歴史小説とか時代小説は人や物の移動が遅々として進まぬことやゆったりとした時の流れが眠くなるのです。随分と前に話題になったこの本も私じゃない誰かが家の本棚に収めておいた本です。前半は居眠りしながら後半は一気に面白く読みました。

 

 

イメージ 1
 
信長の亡骸は何処へと、前半は本能寺の変で信長死去の知らせを受け、かつては信長の武将であり文筆家の太田牛一が、自筆の「信長公記」を守る為に、また何者かに守られながら、政争に巻き込まれないように自らの資料に基づいて執筆していきます。ところがこの物語の面白いところは、牛一が史実を考証しながら信長を書きながらも、信長の残した功績を考えれば、犯した多くの殺戮を凌駕すると信長を美化していくのです。また秀吉は後世に自分の名を残す為に信長の残虐性を強調させようともしています。結局は太田牛一の視点で信長を書くことによって秀吉の深慮遠謀を暴きだされます。そして信長の最期を本能寺の構造と南蛮寺の位置とに関連づけた展開、阿弥陀寺と清玉上人との関係と後半とても興味深く読みました。