今日は、午後1時から不動産屋と約束がある。

アクエリアス、飲み干した。

ホテルからかなり距離はあるけど、歩いて行くことにした。
地下鉄乗ると迷いそうだし、歩いた方が、街の感覚を掴める。
それに、俺は一度通った道は、まず忘れない。

初めて歩く、マンハッタン。
凄い・・・。

行きかう人、街。全てがカッコいい!

なんだか分からないけど、気づくと知らず知らずのうちに気持ちが熱くなって、涙ぐんでる。

誰も俺なんかジロジロ見ない。

日本では常に視線が刺さってた。
なぜか?それは俺の風貌のせい・・・
(幅15~20cm×長さ20~30cmのヒゲ+スキンヘッド+両腕を覆うtattoo。これだけ揃えば、見られるのは当たり前か・・・)


歩いていると、なんかフラフラする。
「時差ボケ?」「空腹?」

なかなか食欲が出てこない。水すら思いきって買えない。
やっとの思いで水を買い、飲んだその一口が超うまかった。


不動産屋のビル発見。
少し時間が余ってる。

腹ごしらえしたいけど、店に入る勇気がでない。
味のついていないクロワッサンを買った。これまた、うまい。
水とパンがこんなにうまいなんて、と思った。



【部屋探し】

行ったその足で、5件見てきました。
不動産屋の人(女性。凄く気遣いができている人。常に俺の存在を確認し、はぐれないように気をつけていてくれた)と地下鉄で見に行った。疲れた。

5件中、4件が良かったです。
その中でもここだ!と思ったのが、Queensの物件。

とても閑静な住宅街。
家賃は925$。少し予算オーバー。
アメリカのワンルームは、想像していたものよりも、相当大きかった。
アメリカ生活のスタートを切るには上出来だと思う。

決めた物件。

・場所:Queens。マンハッタンから地下鉄で30~40分。

(日本では調布に住んでいたから、マンハッタンを新宿とすると、位置的には同じ感じ。)

・家賃:925$(光熱費、水道代、インターネット代込み)
・エアコン使用料は、使用時、別途20$
(不動産屋いわく、普通に夏場エアコンを使用した場合、20$では済まない。100$弱はかかる。アメリカでは光熱費とエアコン代は別になっている。)。
・部屋:キレイ
・治安:とても閑静な住宅街。駅から徒歩7~10分。歩いて来る途中に、商店街、食べる所がたくさんある。
・家具付き(でかい冷蔵庫・でかいベッド・PC用の机・TVは小さい・・・)
・風呂:バスタブなし。シャワーノズル固定式。
(バスタブがあっても、ほとんどの物件は、シャワーノズル固定式。これは慣れるしかなさそう。)
・収納多い、収納スペースでかい。日本からかなりの物を送れそう。しかも収納スペースの扉は、全面鏡張り。
※補足:でかい一戸建てを、家主さんが凝りに凝って改造したアパート。部屋を紹介する時、超楽しそうだった。
初めての海外生活で家主さんが(いい人そう。男性)すぐ近くにいる、という点もメリットにいれた。
ここは家具が揃っているから、すぐに生活が始められる状態。ベッド、その他探しに行って、購入する手間が省ける。


他に見た物件。
●Queens、家賃900$。部屋は割とキレイだし、治安も良さそう。予算的にもOKだけど、家具全くなし。

一般的なアパートの2階。一番最初に見に行ったのがここで、最初はここが良いと思った。

●Queens、家賃975$。オートロックが付いて管理人がいる、コンドミニアム形式。
申し込み時に、敷金+家賃1ヶ月分とは別に、申し込み費用として家賃の半月分が必要なため、ここは、「なし」かな。


●Queens。管理人さんの好意で、おまけでもう一件1200$の1ベッドルーム付きを見せてくれたけど、
今の俺達には広すぎるし、高すぎる。


●最後にマンハッタンのスパニッシュハーレムに900$が一件。
部屋は汚い。収納はない。壁に棚が付いているだけ。治安もハーレムの手前のため、ギリギリセーフな感じ。
部屋に着くまでのストリートは迫力があった。でかい黒人が道でタムろってる。映画でよく見る一場面。



