完ぺき主義者の行動指針

 

前回は完ぺき主義の人たちが幼少時代にどのような家庭環境で育ったのかを解説しました。今回は、そのような幼少時代をすごした子供が大人になって、どのような指針で人生を進んでいくのかを解説します。

 

近親者に自分の頑張りを正当に認められないような幼少時代を過ごした子供は大人になって、心の底から自分がそれをやりたいかどうかではなく、他者に認めてもらえるかどうか(親に認めてもらえるかどうか)、によって人生の選択をする傾向があります。根底にあるのは愛の飢えなので、外側に愛を求めてしまうのです。たとえば、世間的に立派と思われる大学、職業、会社といったようにです。また、褒めてもらえるか、ちやほやされるか、注目を浴びられるか、といったようなことをベースに物事を選択することも多々あります。

 

自分の志望している一流の大学や会社に入れればある程度の満足は得られるとは思いますが、彼らが100パーセント満足することはないでしょう。本人が心の底から望んだものではないからです。「まだまだ頑張りが足りない」というメッセージを受け取り続けながら幼少時代を過ごしているので、他者から見れば申し分ない経歴なのに、「自分なんてたいしたことない」と自己卑下的な言動をすることもあります。正当な評価、褒めるといったことで自分を高めるのではなく、親から教わったように、足りない部分を戒めるようなやり方で自分のモチベーションを高めようとするからです。

 

自分が設定した高すぎるハードルをうまく越えながら生きていけるのであれば、それほど問題はないかもしれません。人間であればだれでも一流というものに憧れることはあると思いますが、彼らの場合は一流の会社に入りたいという願望ではなく、入らなければいけないという執着になることが多く、志望大学に落ちる、希望している会社に内定できないといったことが起きた場合、ひどい失望感や劣等感や自己嫌悪に陥ってしまいます。「自分の人生は終わった」と早くも結論づけ、実際に自殺に走ってしまう人さえいます。うまくいかないのは自分の頑張りが足りないから、こんな自分は愛される価値がない、生きる価値などないという幼少時代の絶望感に潰されてしまうのです。