お久しぶりです。

金ない、学ない、能力ない、おまけに最近、無駄に朝方目覚めてしまう弱者男です。


ブログにコイン画像を載せるため、スマホのカメラを使うのですが、ピントがズレてたり、スマホの影で暗くなったり、天井のLEDが映り込んだりと中々上手くいかず悶々としております。

何かコツ等があれば教えていただけると嬉しいです。


とまあ、そんな感じ?で私のコイン紹介第5弾をいきたいと思います。


【基本情報】 

発行国:神聖ローマ帝国 ハンブルク

発行年:1667年頃

発行枚数:不明

カタログ番号:GAED.-1575

レアリティ:R〜RR

(キュンカーなどの主要オークションの評価)
鑑定会社:NGC
グレード:MS61

鑑定枚数:PCGS 2枚、NGC 2枚

※detailグレードの枚数は不明



こちらは、神聖ローマ帝国のハンブルク銀行が1667年頃に発行したバンクポルトガレッサー銀打ちメダルとなります。


バンクポルトガレッサーといえば10ダカット金貨または金メダルをイメージされる方も多いと思いますが、1600〜1700年代の当時の文献にも、金メダルと同じダイで打たれた銀メダルを「銀のバンクポルトガレッサー(silberner Portugaloser )」と呼ぶ慣行があったという記録が残っているようです。

(後世になって、銀打ちメダルの売り手が付加価値を付ける目的で勝手にそう呼称しただけと思っていましたが、違うようです笑)


そのため例に漏れず、当該メダルについても全く同じ両面デザインの金メダルが存在しており、5月のHeidelberger Münzhandlung Herbert Grünオークションでは目玉コインとして登場していました。

そちらの落札価格は裸の状態で46,500ユーロとなっており、これが鑑定済み&MS評価が付くとおそらく60,000〜90,000 ユーロ(約1,000万〜1,600万円)になると思われ、そこにBPや日本に持ち込む際の輸入消費税などを加味すると2,000万円は軽く超えてくるのかなぁ、と想像しております。恐ろしや。。



※こちらの金メダルのレアリティ評価はRRRR。同年代のバンクポルトガレッサー金メダルの平均レアリティがRRのため、希少性はめちゃめちゃ高く、現存枚数は数枚レベルと考えられます。また、PCGSやNGCの鑑定には1枚も出ていないと思われます。


ちなみに話は変わりますが、、ポルトガレッサーは貨幣(コイン)かメダルかどちらなの?という疑問がよく聞かれますが、私の認識としては下記となります。

①1553年頃~1600年代前半頃まで
→ハンブルクにて、ポルトガルの大型金貨ポルトゲスを模倣したポルトガレッサーという10ダカット相当の法定通貨として流通。1559年のアウクスブルク帝国貨幣令以降、神聖ローマ帝国内で正式な金貨として認められる通貨は基本的にグルデンとダカットのみとなったことで、次第に流通貨幣としての役割を失っていくことになる。
つまり、この時代のものは明確に貨幣。


②1600年代後半~
→ハンブルクにて、ポルトガレッサーという呼称は10ダカット相当またはそれに近い仕様・サイズ感の贈呈用大型金メダル全般を指すものとなる。
つまり、この時代以降のポルトガレッサーは全てメダルであり法定通貨ではないが、ハンブルク銀行が1653年以降に発行したバンクポルトガレッサー金メダルに限り、10ダカットと交換可能な貨幣的な性質を持っており、且つ銀行間での決済処理を行う際の当座預金としても使用されていた。
(当時のハンブルク銀行はヨーロッパ有数の信用機関であったからこそ貨幣的な利用が可能であったと言えると思います。)

但し、そんなバンクポルトガレッサー金メダルも1600年代末、若しくは1700年代前半以降(具体的にいつまでかは諸説あり)は貨幣として利用されることは無くなっていき、純粋な贈呈用メダルとなっていく。

※この年代のものまでは貨幣、それ以降はメダルという厳密な定義はないとは思います。


また、同時代には海軍が発行したアドミラリティポルトガレッサー、商業組合が発行したギルドポルトガレッサー、個人的に発行されたプライベートポルトガレッサーなどもあり、それらも基本的には貨幣性はなく、純粋な贈呈用メダルであったとされる。

・貨幣性があった頃のバンクポルトガレッサー

・メダルとしてのバンクポルトガレッサー


ということでざっくりと纏めると明確に貨幣(コイン)と呼んでも良いものは①の時代のもの、ギリギリ貨幣と呼んでも良さそうなのは②のバンクポルトガレッサー金メダル(但し1600年末or1700年代前半までのものに限定)、それ以外は全てメダルという感じでしょうか。

※あくまで私個人の見解となりまのであしからず。。



とまあ、前置きが長くなりすぎて今さら感満載ですが、こちらの銀メダルについて語っていきたいと思います。


ハンブルクのコインやメダルの多くは通称GAEDカタログ(正式名:Hamburgische Münzen und Medaillen 著者:C.F.Gaedechens)の番号で識別することが一般的ですが、当該カタログでは金属の違いを意識せず、デザインのみで番号を割り当てているため、金メダルも銀メダルも同じGAED.-1575に分類されています。


デザインについてですが、表面は1665年発行のバンクポルトガレッサー(GAED.-1573)のダイを流用した港湾都市景観、裏面は港湾と紋章と台座などが描かれたものとなっております。


また、面白いことに同じカタログ番号(GAED.-1575)でも表面の都市景観デザインが異なるタイプのもの(おそら1664年発行のGAED.-1571の流用)も存在しており、NGC鑑定済みの2枚は前者のデザインのもの、PCGS鑑定済みの2枚は後者のデザインのものとなっています。


表面がGAED.-1571のもの




大きなデザインの違いは、碑文の内容、波の有無、雲の中から伸びているハンブルクの紋章を持った手の有無、といった感じでしょうか。


また、希少性についてですが、acsearchでGAED 1575で検索すると銀メダルの数は2007年〜2022年の間で20件弱ヒットしますが、デザイン違いのものが混ざった状態且つ同一固体が複数回出ていることを鑑みると、私のメダルと同デザインのものはおよそ10個体くらい出現しているものと思われます。


そのため、残存枚数についてはデザイン違いの個体を合わせて50枚くらい、デザイン別だと20〜30枚くらいはあるのかなぁと考えております。
これが普通の貨幣で考えると超レアですが、メダルとして考えるとレアではあるが、超レアというほどではないという感じでしょうか?

とまあ、色々と語ってはみたものの、やはり10ダカット相当の都市景観コインと同じデザインのコイン(銀打ちに貨幣的はないですが)を持っているというだけで、ちょっとした優越感に浸れる気がします笑


個人的にですが、レアリティが高いとされる他の領邦の都市景観ターラーや2ターラーよりも明らかに市場での登場回数や鑑定枚数が少ない割に(本来、比較するものでもないですが)価格帯は抑えめでありつつも、デザインがかなり良く、尚且つ大きさもある(直径50mm)ことから、都市景観コインにご興味がある方には狙い目だと考えております。



とまあ、そんな感じでハンブルクのコイン、メダル、歴史についてまだまだ語りたいことが山程あるのですが、とりあえず今回はこの辺にしておこうと思います。


今回もお付き合いいただきありがとうございました。


追伸:GAEDカタログは下記リンクから無料で閲覧可能ですので、ご興味ある方はご覧下さい。

https://archive.org/details/hamburgischemnz00gaedgoog