ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・シェリル・クロウ/シェリル・クロウ
¥1,980
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 ヴェリー・ベスト・オブ・シェリル・クロウ(The Very Best of Sheryl Crow) 2003年に発売されたシェリル・クロウのベスト盤。シェリル・クロウを聴きたいけど、たくさんありすぎてどれから始めればいいのかわからない人にはこのベスト盤から始めるのがおすすめ。


 彼女の初期の代表曲で世界的にヒットした、オール・アイ・ウォナ・ドゥ、ソーク・アップ・ザ・サン、マイ・フェイバリット・ミステイクなどを含めた17曲はすべて聴きごたえのある1枚。世界的にブレイクし、グラミー賞を幾度となく受賞、世界累計5000万枚を売り上げるという、彼女がもっとも勢いよく駆け抜けた時間とエネルギーがつまっています。

 シェリル・クロウはフォークロック、カウントリーロックのジャンルに分類されることが多いですが、彼女独特のキャッチーでリズム感のある可愛くて美しいメロディと、甘いハスキーボイスの組み合わせは「シェリルというジャンル」を見事に構築していて、このベスト盤ではそれが顕著。アイルランド系アメリカの血を引き、アメリカ、ミズーリ州で生まれ育ち、今日の世界的成功とは裏腹にデビューまでの苦労が長く、乳がんの手術や婚約者との破局、養子の迎え入れるなど、女性としてもさまざまな経験を積み重ねてきたからこそ表現できる彼女の情感は聴く人の心をとらえます。

  1. オール・アイ・ウォナ・ドゥ(All I Wanna Do)
  2. ソーク・アップ・ザ・サン(Soke Up The Sun)
  3. マイ・フェイバリット・ミステイク(My Favorite Mistake)
  4. ザ・ファーストカット・イズ・ザ・ディーペスト(The First Cut Is The Deepest)
  5. エヴリシング・イズ・ザ・ワインディングロード(Everything Is The Winding Road)
  6. リーヴィング・ラス・ヴェガス(Leaving LasVegas)
  7. ストロング・イナーフ(Strong Enough)
  8. ライト・イン・ユア・アイズ(Light in Your Eyes)
  9. イフ・イット・メイクス・ユウ・ハッピイ(If It Makes You Happy)
  10. ラン・ベイビー・ラン(Run Baby Run)
  11. ピクチャー(キッド・ロック・デュエット・ヴァージョン)(Picture)
  12. カモン・カモン(コアーズ・ヴァージョン)(C'mon C'mon)
  13. ア・チェンジ・ウッド・ドゥ・ユー・グッド(A Change Would Do You Good)
  14. ホーム(Home)
  15. ゼアー・ゴーズ・ザ・ネイバーフッド(There Goes The Neighborhood)
  16. アイ・シャル・ビリーヴ(I Shall Believe)
  17. レッツ・ゲット・フリー(Let's Get Free)
シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス)/アンソニー ドーア
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 アメリカ、オハイオ州出身でアイダホ州在住のアンソニー・ドーア氏によるデビュー短編集。2003年発売で全編8作の286ページ。

 ケニアの孤島で貝を拾いながら生活する老貝類学者の盲目の老人は手の感触だけで貝の種類を言い当てることができた。ある日、病気の女性の命を助けたことで、人々が彼の周りに集まってきてしまい静かだった生活を乱されてしまう。しかしそこから孤独だった彼の心にじわじわと変化が起きていくという「シェル・コレクター」。美しく透明な青い海のなかに色とりどりの小魚や白い砂、そして老人が手を伸ばして拾う貝が目に浮かんでくる文章です。
 
 モンタナの過酷な自然のなかで、ハンターの仕事をする男性と結婚した若い妻が自分の特殊な能力を開花させていくという「ハンターの妻」。 特殊な能力が深まるごとに、その能力を認めることができない夫の葛藤、厳しすぎる冬の寒さや動物たちの神聖さ、そして彼女の見る異次元の世界を幻想的に美しく綴っていく場面は、まるで自分がそこに居合わせているような錯覚に陥る。登場人物の吐く凍りつくほどの白い息も浮かんでくるほどのリアル感。この短編ではO・ヘンリー賞を受賞しています。 

 内戦で地獄と化した母国のリベアからアメリカに流れ、裕福なアメリカ人の別荘を管理することになった若い青年ジョセフを描く「世話係」。ジョセフは内戦によって、人間の尊厳というものをずたずたに、感覚が麻痺してしまうほどに引き裂かれてしまっていた。また、彼は雇い主の留守の間、それほど労力を必要とされない仕事もこなすことができないでいた。そんなある日、近所の海岸に六頭のクジラが打ち上げられる。彼は一頭一頭が息を引き取っていき、人々が彼らの肉をナイフで裂いていくのを目撃する。ジョセフはクジラたちの心臓を埋葬し、その上に野菜や果物を育てていくうちに、雇い主の少女との交流もあわせて、自分のなかに尊厳を取り戻し、新しい生命力が静かにみなぎっていくのを感じるのだった。
 
