「ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか」

の感想や関連事項の考察等



本書では、題名にあるように、ロボットが生き物に似てしまうということを詳細に述べていた。


ロボット作りは、最初、人間をはじめとする生命体に似せることから始めたのであるが、似せようとしていなかったロボットまでもが、なぜか生き物に似てしまうのである。


これまで生き物は、この地球という環境に適応するために、体の形状や特性を変化させながら進化してきた。この進化の過程で最終的に行き着いたのが現在の形である。現在の地球の環境で、役に立つロボットを作るとしたならば、確かに、何億年もかけて形を変えてきて、現在の形に行き着いた生命に似てしまうのは、しょうがない事のような気もしないではないが、不思議な話である。




私が、本書で1番気になったのは、第3章の「足を動かす順序まで似てしまう!?」である。

日常生活では、手や足を動かす順序は気にならず、無意識に行っていることである。しかし、この無意識な動作は、ロボットを作っていく上では解析しなければならず、動かす順序も決定しなければロボットは正常に動いてくれないのである。


4脚歩行をする生き物で静歩行する場合、必ず「後脚→同サイドの前脚→逆サイドの後脚→同サイドの前脚」の順番で脚を動かす。人間の祖先も4脚歩行であったので、私も試しに四つん這いになって歩いてみたのだが、確かにこの順番通りであった。本書に書かれている通り、順序を反転させても歩いてみたのだが、やはり慣れるのに時間がかかった。


この順序で歩くことで、3本の脚で作る「支持多角形」の内部に体の重心を持ってくる状況を1番作りやすいということが、身を持って理解できたのである。


6脚歩行の場合も同様に見てみると、3本の脚で支持多角形を作っていることがわかる。代表的な例が、「交互三脚歩行」と呼ばれる脚の動かし方である。片方のグループの3脚が遊脚状態にある時、もう一方のグループの3脚が接地する。このようにして、常に大きな支持三角形を作れるので、安定した静歩行が実現できるのである。


これらに対し、人間は2脚歩行である。遊脚状態にした場合、接地脚は1本だけになってしまい、これでは、支持多角形は作れない。しかし、足の裏に面積があることにより、その面積に重心を持っていくことで静歩行が可能となるのである。ホンダが開発したアシモも同じように足裏には面積があり、この面積内に体の重心が来るようにして静歩行を実現している。このように、ロボットを歩行させる上で、前に示すような人間の歩き方に酷似してしまう点がいくつもあるのである。




本書を読むことで、ロボットの仕組みや生き物の体の構造がわかり、また、両者の共通点や類似点を知ることができた。もしロボットが生命に似ないで、別の物体に似るような時が来たとするならば、人間は生命進化の歴史を超越し、生命の進化をある程度予測できているに違いない。その時、生命が最適化されていく上で、ロボットと同じ形態を辿り、生命がロボットの進化を準えるのかもしれない。