「北島~、暇だったら出ておいでよ~。」
「千里さん、どうしたんですか突然?」
「恭子と美紀と飲んでたんだけどさぁ、アンタもおいでよ~。
「どうせクルマ出せってことなんでしょ?」
「へっへー、大当たり。」
「わかりましたよ、10分後には行きますから。」


どうやら千里は北島くんを呼び出したようだ。
いつもながら強引なことをすると思った。


「悪いよ、ムリヤリ・・・。」


すると千里はアタシの耳元で囁いた。


「アイツ、美紀とアタシだけだと出て来ないんだよねぇ~。」


そうなんだと思い、まんざら悪い気はしなかった。
それに彼がアタシに好意を持っているのも薄々は感じていたし。



そうこうしているうちに北島くんが来た。


「ご希望通りクルマ持ってきましたよ。」
「うむ、ご苦労!」
「千里ったら。ごめんね北島くん。」
「いいんですよ別に。で、どちらに連れてけばいいんです?」
「よーし!カラオケ行こうカラオケ!」



そんな流れもあって、アタシ達は近場のカラオケBOXに行く事になった。


続く

それからは陰鬱な日々が続いた。
悪いのはアタシ?
それともダンナ?
それとも千佳?


そんな事ばかり考えるようになった。
毎日が嫌になる。
家では当然、職場でも口数が少なくなっていった。


そんなアタシを見かねたのだろう。
千里と美紀が飲もうと誘ってきたのだ。
正直そんな気分じゃなかったので断ったのだが、半ば無理矢理といった感じで連れて行かれた。


「まー元気出しなって。アンタがそんなんじゃコッチも気が滅入る。」
「そうそう、月並みだけど飲んでウサ晴らしなさいって。」


泣きたくなった。
最近のアタシは自分の事で精一杯だった。
そんなアタシを気にしていてくれた。
二人にはホント感謝しないと。


「ありがとね、二人とも。」
「別にありがとうなんて言われる事してないよ。ね、美紀。」
「そう半分は自分らが飲みたいだけだから。」


そう言うと二人は笑って飲みだした。
つられてアタシも笑い、そして二人と一緒に飲み始めた。


続く

まずは浮気の件をどうするかだ。
このメールだけでは証拠にはちょっと弱い。
つきつけたところで逆ギレされてうやむやにされないとも限らない。
もっと証拠を集めなくては・・・。



そして浮気に気付いてから最初の練習日が来た。
正直、出たくない気持ちも強かった。
でも気付いた以上確かめなくてはいけない、自分の目で。
そう自分に言い聞かせ、出かける支度をした。



いつもと何も変わらない・・・。
それどころか、そんな気配は微塵も感じなかった・・・。
変わってしまったのはアタシの気持ちだけ・・・。



「恭子さ~ん!パスが遅いですー!」
「ごめん!もう一度今のフォーメーション最初から。」


千佳もいつも通りだった。
いつも通りだからこそむしろカチンときた。
アンタはアタシに少しでも後ろめたさはないのかと・・・。



この日の練習メニューには紅白戦があった。
試合では千佳とコンビを組んでるアタシだが、この日は新人のサポートを理由にして千佳とはチームを別にした。

あくまで練習なのだが、ゴール前での当たりはいつもより激しかったようだ。


「恭子さんのマークはやっぱキツいですね~。」
「ん?ディフェンスじゃまだまだ千佳には負けませんって。」
「でも当たりキツくありません?あれじゃ本番までカラダもちませんって。」
「そう?あのぐらいで音を上げちゃ今度の試合に勝てないよ!」


うそだ。千佳への当たりはワザとだった。
少しでも溜飲を下げたかったからだ。



続く