びっくりした事 その1 | オペラ歌手くみバードの、ひたすらオペラな人生

オペラ歌手くみバードの、ひたすらオペラな人生

主催している「ありどおろ座」オペラ団の情報や合唱の練習など音楽家としての生活です。

声は出るけど歌がヘタってどういう脳の構造をしているのかと、先日テノール君に質問。

「新しい曲を勉強する時まず一番初めにどうする?

すると衝撃の答えが。

「ピアノを弾きます」

はあー?

ピアノで音を取るっつう意味か?

なんじゃそりゃあ。

だから訳わかんないヘタな歌なんだな?

なんたってまず音源聞くのが最初だろう?

楽譜に全てが書いてあるなんて嘘だ。

特に歌は。

楽譜通りに歌ったら奇妙な歌になる。

微妙な間や感情の波は楽譜には書かれていない。

歌は口移しや耳コピでやるもののだ。

例えば日本人なら楽譜を見た事もない、そんなに聞いた事もない演歌を歌えと言われたら何となくそれなりに歌えるだろう。

それが「伝統」なのだ。

聞いた事もないのにイタリアオペラをうまく歌える訳がない。

極端に言えば楽譜が読めなくてもいいのだ。

昔の歌手は指揮者やコレペティの所へ行って耳コピで勉強した。これは意外に大変な作業だ。

私もマエストロに絶対楽譜を見て来るなと言われ、その場で耳コピで勉強させられた。

その方がメロディにイタリア語がしっくり入るのだが大変だった。

パヴァロッティはそういうやり方の最後の人なんだろうな。