「X-MEN:アポカリプス」などを彷彿とさせますが、神々の権力争いなどはスケールが大きすぎるので、人間には迷惑な話だなぁと思いますよね。まさに映画館の大きなスクリーンで是非楽しんで頂きたい誰もが楽しめるエンターテイメント映画です。
出演は他に、ザヤに、映画「マッド・マックス/怒りのデス・ロード(2015年)」などのコートニー・イートン。知恵の神トトに、今年公開された映画「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で、ブラック・パンサーを演じていたチャドウィック・ボーズマン。愛の女神ハトホルに、映画「G.I.ジョー/バック2リベンジ(2013年)」で、忍者ジンクスを演じていたエロディ・ユン。太陽神ラーに、映画「鑑定士と顔のない依頼人(2013年)」などのジェフリー・ラッシュなどです。監督は、アレックス・プロヤス。
映画『キング・オブ・エジプト』HP http://gaga.ne.jp/egypt/top.html