今日は中学校の入学式


10歳の時、小学四年生で田舎に引っ越した


慣れない地だったからか引っ越しの時は
すごくばたばたして色んな感情になった気がする。
実際は車に乗って新しい家に行っただけなのに。



新しい家では残りの小学生時代を卒なくこなした。

前の学校の時より友達が増えた気がする。


五年生、六年生にもなると精神的にも成長したから交友的に慣れたのかもしれない。

前の学校ではリサしか友達がいなかったのに。




そんな小学校生活を終えて中学からはまた前の地元に戻ることになった。

あの隅の青い家も二年も住んでたから住み慣れていたけど
地元に戻れるのはちょっとわくわくする。



また都会にもどれるんだ。
田舎は田舎で楽しかったけどやっぱり都会の方が
何かと便利だ。


田舎の家では一本下の道の先にある門の所によく遊びに行った。


門の先には草むらしかなかったけれど
風が気持ちいいからか、田舎を感じれるからか
なんだか吸い寄せられるようによくその場所に遊びに行った。



「ちひろーーー!久しぶりーーー!!」

「あ!リサ!ひさしぶり!」


引っ越す前に花束をくれた唯一の友達、リサだ。



「千尋が引っ越した時は永遠のお別れみたいな感じがして寂しかったけどなんだかんだで二年だけの転校だったね!笑」



引っ越した後さみしくなった時はいつも
リサにもらった花束についてたメッセージカードを見ていた。


なんだかそのメッセージカードを見ると
すごく元気が出て励まされる気がしたからだ。



「ちひろ、中学生になっても遊ぼうね!」

「うん!新しい家になったから遊びに来てね」

「あれ?前住んでた家とは違う家になったの?」

「そうなの!遠くはないんだけど前の家とは違うんだ!」



前住んでた家はもう住めなくなってしまったから
一駅隣の新しい家が新居になった。


家の隣には川があって寂しくなった時、悲しくなった時、一人になりたい気分の時は部屋から聞こえる川の音を聞くとなぜか心が落ち着く。



家の隣の川は上流が埋め立てられてしまっていたのに
中流くらいからまた湧き出したらしい。

だから水が濁ってなくてとても綺麗な川で大好きだ。



田舎に引っ越す前に住んでた家も好きだったけどこっちに引っ越しが決まる直前に違う人が住んでしまったらしい。


この辺は住宅街で人気だからなかなかこのあたりに引っ越して住むことが難しかったのにこの川の隣のこの家だけが偶然にも空いてたらしい。


だから悩む選択肢もなくここの家に決まった。
私たち一家をここに迎え入れられたみたいだ。



部屋から川を眺めない日はない。
小さい時、川にピンクの靴を落としてそこで溺れてから川は苦手なはずなのに家の横の川がなぜか異様に大好きだ。




今日は真夏日で暑い。
部屋でクーラーをつけながら宿題するのもきつい。

隣の川に足をつけながらぼーっとする。
琥珀川。
琥珀ってどういう意味だろう…

あっ、靴が流されちゃった

けど中学生になった千尋はすぐに靴を拾い上げることができた。

いきなり川の流れが緩やかになったからだ。


…まただ。

子供の時も靴を流されたけど拾うことができた…

あの時の川の名前は………

「……琥珀川。」


「千尋…っ」


「えっ!?」


…誰もいない。

誰かに名前を呼ばれた気がしたけど誰だったんだろう。


靴を追いかけてちょっと家から離れちゃったな。


家に帰らなきゃ。

ふと見渡すと神社がある。
…こんな所に神社があったんだ。


駒狐がこっちを見ている、ように感じる。
吸い寄せられるように神社の中へ入っていく。


駒狐の下に名前が書いてある。
この駒狐たちは両方ともメスなんだ。

…リン


「…リン……?」


あっちの駒狐の名前はなんなんだろう。

「…セン……」



その時神社の裏からおかあさんらしき声が聞こえた。

おかあさん…?
仕事に行ってる時間だし違うか…


神社の裏を覗くとおかあさんと見知らぬ男がいた


はっ………!!!
中学になったばっかの千尋には受け入れがたい信じたくない光景だった


おかあさんにはおとうさんがいるのに!!

こんな現実があるなんて信じられなくて
この現実から逃げ出したくて涙が止まらない目を抑えながら神社から走り出した




ドンッ!!!!!!!!




千尋はセンと書かれた駒狐に頭からぶつかり…





……………死んでしまった。



千尋はセンという駒狐の神様になってしまった。

神様になる場合身体は消える。


後に神隠しだと騒がれたが警察もお手上げで
一年くらいでこの事件は忘れ去られ迷宮入りとなった。


九十年後

(あれ…?身体が変な感じがする……わたしは死んだの…?あれからどれくらい時間が経ったんだろう……?)



わたしは引っ越してここに来た…はず…?


あれ?家がなくなってる。

私はどこに帰ればいいんだろう。
家がない。


あっ!そうだ。小学校の時に引っ越した田舎の家に帰ってみよう。




小四で引っ越した田舎に戻ってきた。


どこだっけ…?


上を見上げる。
あ!あそこの青い家だ!!!


一本下の道を来ちゃった。
確かこの先には小学生の時によく遊びに来てた
草むらがあったはず。


懐かしいしちょっとそこに寄ってから家に行ってみよう。



ここの門も古くなったなあ〜〜

風が鳴ってる。




「ちひろ……っ!」



えっ?


あなたは…………


「…………ハ………ク………っ?」



「ハクっ!」

「ちひろっ!」


「会いたかったっ!」

「わたしもだよ!」

「また会えて嬉しい!生きててよかった!」

「千尋を元の世界へ帰す条件であのあと湯婆婆に八つ裂きにされたんだけどわたしは神様だから死ねないんだ。痛かったし重傷で辛かったけどね!」

「そうだったんだ…辛い思いさせてごめんね。」

「もういいさ!そんな昔の話!それより千尋は神様になったんだね」

「うん、そうらしい。自分ではよくわからないんだけど…」

「とりあえず油屋の中に入ろう!」



「セーーーーーン!!!!!」

「………リンさん!」






「なんの騒ぎだい?」

「……おばあちゃん!」

「あら?センじゃないか、ひさしぶり。また戻ってきたのかい?」




「リンさん!いつか油屋をやめて街へ行くって言ってたのにまだいたんだね!」

「ああ、一回は街に行ったんだけどなんだかんだ油屋が好きだったらしくて戻ってきちまったよ」

「そうだったんだ」

「セン、おかえり!」

「リンさん、ただいま!」




みんな久しぶりだけど何も変わってない!




「千尋、おかえり!また会えるなんて本当に嬉しいよ!」

「ハク……!これからはずっと一緒にいれる?」

「もちろんさ!」


「ハクっ……!あのね、大好きっ!!!」






終♥






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