寺山修司のことについて何も知らなかった中学生だったか高校生の頃、国語の先生がいきなり「私は寺山修司が好きではありません」ということを言うものだから、それ以来、寺山修司の著作を手に取ることがありませんでした。その先生はたいした理由もなく口にした言葉だとは思うのですが、すでに三十数年その言葉の影響というのは持続するものです(笑)角川文庫から数々の作品が出版されていた頃も手にとってみようとも思いませんでした。先生の皆さんは注意してくださいね。意外な影響力を与えていることがありますので…。
でも、たとえば「私は小林秀雄が好きではありません」とか「私は夏目漱石が好きではありません」などとは、国語の先生はたとえそう思っていたとしても口に出すことはないでしょう。寺山修司だから良いと言うわけでもありますまい。
三島由紀夫が太宰治を嫌悪し「僕は太宰さんの文学はきらいなんです」と言ったとか言わないとか。私は三島好きでもちろんこの話は知っていましたが、太宰を読まなくなったりしませんでした。まあ、微妙なんでしょうね(笑)
ともあれ、先日、丸山明宏『紫の履歴書』に関する記事を掲載してから、新聞の広告で梅田のシアター・ドラマシティで寺山修司が丸山明宏のために書いたという「毛皮のマリー」が5月に演出・主演:美輪明宏で上演されることを知り(何度も繰り返し上演されているのだそうだが)、さらに角川文庫で寺山修司著作の改訂版発行が始まっているようですので、戯曲集『毛皮のマリー/血は立ったまま眠っている』を購入したのでした。
私としては、はじめて購入する「寺山修司」になりました…。