今日、僕は彼女に名前を付けた。
いや、正確には僕が、というより彼女が自分でつけた。最初は僕が考える予定だったのだけれど。
まあ詳しいことはこれから順を追って書いていこうと思う。
彼女は結局僕の部屋に居座ることになって、というより強引に居座って、精神的にも肉体的にもなんだか疲れ切ってしまった僕はさっさと風呂に入って眠りに就・・・・・・こうとしたらベッドには先客がいた。
「にゃーぉ」
「可愛らしく鳴いてごまかすな・・・・・・」
今まで全くそんな風に鳴かなかったくせに。
ひらひらと手を振って彼女を床に追いやる。彼女は不満そうに僕を見上げて、
「あたしに床で寝ろって言うのか」
・・・・・・じゃあお前は僕に床で寝ろって言うのかよ。
僕は溜息をついて、ベッドの右半分を彼女のために空けてやった。彼女は嬉々としてそのスペースにもぐりこんで、にゃぁ、と満足げに鳴いた。
そういうわけで、僕と彼女は仲良く並んで眠りに就いた。
そして今朝。
僕は白猫にたたき起こされて目覚めた。
寝起きの習性で時計に目をやる。時刻は午前5時。・・・・・・・5時?
僕は即座に布団を被りなおした。布団の上から彼女にぼふぼふを叩かれるが無視する。しばらくすると彼女は諦めたのか叩くのをやめて、
僕の布団にもぐりこんで顔をぺろん、と舐めた。
「うわっ」
思わず跳ね起きてパジャマの裾で顔をこする。彼女は僕の前に座ってふぅ、と満足げに溜息をついた。
・・・・・・・猫って溜息つけるのか。
「何で起こすんだよ。まだ5時なのにっ」
「あたしが暇だからだ」
一瞬本気で窓から放り出してやろうかと思った。殺気のこもった目線で睨みつける僕には目もくれずに彼女は鼻の頭をぺろんと舐めて伸びをしている。
「大体僕を起こしたところで暇なことに変わりはないだろっ」
そういえばいつの間にか彼女に対する口調が砕けている。敬語で話しかけていた最初の頃が嘘みたいだ。・・・・・・・っていうより、馬鹿みたいだ。
「いや、お前を起こすとコントみたいな会話が楽しめる」
「自分でも自覚してるのかよ・・・・・・」
うん。多分口調が砕けた原因はこのコントみたいな会話だと思う。