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リチャード・マシスン『地獄の家』1971年 初版


Matheson, Richard. Hell House. New York Viking Press 1971

日本の単行本や文庫本には、必ずと言って良いほど、「帯」というものが付いていて、内容紹介や推薦文などが書かれています。ところが、洋書にはほとんど見たことがありません。ただ、日本へ輸入されて日本の書店に並んでいる洋書は、輸入業者で帯を付けたりして、帯に代わる紙を貼付したりしているようなのですが…。洋書の場合、カバー(ダストジャケット)の袖に色々書かれていますので、それが帯の役目を代行するのでしょう。

和書の「帯」というものには信じられない価値がある場合があります。
本によっては、「帯」の紙質やその形状などが繊細なためにすぐに脱落したり痛んだりするものがあって、そのために帯が残っているのが非常に珍しかったり、あるいは、本来帯が付いていないのがたまたま一部に付けられたり、とか様々な理由で、帯があるのと無いのとでは、数十倍も古書価が違ったりしてきます。先日、紹介した三島由紀夫『魔群の通過』は、帯が無ければ数万程度ですが、帯があれば100万円くらいするのではないかと言われています。

洋書の場合は、そういうことをまず蒐集時に考えなくても良いのが楽です。せいぜい、
① 帯に代わるダストジャケットの有無
② ダストジャケットの袖にある価格が切り取られているかいないか
③ その価格が確かに初版時のものか
④ ダストジャケットの袖にある宣伝文にたまに初版時に誤植があって、同じ初版でも発行のタイミングで誤植訂正版に差し替えられたり、また、後版からは訂正されている場合があります。初版だ、といって喜んでいても、果たしてダストジャケットがどういう状態のものが、重要になります。
⑤ 『死の蔵書』に書かれているように、ブッククラブ版というのが存在します。同じ、初版でも普通の版だったら数百ドルするものが、ブッククラブ版だったら古紙同然とか、そういう場合があるので注意が必要。
⑥ これは、日本でも同じですが、復刻版をつかまされる事があるということ。また、出版社を変えて全く同じ装丁で出版されることがあるので、それも注意。
⑦ 本体も一見、区別がつかない場合もありますが、様々な書誌的研究でチェックポイントがあります。それらを把握しておくこと。

等々を考慮するだけで良いのです…それはそれで大変か…(笑)ネット古書店も5年くらいまでは、きちんとした業者が多く、これらのことを調べその情報を提示して掲載していたものですが、最近は玉石混交で、ネットオークションの状況とあまり変わらないような気がします。

今日、写真を掲載したものは、私が所有している唯一の帯付き本の『地獄の家』です。これは非常に珍しいはず(と思う)。ただ、惜しむらくは、プライス部分が献呈のためなどの理由で切り取られています。その写真もご参考のために掲載します。