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ラヴクラフト『THE OUTSIDER AND OTHERS』初版


本書は、1939年にアメリカのアーカム・ハウスという出版社から刊行された『THE OUTSIDER AND OTHERS』初版です。アーカム・ハウスはラヴクラフトの弟子とでもいうべきオーガスト・ダーレスが1939年に設立した出版社で、この本を処女出版として、ラヴクラフトの著作を次々に出版していきます。オーガスト・ダーレスは、また、これらのラヴクラフトの遺稿をもとに自らも創作したエピソードを追加し「クトゥルフ神話」として体系付けたことでも有名な人物です。

ラヴクラフト→ダーレスが体系付けた「クトゥルフ神話」は、その後の作家もその体系作りに参画していきました。以前の記事でも触れたクラーク・アシュトン・スミス、『サイコ』で有名なロバート・ブロック、そして、フリッツ・ライバーなどがそのメンバーです。日本では、朝松健や栗本薫、佐野史郎(佐野氏のホームページによれば、映画『ネクロノミカン』で使われた魔道書を所有しておられるとのこと…。ご存知の方も多いと思いますが、この書を開くと、魔界の扉が開き、いわゆる魑魅魍魎が人類に襲いかかる…)らが該当するのでしょうか…?

ラヴクラフトに影響を受けた作家も数多く、その筆頭として、まずは、スティーヴン・キングを挙げなければならないでしょう。
スティーヴン・キングが著した、ホラーに関するバイブルとでもいうべき『死の舞踏』のなかでも、怪奇幻想小説ファンにとって、『THE OUTSIDER AND OTHERS』のみならず、アーカムハウス刊行の黒いシンプルな装丁の本の数々は垂涎の的であり、そしてその所有者は書棚も最も良い場所に収めるであろう、というようなことが書かれています。アーカム・ハウスが発行部数を数千部に抑えて刊行していたために、そのような希少性を持つようになりました…。

ちなみに、本書『THE OUTSIDER AND OTHERS』の発行部数は1268部と言われており、有名な『クトゥルフの呼び声』や『インスマウスの影』、『闇に囁くもの』、『壁の中の鼠』などが収められています。古書価は、状態にもよりますが、カバーがついたもので1,000ドル前後。なお、本書のカバーには、後年のリプリントのカバー(私は未見)や複製のカバーが付いているものがありますので、ネット経由での購入では、オリジナルのカバーかどうかの確認が必要です。

THE OUTSIDER AND OTHERS, Arkham House, 1939, first edition