 全編、著者の美しい文章表現に魅了され、読み終わるごとに心にあたたかい光が灯るような感覚になる一冊。その光にはかならず希望と愛が詰まっていて、何度もじっくりゆっくりと味わいながら読み直したくなります。
ノルウェイの森 [DVD]/松山ケンイチ,菊地凛子,水原希子
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 2010年公開のトラン・アン・ユン監督による日本映画。村上春樹氏の世界的ベストセラー、ノルウェーの森を映画化。高校生のワタナベトオル(松山ケンイチ)は親友キズキのとつぜんの自殺という出来事により、喪失感を抱え生きていくことになる。それから彼は大学に進学するために上京した街で偶然、キズキの恋人だった直子(菊地凛子)に再会し、ふたりは定期的に顔をあわせるようになるが、彼女が元恋人の自殺により取り返しのつかないほどの闇を抱えていることにワタナベは気づいていく。ワタナベはしだいに直子に惹かれ、献身的とも言えるほどに彼女のことを気にかける。しかし、直子の周りに漂う死の闇によってワタナベはなかなか彼女に近づくことができなかった。そんななか、直子とは正反対の生命力溢れる妖艶な女の子、緑(水原希子)の存在にもワタナベは惹かれていく。若い登場人物たちの生と死の間で揺さぶられる心、生と死の境界性に触れないよう静かな湖面のようでありながら、水面下ではつねに神経を張り巡らせているようすを直接的な性描写もふくめて表現しています。また、この作品は台詞よりも情景で登場人物たちの心の動きをたくみに表現していて、全体的に背景である60年代のテイストを活かしながら洗練された雰囲気にしあげています。

 ベトナム系フランス人であるトラン・アン・ユン監督がどのように村上作品を表現していくのだろうと、公開前から話題を呼びました。結果は賛否両論といったところですが、個人によって、また年代や人生経験の多さによっても意見が分かれてくるでしょうね。映画化に際して、監督は村上春樹氏と脚本についてやり取りをしていったそうですが、村上氏はあらたに「人は18歳と19歳の間を行ったり来たりしてればいいのよ」という直子の台詞(原作にはない)を加えたそうです。この台詞もさすが村上氏だなと感心させられます。
もちろん、原作は読む価値はあり。これは読む年齢によって得るものが異なってくるでしょう。映画を観る前に読んでおくのもいいです。


マイ・ブルーベリー・ナイツ [DVD]/ノラ・ジョーンズ,ジュード・ロウ,デヴィッド・ストラザーン
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 2008年公開のウォン・カーウァイ監督による香港とフランスの合作。(原題はMy Blueberry Nights) ある夜、恋人が心変わりしたのではないかと疑いを持ったエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は彼の行きつけのカフェに向かった。結果は黒。カフェのオーナーである男性ジェレミー(ジュード・ロウ)がほかの女性と一緒にいたところを目撃していた。エリザベスはやけくそになり、元恋人に電話で捨て台詞を吐き、オーナーに合鍵を渡すのだった。それでもエリザベスは元彼のことが気になり、ときどきカフェに足を運ぶ。そこでいつもほとんど売れ残るブルーベリーパイを食べながら、ジェレミーと何気ない会話を重ねる。たとえば、カウンターの上の硝子の器にはたくさんの鍵、それは様々な人たちが様々な理由でカフェに置いていったものなのだと、ジェレミーはひとつひとつの鍵に刻まれたストーリーをエリザベスに話して聞かせたりする。やがてふたりの間にはすこしずつ違う色合いが生まれるのだが、ふいにエリザベスはカフェに姿を見せなくなってしまう。


 エリザベスは旅に出ていた。ある州では昼は食堂でウェイトレス、夜はバーで働き、そこでひとつの男女のドラマに遭遇したり、ラスベガスではカジノでウェイトレスをしているうちに、ギャンブラーのレスリー(ナタリー・ポートマン)に車を購入するために貯めていたお金を貸してしまったりする。(このナタリー・ポートマンの危なげで小悪魔的な役は鋭く光っていてとても魅力的。)エリザベスは旅先での彼らの恋愛関係や親子関係を目の当たりにしながら、自分がほんとうに辿り着きたい場所へ遠回りしながらも進んでいく。その姿は純粋で可愛くて健気。失恋も悪くないと思えてくる作品です。全体的におしゃれな詩の朗読を聞いているような雰囲気があり、エリザベスが行く先々でジェリミーに手紙を書き綴るシーンなどはそれを象徴しています。ちなみにウォン・カーウァイ監督は最初、ノラ・ジョーンズに映画の音楽を制作してもらおうと話をしていたそうですが、彼女の魅力に惹きつけられ、主人公を依頼したとか。




