7月に退院してからの介護生活はまさに地獄だった。

今まで普通に出来たことが出来ず、トイレのミスも増えた。炊事洗濯等の家事も当然、全く出来ない。

独身である私は家事を覚え切っていなかったため、周りの友人に教えてもらいながらひたすら介護を続ける日々となった。

こんな中、姉が乳ガンになってしまったとの話を聞く。最初はもちろん驚いた。

しかし、次第に介護における経済的負担・人的負担から逃げるために言っている嘘ではないかと思うようになった。

ただ、これについては私の勘違いであったようだ。

母の入院中、病院スタッフから「なぜ息子さんしか見舞いに来ないのか」とよく聞かれたが、母にはショックを受けるため内緒にして下さいと話した上でガンの話をした。

母は自分が退院しても全く姿を見せない姉に不信感を持ち始めたため、仕方なくガンの話をしたらびっくりしていた。

話した日の夜、うなされて起きた母は、「自分がガンなら良かったのに」と泣き始めるぐらいにショックだったようだ。

もう手術は終わり、無事に済んだと話してなだめるしかなかった。

思い返してみれば、姉の手術の当日は私はメールで、気をしっかり持ってと励ましの連絡をしたのを覚えている。

今となれば、その行為すら後悔するほどに姉を憎んでいるが…。

この辺りから姉と仲が悪くなるのだが、まだ私は姉を信じたい気持ちがあった。