その日、終電間際。
明日は全員仕事だから帰らなきゃ!
私は心を鬼にして帰る道を選んだ。
私:じゃ帰るね〜
セリーナをみたら微妙な表情だった。
なんて表情!?私に帰ってほしそうにない顔?
そう思ったんだけどな〜、本当は分からない。
ところが皆といるのにキタジマ君が、
「今日あおいのところ行ってもイイ?不倫相手のことで相談がある」
とラインを送ってきた。
私は返事をしなかったけど、キタジマ君は勝手に家までついてきた。
近くのコンビニで降りて、家まので帰り道、キタジマ君が言った。
キタジマ:セリーナに”あおいとセリーナの家行ってもいい?”
って聞いたけど断られたんだよ
私:そうなんだ…
なんだ…
あの表情は、私に家に来て欲しいって表情じゃなかったんだ…
やっぱ女って分からないなー。
じつは先週、2回くらいキタジマ君と飲んだ。
その時に、キタジマ君の不倫相手についての相談にのることになり、
逆にキタジマ君は私とセリーナの関係をサポートすると言っていた。
セリーナとの関係に…というか誰かとの特別な関係に他人のチカラを借りるのはよくない。余計な方向にベクトルが動き始めるのは前回で学んだ。
でもまぁキタジマ君は口だけで何もしないだろうなと思って、気持ちだけ受け取って「ありがとう」と伝えた。
でも、このあたり、私の中でキタジマ君は
”けっこうイイやつじゃん、私が信じれないって思ったのは気のせいだったかな”
と思って、最近キタジマ君を信じるようになってきてた。
歩いて帰り始めた時、セリーナからLINEが入った。
セリーナ:もう家?
私:セリーナは?
セリーナ:帰ったよ
私はすぐに電話した。
私:(キタジマに)セリーナと電話するから向こう行ってて!
キタジマ:どんな話をするのか知りたいから聞かせてくれ、
俺はいないことにして!
私はセリーナにキタジマ君がいることを言わなかった。
ちょっとだけキタジマ君のこと信じ始めてたから。
ゆっくり話すセリーナの声、
今日はなんだか甘えムードなセリーナ。
可愛いな〜。
なにを話したか覚えてないけど、
セリーナが話したいこと話してくれて嬉しかった。
家についても電話は続く。
40分経過した頃、横でキタジマ君が
”電話切れ”ってメモに書いてきて煩い。
キタジマ(メモ):こいつ電話長いからはやく切って!質問しないで!
このメンヘラ!はやく寝かせてあげて!
私(メモ):ヤダよ〜、切りたくない、もう少し。そんなひどいメンヘラじゃない!
この繰り返し。
セリーナは最近、落ち込んでる。
だから彼女が話したいだけ話させてあげればいいし、
気の済むまで付き合ってあげればいい。
こうやってセリーナの声聞いて、ふたりの時間を過ごしている時は、
私も居心地がいい。
でも、1時間が経つ頃はもう2時。
さすがセリーナも次の日仕事だし、体に負担かけるわけにもいかない。
切りたくないけど、家に来てるキタジマ君にも一応悪いし、
電話を切らなきゃ。
セリーナ:なごり惜しいけど切るねぇ…
私:うん…おやすみ…
私もなごり惜しいよ〜〜〜〜〜!
そして電話切ったら、キタジマ君が
キタジマ:なげ〜〜〜!つーか、複雑…。
私:どうしてそんなに切らそうとするの?
大事な友達が私と話したがったるんだからいいじゃん?
キタジマ:なんかイヤだったんだ…
私:何が?自分以外に心を開こうとするセリーナが?
他の人を頼るのイヤだったの?私にヤキモチやいた?
キタジマ:そうかも…。
でもあおいにもセリーナにもどっちにも。
そこを認めるところはエラい、が…
なんだ…そうか…
キタジマはやっぱりちょっと…自分の損得で動くのはまだ若いなー。
誰かの言葉を信じて電話を切っちゃって、なんか…。
結局、結月花ちゃんの時もそうだったけど、
身近な人の意見を頼ろうとしたからこうなるんだ。
やっぱり自分で決めなきゃ…
その後だった。
話の中でキタジマがセリーナとの過去のLINEのやりとりを見せてくれた。
見せなくていいのに…。
その瞬間…
さっきキタジマがセリーナに送ったLINEが見えた。
キタジマ ”今夜、家に行っていい?”
セリーナ ”ごめん、むり”
セリーナのそっけない返事…ははは…
いいぞいいぞ、セリーナw。
ってあれ?私の名前、一切ないじゃん…。
「”あおい”と家に行っていい?」って聞いたって言ってたよね…
キタジマ君、またちっちゃな嘘ついたのね。
もしセリーナが”家に来ていいよ”って言ったら、
私に嘘ついて一人で行くつもりだったのかな?
私はそのことには触れなかった。
やっぱこの子、う〜〜〜ん…
自分がLなのも、セリーナとのことも、
何も言わなきゃよかった…
と少し後悔、今のところ。