大石圭『飼育する男』角川ホラー文庫


昨日(7月10日)、新刊書として購入。なぜか、呪怨を見て以降、たま~にこの作家の本を読んでいます。

この本のプロローグに、ずっと昔の春の午後、少年が、森の中の小道の脇に一冊の日に晒されて色あせた雑誌を見つけるというシーンがあります。
題名からおおよそ推測がつくように、その雑誌というのは全裸の女性が首輪をかけられて…というような写真が掲載されていて、少年は、世の中にはこのように女の人を扱っている人がいるんだ…と衝撃を受けます。

実は、同じような記憶が私にもあったのです。

少年の頃、家の近くに、水田を埋め立てた広大な宅地造成地がありました。少年は、体が硬くマット運動が苦手で、その日も手をつかないで前転(前方宙返り?)、あるいは手だけついて前転(倒立前転、とびこみ前転?)し、きちんと着地する、という練習をこの埋立地でしていました。その少年一人であったことは確かですが、季節や時間はわかりません。恥ずかしがりやさんで、他の人にしりもちをついたりしているのが見られるのが嫌で、その埋立地を覆っていた草叢に隠れるようにように練習していました。
結局、うまくできずに情けない思いをしていたのですが、そのとき、ふと周りを見回すと、少し盛り上がった土地(住宅一軒分の建築予定地が長期に放置されていたのでしょう)の上に丁度大人の背丈くらいの草木が覆い茂っているのに気付きました。わざわざ何の変哲もない草むらに気付いたというのは、そこに辛うじて人一人が人がもぐりこめるようなトンネル状の入り口のようなものがあったためです…。その部分にある草を刈り取ったりしたのではなく、明らかに目立たぬようわざわざ作られた「穴」でした。

少年が好奇心にかられて、そこに潜り込むと、内部には円形に草が綺麗に刈り取られた空間があったのです! 
うれしくなった少年が、大の字に寝転ぶと(十分に手足を伸ばして寝転ぶだけの広さがありました)、円形に切り取られた空が見えるだけ…。少年一人だけの静かな空間でした。

寝転んだまま草叢の方を見ると、雑誌のようなものが捨てられているのに気付きました。間違いなく、少年以外にも誰かがここに入ったことがあるに違いありません。あるいは、この空間を作った人が忘れていったものでしょうか? 
手にとって見ると、正確には雑誌というよりその中のグラビア写真が数ページだけ切り取られた雑誌の一部でしたが、その内容に少年は大きな衝撃を受けました。

数ページとも全て女性の全裸写真で、ヘアも無修正のようでした…。今のようにヘアヌードが一般ではなかった時代ですので、その少年の性的な興奮ははかりしれませんでした…。(以下略)

…というような記憶が急によみがえってきました。ただ、その少年は、別に女性を飼育するような人間には育っていませんので、それだけは安心下さい。
しかし、こういう他愛のない少年時代の性的な記憶というのは、忘れているだけでいろんなエピソードがあるものなんでしょうね…。