自民の比例得票率35%前後。
自公候補の得票率50%以上の選挙区=140以下。

投票者の半数以上は、自公政権を支持していないという結果が出た。

得票率から言うと、反自民のほうが多いのに、自民が勝った――という不思議な現象だ。

選挙制度のおかげである。

野党が票を獲得しながら勝てなかったのは簡単な理由だ。
つまり、野党共闘が出来ていない――。
似たような政党の候補が乱立したほうが負けなのだ。

野党の候補を一本化して、自民にぶつけたら面白いことになるのに――そうしなかった。

ここが、野党敗因のすべてである。


支持母体の連合が共産党を嫌ってワガママを言い、そして希望の党が引っかき回しただけで終わった。
戦犯は、言うまでもなく小池と前原だ。
排除の論理を持ち出し、自分たちだけで政権交代できるという奢りによって、自滅していった。おかげで野党共闘を乱し、結果として反自民の票が割れてしまった。

自民は「漁夫の利」によって圧勝したのが本当のところだ。

 

野党が分裂して、自滅しただけと言われても仕方ない――。

国民の投票で自民は圧勝したのではなく、選挙システムのルールによって勝てたのだ。

ここの点を間違えると、自民圧勝なのに何となく暗いムードなのがわからず理解不能になる。

 

2012年 民主党 比例得票 962万8653
2014年 民主党 比例得票 977万5991
2017年 立憲民主党 比例得票 1106万930
 

立憲民主党については、わずか20日でここまできたことに驚きを隠せない。

惜しむらくは時間……。

集められる候補が足りなかったこと、政策を練る時間がなかったこと。

そういう面で届かなかっただけであり、うまくやれば勝てる要素を示せたのである。

 

立憲民主党はSNSをうまく使い、眠っていたリベラル票を掘り起こせる可能性を示した。
政党名、ロゴデザイン、街宣のスタイルなど、かなりセンスが良い。
おそらく若い人たちのブレーンがいるんだろう。
次はどんな仕掛けを考えてくるか、注目の政党になった。
裏方さんたちは、引き続き頑張って欲しい。

 

さて……。

さらに興味深いのは、公明党が700万を割ったことだ。

勝てる選挙なのに、公明党が議席を落とした――これは大変なことである。

公明党の支持母体の創価学会が、安倍の独断的な態度、強引な国会運営で法案を次々に通していく姿勢に疑問を持ち、このままの勢いで改憲に進まれたら嫌だと反発したのではないかと予想する。

安倍が開票翌日の会見で、「謙虚」の言葉を繰り返し、改憲についても慎重に行うような姿勢を語ったのも、その公明党の内部反乱に気を使っているからではないだろうか。

 

今回の選挙は、これからに向けて様々なデータを残している。

勝つための方程式も見えてきた。

 

あとは、欲深くなく、冷静に勝つ方程式を計画する“知”を結集させたところが、その計画を実行に移せるかどうかだ。