母を市側に預け、相手方弁護士からの通知書を持参し、法律相談に何件か回ってみた。

そこで分かったのはなんと、民法では介護を強制する事は不可能である事が分かった。

まさに法律なんて何の意味もない。

愕然としたが、サイトで調べた結果と違うなと疑念を持ちながら複数の弁護士に話を聞く事にした。

しかし、言われた内容はほとんど同じで、

出来る限り介護をし、出来なければしなくていいという話だ。

同居している者にまずは介護義務が発生し、同居していない者には発生せずに逃げ回っても構わないわけだ。

こんなバカな話があるかと信じられない気持ちだった。

親には子を育て教育を受けさせる義務まであるのに、子には親の面倒を見なくてよいのだ。

ただただ、法律に呆れ失望するのみだった。


相手方弁護士は、書面では手伝いをする準備があると記してきたが、同時に母名義の預金を明らかにせよと言って来た。

まずはこれを使って、相手方の資金拠出を防ぐ意図があるとすぐに分かったが、これは普通の事であり仕方ないとは感じていた。


しかしながら、うちには他の家とは違う歴史があった。

それは母名義の預金、所有不動産の維持費などは全て私が作り支払ってきたものであるということだ。

私が21歳の時に父が亡くなり、その時に私が自営業を営み家計を支えてきたという歴史がある。

ゆえに、母名義の預金から使うという事は、つまり全て私が支払うという事である。

これらの事情に加え、数年前から引越しをしようと予定していたため、出来るだけ資金を使わずに介護をしてきたのだが、これが逆に仇となり母名義の預金を完全に維持する形となり、相手方には好都合となってしまっていた。


このような事情を相談した弁護士に何回か話すが、イマイチ納得出来る話にはならずに帰ってきたのを記憶している。

3人ぐらいの弁護士と話し、調停に持ち込む方がいいとアドバイスされ、裁判所に行き調停手続きを行うことになった。

手続き自体は裁判所の担当者が教えてくれて難しくはなかったが、相手方の本籍が分からず、その入手だけは2段階になり苦労した。


この時点では、調停委員にしっかりと説明していけば理解してくれると期待していた。

介護にまつわる全てを私がやって、相手方は何もしていないのだから、当然のように相手方には厳しい結果が出ると考えていたのだ。