不動産屋の帰りにPenn stationで、水とビールとサラダ、ホテル近くのデリでパン×2と牛乳を買った。
牛乳がめっちゃおいしかった。

パンとサラダ、量が多くて食べきれないのか・・、食欲がないのか・・、
半分を明日の朝メシように残した。今はなんとなく、野菜が食べたい。


ホテルは、シャワー・風呂共同だから、なかなかアイツがでなくて・・便秘になっちゃって・・・。
たまに勢いよく「ガツン」とでるものだから、人生初めての「ぢ」なっちゃったよ。
ダサいけど、これは勲章としてとっておくことにした(できれば引っ込んでほしいけど・・・)。



【深夜】

祝ネット開通。ワイヤレス。

自分のパソコンはワイヤレスに対応していない、と思ってた・・・けど無線LANが内臓されてたみたい。
上京して初めて電話を繋げたような感覚(当時は、まだ携帯が一般的に普及していなかった)。
みんなに明け方までかかって、メールした。

【成田空港】


ついに日本を離れる日が来た。


荷物はスーツケース(かなり重たい)、あまり大きくないボストンバッグ(重い)、リュック(重い)。
スーツケースがいきなりの重量オーバー。超過料金は5千円。

2つに荷物を分ければ、超過料金はかからない。

悩んだ末に、完璧にパッキングしてあったのをその場で崩し、航空会社の職員がくれたダンボールへ詰め替えた。
無愛想な職員だったけど、ダンボールをくれただけ、マシだと思う。


だけど、JFK空港でこの逆の作業をするかと思うと、この段階で、テンションは下がった…



【18:05離陸】


機内は割と空いていた。

俺の列は、自分を含めて端っこと端っこの2人だけ。

後ろは壁だし、俺の計算通り。

離陸前、色んな気持ちが混ざってた。

「これからNYに行く」という実感はない。
自分は、この瞬間生きていて、飛行機の中にいる。ただ、それだけ。

何だか分からないけど、満ち足りた気持ちになってた。
「このまま飛行機が落ちても、それはそれで構わない」と・・・


熟睡はできなかった。何度かうたた寝した程度。
ほかの乗客はみんな思い思いに過ごしてた。
機内は寒くなったり、暑くなったり、体温調整が難しい。
何度もシャツを着たり脱いだり、毛布をかぶったりした。

食事は、飛行機内で機内食×2。おいしく食べた。

着陸態勢に入るころ、便意(「大」の方ね)をもよおしたけど、
機内のトイレは着陸前と朝食後が重なり、常に使用状態。

着陸してから用を足そうと、あきらめてシートベルト締めた。



【同日(6/14)18:05JFK到着】


空港で荷物を拾う。スーツケースは既に少し開いた状態だった。
しかも、高度で冷え切って、汗をかいていた。
自分も汗をかきながら、ダンボールからスーツケースへの荷物詰め替え作業。
着いた直後、スーツケースおっ広げてこんなことやってるのは俺だけ。
空いたダンボールをその辺のゴミ箱に押し込んだ。

この作業で便意は完全にブッ飛んだ。

当然ながら、その便でゲートから出たのは俺が最後。



【入国審査】


いくつか質問されたが、聞き取れないのと、勘違いして答えしまったのもあった。
聞かれた内容は、「どこから来た?」「アメリカは初めてか?」ぐらいだったと思う。
審査した人は女性。
写真と指紋をとって、入国!



【空港バス】


空港バス乗り場が中々見当たらない。
荷物を引きずりながら歩いていると、黒人女性が大きな声で何かを言った。
その人の方を見ると、そこが空港バス乗り場だった。

その人にバス代15$を支払った。

電話のある場所を聞いて、ホテルの管理人にTEL。

予想到着時刻を告げた。この時、すでに19:20。

バスが来た。運転手は、スーツケースを乱暴にバスの荷物置き場に放り込んだ。

出発。
バスの運転は荒く、バウンドが激しい。バス自体が古い。
そんなことにはこだわらず、金を生み出しているこのバス(この国?)は凄い、と感じた。


空港バスに乗っている時に見た、夕陽(20時前でも夕陽だった)をバックにしたマンハッタン島を見て、
アメリカに行くと決めて、準備して、やっとここまできたという実感と、この国のあまりのカッコよさに胸が熱くなり、
俺は一人で泣いた。


