先日病院に行った時に私のお気に入りのドクターシュミットからとある話を持ちかけられました。
医:今日は僕たちからお願いがあるんだ。誰か別の人から聞いているかもしれないけど、もし既に聞いた話だったらごめんね。
私:…
医:PEACE study って言うプロジェクトがあるんだ。トライアルプロジェクトのひとつなんだけど、聞いた事ある?
私:多分無いと思います。(新しいトライアルかな?)
医:そっか。いや、このプロジェクトはがんを治す新薬のトライアルとは違って、参加してもがんが治る訳では無いのだけど…
医:Cocoも理解していると思うけど、がんって病気は人によって様々なんだ。薬の効き方も人によって違うし、同じがんでも転移する場所も全然違う。副作用も人それぞれだし、まだ分からない事が沢山あるんだ。
私:(頷く)
医:だから本当はそれぞれのがんを研究する為に、毎回その転移したがんをバイオプシーして研究するのが一番良いのだけど、そんな事は生きている人間からは不可能だよね。そこでこのプロジェクトが立ち上がったんだ。
医:このプロジェクトはがん患者さんに参加してもらい、お亡くなりになった後で献体をしてもらう。そして転移している全てのがんをサンプルとして頂くことが目的なんだ。
私:(大いに頷く)
ドクターシュミットはまだ私にボールを渡しません。
医:Cocoは理解出来てると思うけど、このプロジェクトに参加する事で、自分のがんは治せないけど、これによってもしかすると自分の家族が同じがんに罹った時に役立つかもしれないし、将来のがん患者の為に絶対に役立つ事なんだよ。
医:もし気に障ったらごめんなさい。センシティブな話だからね。でも、どう?Cocoは参加する事に興味ある?
やっとボールが渡って来ました。
私:あります。あります。実は私、がんに罹る前は献体に興味があって、ドナーカードも作ろうと思ってたんです。でもがんになっちゃったから、もう出来ないでしょう?献体は。だから、こんな話があるなんて、なんかワクワクして来ました。
ドクターシュミットも周りの看護師さんも急に笑顔になって…
医:そうかー、それじゃ大丈夫かな。このプロジェクトも献体と同じで死んで直ぐの身体を引き取って、きちんとした医師がサンプルを採取して、その後身体も綺麗にしてお葬式が出来る様にしてご遺族に返すから。
医:だったら、次に会う時までに考えておいてもらえる?このプロジェクトに関しての資料を渡すから、よく読んで決めて下さい。
私:分かりました。こう言うプロジェクトに参加するって、人の役に立てる気がして気持ちが上がりますね。
周りの皆さんがみんな笑顔になりました。
そして宿題で渡された7ページの説明書と4ページぐらいのコンセントフォームを渡されてその日は家に帰ったのでした。
診断:
Metastatic Clear Cell Renal Carcinoma
転移性明細胞腎癌
Jul 2019:
グレード4のpT3a明細胞腎癌に対する根治的細胞減少性左腎摘出術。
Sep 2019:
フォローアップCTスキャンは、小さな肺結節、小さな肝病変漿液腫、および小さな結節腎摘出床がすべて、少量のゆっくりと成長する転移と一致していることを提示。
May 2020:
疾患のすべての部位の収縮を伴う画像診断におけるカボザンチニブへの良好な反応。 血圧はコントロール良。 カボザンチニブを続行。
Feb 2021:
CTでは非常に安定してる。 1つの肺転移では小さな成長が見られるが、他の肺転移は安定している。小さな頭皮病変は病因が不確かで、もし成長の場合は超音波かFNA (fine needle aspiration biopsy 細針吸引生検)を実施。カボザンチニブ40mgは継続。
Apr 2021:
頭皮転移および新しい14mm肝転移の増加における中等度の疾患進行の為、カボザンチニブを停止し、ニボルマブを開始。
Jul 2021:
CTスキャンで進行を確認しニボルマブの停止 - CAPER検討の対象外の為、エベロリムス対HIF2試験またはレンバチニブとエベロリムスの試験外を熟考。
Aug 2021:
MK-6482 (c)の開始。
治療:
Metastatic renal cell carcinoma
10cm left renal mass with what are reported as small lung nodule consistent with presumed metastases
転移性腎細胞がん
推定される転移と一致する小さな肺結節として報告されているものを伴う10cmの左腎腫瘤
Jul 2019:
グレード4のpT3a淡明細胞型腎細胞癌に対する根治的細胞減少性左腎摘出術。
Jan 2020:
イピリムマブとニボルマブの1サイクル。
Mar 2020:
良好な部分反応を示すカボザンチニブを開始し、進行性疾患(頭皮および肝臓)のために2021年4月に中止。
Apr 2021:
ニボルマブを開始。
Jul 2021:
進行性疾患のためにニボルマブを中止しました - CAPER検討の対象外の為、エベロリムス対HIF2試験またはレンバチニブとエベロリムスの試験外を熟考。
Aug 2021:
MK-6482の臨床試験が開始され、進行性疾患のために2022年1月に中止。
Mar 2022:
十二指腸を伴う左後腹膜沈着物の瘻孔による十二指腸閉塞で入院。
Mar 2022:
Z医師によって配置された狭窄部を横切る、重なり合った部分的に覆われた金属十二指腸ステントを確認。
Mar 2022:
患者はレンバチニブとエベロリムスによる治療に同意も、ステント閉塞を伴うセントへリア病院への再入院により治療開始が遅延。
〜〜がんと診断されてから3年と21日が経ちました。生きてます!〜〜