ミュンヘン | 屋根の上の洋画好き

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洋画のレビューなどをつれづれと。

ムニッチかムニックって聞こえるんだけど『ミュンヘン』。観てきました。

ミュンヘンオリンピックのときに11人のユダヤ人が殺されたことに端を発する暗殺集団の物語であり、アラブとユダヤの物語であり、便宜上始まりと終わりはあるものの、終わりは未だ見えないものだと思います。

殺したから殺し返す。後釜が出来たからまた殺す。親が殺されたから敵をとるために殺す。地上に祖国を獲得するために殺す。

祖国のない悲しみは祖国のない人にしかわからないのでしょう。そのために殺しても自分が死んでも構わないほどなのです。相手に銃口を向けて引き金を引くことも、爆弾で手足をちりぢりにすることも。

宗教がわるいのか、奴隷制度の問題なのか、あやふやなことを約束した国が悪いのか。聖地と住処、神の教えをめぐって、増え栄えよと祝福され愛されたはずの人の子たちが互いに殺し合い、死にすぎました。今日で殺し合いをやめましょう、と申し合わせても、子を親を殺された人たちは今更後に引けないのでしょう。だから終わらない。

主人公アヴナーの民族的な由来を念頭に観ていると非常に切ないものもあり、戦争や殺戮という、人が血を流し命を絶たれるというリアルな事象を淡々と映像にして訴えかける画面を目の前に、ただただ恐ろしさを感じたりもし…。軽く感想を書くことのためらわれる、重い内容でした。

そんな人のたくさん死ぬ『ミュンヘン』のチケットにふと目を落とすと

ticket PG-1

Parental Guidanceの略だったと思いますが、1歳以下の子には刺激が強すぎ鑑賞に適さない場面があるとかそんなのだったと思います。1歳以下には確かにキツいかな。人死ぬ映画ですし、宗教や国家の絡む複雑な問題を扱っていますし。