 

理想の恋人.com [DVD]/ダイアン・レイン,ジョン・キューザック,ダーモット・マローニー
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 2005年公開のゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ監督によるアメリカ映画。(原題はMust Love Dogs) 30代後半の女性サラ・ノーラン(ダイアン・レイン)は離婚して1年も経たない傷心の身で、おしゃれはおろか、冷蔵庫にはまともな食材さえ入っていない状態だった。心配した家族がサラを訪れ、おせっかいながらも愛情深く彼女を見守るようすが描かれている。

 ある日、姉妹がインターネットの恋人募集に勝手に登録してしまったことで、サラは恐る恐る数人の男性とデートを試みるが、結果は踏んだり蹴ったり。そんななかで、今までの男性とは一味違うジェイク(ジョン・キューザック)に出会う。彼は良い意味で裏表のない性格、悪い意味ではストレートすぎてサラは引いてしまうのだが、それでもデートを重ねるうちに、彼の前では飾る必要もなく、自分の弱さを表せることに気づいていく。しかし職場である幼稚園の児童の父親ボブ(ダーモット・マローニー)にも惹かれ、彼女は揺れ動いてしまうのだった。
 
 あたたかい家族の愛もふくめた、大人の恋愛映画です。アメリカでベストセラーとなったMust Love Dogsをゲイリー監督がハリウッドデビュー作として映画化。

50回目のファースト・キス コレクターズ・エディション [DVD]/ドリュー・バリモア,アダム・サンドラー,ロブ・シュナイダー
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 2005年公開のピーター・シーガル監督によるアメリカ映画。(原題は50 First Dates) 舞台はハワイで実話を元に制作。

 ある日、水族館に勤める獣医のヘンリー(アダム・サンドラー)は行きつけのカフェでルーシー(ドリュー・バリモア)に出会う。二人は楽しいひとときを過ごし、お互いに惹かれ合う。しかし次の日に会ってみると、ルーシーのようすがおかしい。まるで昨日のことなどなかったかのよう。やがて、ルーシーが1年前の交通事故がきっかけで記憶障害になっていることをヘンリーは知る。ルーシーは事故以来、一晩眠ると前日のことをすべて忘れてしまうのだった。つまり、彼女は毎日、事故当日の1日を繰り返していた。

 ヘンリーが毎日ルーシーと出会い、恋に落ちるために試行錯誤を繰り返すようすは聴衆の笑いを誘うシーンなのだが、ストーリーが進むうちにそのコミカルさ、ハワイの燦々と輝く太陽と青い海が苦しいほどの切なさを引き立てていく。とくに「ファーストキスってほんとうに素敵よね」というルーシーの台詞は切なすぎる。事故のこと、記憶障害のことを知らないルーシーを守ろうとする家族や現地の人たちの温かさ、女性とは一夜限りで過ごせればいいという誠実さのない付き合いばかりしてきたヘンリーがルーシーに出会って、ほんとうの愛に目覚め、彼女への愛を積み重ねていくようすがコミカルに描かれている。こんな風に最後までコミカルなタッチなのにそのぶん心が揺さぶられ、涙が溢れてくるような映画はあまり観たことがなかった。見返りを求めない、無償の愛ってこういうことなんだと教えられる作品です。


エレジー デラックス版 [DVD]/ペネロペ・クルス,ベン・キングズレー,デニス・ホッパー
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 2008公開のアメリカ映画。初老の大学教授のデイヴィッド(ベン・キングズレー)は自分の講義に出席していた女子大生のコンスエラ(ペネロペ・クルス)と出会い、二人は恋に落ちる。「結婚は人生の墓場」と信じて疑わないデイヴィッドだったが、コンスエラの高貴な美貌と賢さにどんどん惹き込まれていく。コンスエラは彼のことを愛していたが、ディヴィッドはいずれ自分のような老いぼれは捨てられてしまうという恐れで、彼女のことを真剣に考えることができない。愛をわかっているつもりだった初老の男性が娘ほどの年齢の若い女性に逆に真の愛を教えられるようすが、全体的に静かながらも洗練されたタッチで描かれている。1度、2度観るごとにじわじわと味が出てくる、大人向けの恋愛映画です。