運転手から、「Penn Stationはここで降りればいい」と指示があり、チップを支払ってバスを降りたけど、
目の前にあるのは、明らかに違う駅名(Grnad Central Station)・・・。
建物が古めかしくてかっこいいんだけど、見とれている場合じゃない。

運転手に目的地までの行き方を聞いたら、すぐそこのような感じ。

取りあえず、訳も分からず、重たい荷物を引きずり、その辺をグルっと一周。
やばい、全然ここがどこだか分からん・・・。夜も迫ってきている。


スーツケースがまた開き出したため、道の真ん中で、スーツケースを閉めなおす。
なかなか閉まらない。


元の位置に戻ると別の空港バスがいたため、その運転手に事情を説明。
その運転手も、「Penn Stationはすぐそこだ。バスに乗る必要はない」と言う。
もうバスはあきらめた・・・。

しばらくGrnad Central Stationの前で呆然とした。どうしようと考えても、どうしようもない。
自分が動かない限り、誰もホテルには連れて行ってくれない。

だから、停まっていたタクシーに声をかけた。
トランクにスーツケースを入れるのなんて手伝ってくれない。

最後の力を振り絞って持ち上げて乗せた。
身体がきしんだ。

ホテルの住所を口頭で告げても、通じない。
住所が書いてある紙を運転手に見せた。タクシーが走り出した。
時間にすると10分ぐらいはタクシーに乗っていた気がするから、この荷物を引きずって歩くのは無理だった。



【ホテル到着】


鍵は部屋の中で渡すと説明されていた。ホテル入り口で待ち合わせる予定。
だけど、このホテルにはエントランスもロビーもなく、いきなりオートロックで中に入れない。
30分近く待っても管理人現れず・・・。
近くに公衆電話は見当たらない。

時間は、21:00を越えている。

この荷物を引きずりながら、公衆電話を探す気力も体力も、ない。


とにかく待つしかないと決め込んだ。

しばらくすると、ドレッド頭の兄ちゃん(日本人じゃないよ)が近づいてきて、「What's up?」と話しかけてきた。
少し世間話(?)。
「英語できるか?」「そのヒゲ何年ぐらい伸ばしてる?」とか・・・

そして、俺がホテルに入れないことを説明すると、
「俺の友達もこのホテルに泊まってる(住んでる?)。用事があってここに来た」と言って、
物凄く大きな声で「×××××~!!!!!(何て言ったか分からない・・・)」って叫んだ。
そうしたら、管理人(は日本人)が降りてきた(この人寝てたよ・・・)。
俺はドレッドの兄ちゃんに会わなければ、ずっとホテルには入れなかっただろうね。
この兄ちゃんにはほんとに感謝しなきゃね。

やっとホテルに入れて荷物を部屋まで運ぶ時、お気に入りのヘッドフォンが、狭い階段に引っかかり、左の部分がもげて、泣けた。


この日は、機内食を最後に何も食べていない。
手元にあったのは、飛行機乗る前成田空港で買った、アクエリアスだけ。

今日はもう荷物を整理するので精一杯。
このホテルは壁が薄い。

ゴキブリもいます。もう見つけちゃった。
風呂、トイレ共同のこのホテル。風呂に入る気にもなれない。便意も完全に消え失せた。


隣の部屋の日本人の女の子グループ(関西系、聞こえてくる話の内容からすると、目的は観光&ショッピング)は、超ハイテンション。
このホテル、壁が薄いから、まる聞こえ。
宿泊客の外国人に「Shut up!」と言われていたが、深夜1時を越えてもおさまらない。
観光で来るNYはこんなに楽しいものなんだね、きっと。
今の俺に、その感覚は、ない。

初めて東京に来た時と同じ感覚。

外部との連絡手段なし。
ネットも携帯も繋がらない。

完全に一人。

眠れない。