そんな次の日、私は会社の上席飲み会があって、
家に帰ってからセリーナと電話をした。
1杯だけだけどお酒が入ってテンションがやや高め、基本前向きな私に対して、
最近、落ち込み気味のセリーナ、本日はテンションがさらに低くて
セリーナ:今日はあおいと話したくない、テンションが違いすぎる…
と言われたので、本当は電話を切りたくなかったけど、
ラチがあかないだろうと思って、悲しみながら電話を切った。
難しい…
元気なことの何が悪いんでしょう…。
次の日の仕事帰り。
昨日は噛み合わないテンションだったにも関わらず、
なんだか、すんなり自然に一緒に帰ることになってた。
会社の周りは、他の人に偶然あって見られたら気まずから、
地元に近い場所にある少しオシャレなブルワリー(Brewery)で
食事をすることにした。
そこで、昨日のセリーナのテンション(メンヘラ)は
何が原因だったのか聞いてみることにした。
セリーナが落ち込んでいるんだったら、ちゃんと話を聞いてあげることで、
気持ちが楽になるんじゃないかと思ったから。
そして、その話を引き出すのに、時間がかかると思った。
言葉のチョイスに迷ったり、
自分の心の中を話すことに拒否感を感じたりして、
迷いながら話すだろうと…
ところがどっこい、
セリーナは淡々とスムーズにメンヘラの気持ちを喋り始めた。
セリーナは以前メンヘラだったとか、じゃなかったとか?
今は改善されてメンヘラではないけど、
その要素は未だに持っている、と。
そして…
セリーナ:あおいはメンヘラといっぱい付き合ってきてるのに、
全然、彼女たちの気持ちが分からないんだね。
自分(あおい)が彼女たちをメンヘラにしておいて、
その気持ちが分からないなら、それはフラれるよねぇ…笑
私:そうなの?じゃもう失敗したくないから気持ちを教えてよ。
セリーナ:メンヘラの人に「がんばれ」って言っちゃいけないの知ってるよね?
私:うん、それは気をつけて言わないようにしてる。
セリーナ:言わなくても、がんばってる人とか一生懸命な人、楽しそうな人を見るのもツラい時あるんだよね、あおい…。
私:うん…それが昨日の私ってことだよね…?
私、どよ〜〜〜ん…
そんなこと言われたらどうしたらいいんだろう、
普段からテンション高いのが「あおい」だし、
合わせてテンションさげなきゃいけないってことみたい。
セリーナ:でも、私は完全なメンヘラじゃないから、昨日みたいなことはあるけど、
あおいみたいに元気で楽しい人が近くにいてくれるて嬉しいよ。
私、ニコーーーー!!!
セリーナ、なんて飴と鞭的な女。
セリーナ:でも元メンヘラから分かってほしいことがあるんだ。メンヘラの人は何もしたくないっていうでしょ?仕事だったり、遊びだったり、食べたり…
でも何もしたくないってことは、何もしないっていう選択をして、
何もしないこともツラいんだよね。
私:それって…もはや人間の域じゃないよね。
肉体もなくて魂もない状態じゃん。
セリーナ:そう、すごいでしょ?私のメンヘラの代弁。めちゃ上手くない?
セリーナ&私:ふ〜ん。。。だから何も気力がない時は自殺できないけど、少し気力が出てきた時に自殺するんだね…。
なんとなくセリーナの言葉からメンヘラの気持ちがわかったというか
落ち込んだ時のセリーナの気持ちが分かったというか…。
そんな話をして食事が終わったあと、
セリーナが家に誘ってくれた。
また家に誘ってくれるなんて…
やっぱり私に対して何か気持ちが前向きに変わったんだな。
それから、セリーナの家で残り少ないカルヴァドス(calvados)という
アップル・ブランデーを出してきた。
私、ブランデー飲めません!!!
人生で唯一飲んだブランデーは、
尊敬する有名アーティストのHさんと飲みに行った時に奢ってもらった1杯だけ。
1口目はツラかったけど、2口目から徐々に飲める味に変わった。
リスペクトする人にブランデーもらえて嬉しくて飲めた味。
それ以来、ブランデーは飲んでないし、ハイボールも未だ飲めない。
セリーナ:このカルヴァドス、高くて美味しいんだよぉ〜
(カルヴァドス・オルダージュ)
自慢気に、そして一生懸命そのカルヴァドスを説明するセリーナ。
可愛いな…。
しかし、はたして私、このお酒、飲めるのかな。
場を冷ましたくないし、できれば共通の趣味は多い方がいい。
私:ありがとう…
一口目。
くあぁーーーーー!キツーーーーッ!!!
こんなのお酒じゃな〜い…。
セリーナ:大丈夫?飲める?
私:ん?大丈夫だよ、美味しい美味しい…。
二口目。
はぁ…慣れてきた。
三口目。
あぁ〜大人な気分。
それから、だんだん美味しく感じるようになってきた。
そして、最後にグラスが空になった時、
『もっとこのカルヴァドス、飲みたい!!!』
そんな気持ちになった。
いつか、セリーナとお互いを強く思えるようになったら、
このカルヴァドスを記念のお酒に一緒にまた飲もう。
そして、今夜もキスしてセリーナのベッドで眠る。
やっぱりキスしていいんだ…。
この前の1日だけの気持ちじゃなかったんだ、
よかった…。
好きになってもいいのかな…
そう思って、なんとなく穏やかな気持ちで夢の中へ…。
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